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- 自動車騒音の防止に関して、排水性舗装が有効だと聞いておりますが、その原理、路面下への影響、空隙の詰まりなどに対するメンテナンスの問題についてお教え下さい。
(匿名) -
(国土交通省国土技術政策総合研究所 大西博文)
排水性舗装は空隙を有しており雨水が路面に溜まらないため、もともとは交通安全に資するものとして用いられていました。ところが、自動車走行騒音の低減効果があるということで近年では騒音対策としても用いられています。現在よく用いられている排水性舗装は、骨材粒径が5~13mmの6号砕石を使い、厚さが4~5cm、空隙率が約20%のものです。
排水性舗装は自動車騒音の中でも特にタイヤ路面騒音を低減させるもので、その騒音低減の原理には次の三つの要因が挙げられます。
- (1)路面とタイヤのトレッドパターンの溝に挟まれた空気が、タイヤが転動するときに圧縮・膨張することにより生じるエアポンピング音の発生を排水性舗装の空隙が抑制する。
- (2)路面と車体下面の間においてタイヤ路面騒音やエンジン騒音等が多重反射するときに、空隙がある排水性舗装の路面が吸音する。
- (3)多孔質で吸音性のある排水性舗装面上を自動車走行騒音が伝搬するときに、超過減衰が生じる。
これらのうち、(1)の要因が最も大きな騒音低減効果をもっているとする報告があります。
前述のとおり排水性舗装は空隙があるため、雨水は空隙を伝って下りてきますが、排水性舗装では表層だけに空隙がありその下の基層はふつう密粒度アスファルト混合物でできておりほとんど空隙はないので、雨水は表層と基層の境界上を流れ車道の側方にある側溝に排水されます。従って、路面の下に浸透するわけではなく、路面下の地質に影響を及ぼすものではありません。
また、排水性舗装の空隙は塵埃等により詰まってくるため、その騒音低減効果は徐々に低下します。そこで、この空隙詰まりを回復するため排水性舗装洗浄機械が製作されていますが、現在空隙の効率的な維持管理のために洗浄の時期、頻度、洗浄方法等の洗浄機械の運用方法が検討されています。