日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

Vol.44, 2020-1

振動の低減策に関連して防振、制振、免震、吸振など様々な用語が用いられています。また、防振に関連して振動絶縁、弾性支持などの用語も耳にします。個々の技術概要、どのような場合に適用されるか、あるいは実施に当たっての注意事項などありましたらご教示ください。(Vol.44No.1)
Vol.44 No.1

(摂南大学 安田正志)

振動の低減技術には大きく括って遮断(=絶縁)と抑制の二つの手法がある。遮断技術には防振、除振、免震の領域があり、抑制技術は制振、耐震、吸振などの領域がある。個別にみると、防振は機械振動を遮断するときに使われ、除振は床の振動を遮断して精密機器に伝えないようにする。地震が建物に伝わらないようにするのは免震である。除振と免震は全く同じ技術効果を指す言葉であるが、適用対象が違うために使い分けられる。遮断技術は弾性材で振動を絶縁するという手法がベースであり、同じ弾性材を免震や除振、防振の領域に使うことも可能である。抑制技術は揺れにくい材料を用いることが基本であり、振動応答を小さくする制振材、粘性材、剛性材を付加して動特性を改善する。

1. 振動遮断(=絶縁)技術
振動を遮断する場所によって、振源遮断(防振、フレキ)、経路遮断(トレンチ、反射)、受振遮断(除振、免震)と区分できる。

1.1 絶縁性能
絶縁性能には弾性材料と対象質量が作る固有振動数が大きく関与する。外乱の周波数が固有振動数より高い周波数であることが必要である。防振の場合は機械の回転数が分っているのでその比率で性能が決まることになる。しかし問題は伝わる力の大きさなので、回転数が早くなるとともに加振力は大きくなるから振動の大きさに合わせて必要性能を選択することが大切である。一方、除振や免震が対象とする地盤の振動は広い周波数帯に成分を持つため除振や免震材の共振を避けることが困難である。そのためダンパが付加されるが、減衰は遮断性能の劣化をもたらす作用があることから注意が必要である。それを嫌って精密機器などの除振分野ではアクティブ制御が広く用いられている。

1.2 異方性と弾性支持
弾性支持には搭載質量の安定性の確保が大切な要件となる。あらゆるものが重力の影響を受けることから重力の方向に安定を確保することが必要となる。そのために免震装置に使われる積層ゴムは大きな異方性を持っていて水平方向の振動遮断は良好だが鉛直方向にはほとんど遮断効果がない。

1.3 その他の配慮事項
振動遮断は弾性材が作る固有振動数の1.4倍以上の周波数で可能であり、それ以下の周波数の振動は増幅する。また材料によって遮断の方向だけでなく、選択可能な固有振動数の範囲があるので材料の特性をよく知って使用することが大切である。

       弾性材別伝達特性

2. 振動抑制(=制振)技術
揺れにくい構造物や機械の作り方に、剛性要素制振(制振、耐震)と、付加的なばね・質量要素を用いる吸振(=装置としては動吸振器と呼ばれる)がある。

2.1 共振の抑制
振動の抑制で最も大切なのが共振を避ける、あるいは増幅を抑えることである。制振は主に構造材に減衰を持たせて増幅倍率を抑える技術が用いられる。いろんなタイプのブレースダンパや仕口ダンパが商品化されている。また高層ビルなどではアクティブ制振装置を用いて風揺れ対策を行っている。一方、耐震の考え方は建物の共振周波数を地震の主要成分の帯域から外れるように設計するのが要であり、剛性の高い建物となる。耐震建築と呼ばれて多くの建物が該当する。

2.2動吸振器
振動を抑制したい場所に動吸振器と呼ぶ付加質量を有した装置を設置する手法がある。同調形と反共振形の二種類があって,共振の抑制には同調形を用い、外乱に対応してある周波数の振動だけを抑制するのは反共振形を用いる。慣性力を反力として用いるために別の支持構造を必要とせず、ビルの屋上や橋脚の下など制振の反力支柱を構築しにくい構造物に多く用いられる。反共振形は電気シェーバーなど身近なものにも使われている。

3.参考文献
1) 振動技術総覧,日本振動技術協会http://www008.upp.so-net.ne.jp/javit/,2010

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