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- 深夜営業での人のざわめきについては、どのような評価手法があるのでしょうか。(Vol.29 No.8)
(計量証明事業所所員) -
(東京都環境科学研究所 末岡伸一)
人のざわめき等は、歴史的にもっとも古い騒音苦情であり、現在の「軽犯罪法」もこの人声の規制を受け継いだ条項が存在しています。ただし、このざわめき等の測定法については、法令的に特に定められたものはありませんが、発生場所から区分して、1)屋外で発生、2)隣室での発生、が考えられます。
このうち屋外については、例えば駐車場での立ち話、ざわめき、嬌声などですが、地方公共団体の条例で、一般騒音の規制として実施している例があります。この場合は、通常の騒音規制と同様の手法で処理しており、波形により区分して俗にL5規制と呼ばれる手法で評価していますが、深夜等の場合が多く、測定し確認するのが困難な場合が多いのが現実です。
一般にざわめきなど人の声は、騒音レベルというより「気になる音」として苦情が多く、騒音レベルで何dBという手法が有効かの点については議論の多いところです。そのため、騒音レベルによる規制でなく、たとえば深夜に不特定の若者が集まるような施設は、住宅地への立地を規制するなど措置するのが適切と考えられています。
一方、後段の隣室のざわめきについては、例えば集合住宅等で隣の部屋からの話し声、カラオケなどが考えられますが、明確な測定評価手法は定められておりません。しばしば敷地境界の概念を拡張して法令の手法を適用しようとする場合がありますが、集合住宅における敷地境界の概念には無理があるといえますし、屋外と同様に気になる音であることから、単なる騒音レベルによる規制が有効とは思われません。
そこで、一部の地方公共団体では、対策の手引き等を作成するなど社会全体での合意形成に努力しているのが現状といえます。また、このような「音の漏れ」については、複数の公務員によりメロディーが聞き取れるかにより判別するなど、種々の努力がおこなわれています。