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- 最近エネルギーレベルという用語を良く聞きますが,どのような時にもちいられているのでしょうか?(Vol.27 No.7)
(大学学生) -
(環境技術研究所 田近輝俊)
エネルギーレベル (音響エネルギーレベル) は,JIS Z 8732:2000 (音響-音圧法による騒音源の音響パワーレベルの測定方法-無響室及び半無響室における精密測定方法) において次のように定義されています。
“音響エネルギーレベル (sound energy level) LJ : 測定対象音源から放射される音響エネルギーE [J] を基準音響エネルギーE0で除した値の常用対数の10倍。次式で与えられる。単位はデシベル [dB]。
基準音響エネルギーE0は,1 pJ (=10^-12 J)。”
LJと類似の量に音響パワーレベル (sound power level) LWがあります。LWは,音源が単位時間 (1秒) に放射する音響エネルギー (単位:J) すなわち音響パワー (単位:W=J/s) をデシベル表示した量です。
一般にエネルギーとパワーは混同されやすいのですが,物理的には明らかに異なった量です。パワーは時間平均の概念に基づいていますから,衝撃あるいは間欠的な過渡現象には使えません。そのような場合にはエネルギーそのものに着目する必要があります。このようにLJとLWとは異なる量ですから,正確に使い分ける必要があります。定常騒音のように,時間によらず発生するエネルギーが変化しない場合にはLWの考え方を適用することができますが,衝撃性あるいは間欠性の音のように単発的な音については適用することが出来ません。この場合にはLJ,すなわち一回の発生ごとの総エネルギー (エネルギー積分値) を用いる必要があります。
最近,日本音響学会から提案された建設工事騒音の予測法”ASJ CN-Model 2002″において,A特性音響エネルギーレベルLJAが予測計算に用いられています。参考になると思いますので,ご一読されることをお勧めします。