日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

Vol.43, 2019-1

Q:騒音規制基準値の適用について下記のような場合どのように考えればよろしいでしょうか。考え方と事例等がありましたらご教示ください。
Q-1:公道を挟んで自社工場があります。公道の東側は夜間規制基準値55dB、西側は45dBです。この場合、被害者はいないのですが、工場の公道側境界(道路境界)で夫々、規制基準値を守らねばならないのでしょうか。
Q-2:規制基準が異なる境界騒音(例えばプラント設置エリアの規制基準値55dB、周辺地域45dBのような場合)、環境アセスメントの目標値はどのように考えれば良いでしょうか。
Q-3:ボイラ安全弁のように非常時しか動作しない機器発生音の敷地境界への影響は騒音規制法上、どのように考えれば良いのでしょうか。(Vol.43No.1)
Vol.43 No.1

(芝浦工業大学 門屋真希子)

A、A-1

 結論から申しますと,騒音規制法で規制される対象であったとしても,執行責任は地方自治体にあり,また条例による規制対象の可能性もあるので詳しくは市あるいは県にお問い合わせください。

一般論として考えますと,規制基準値が公道をはさんで違いがあるため,公道が用途地域の境界であり,工場西側の規制基準値が45 dB から考えても住居の多い地域であろうと推測できます。ご質問では公道面だけに着目されていますが,西側地域の公道に面さない境界には住居があると考えられるので,そのような場合は敷地境界で45 dB 以内に収める方が良いと思います。また現在規制基準を満たしていたとしても,今後設備の老朽化に伴う異音などにより苦情が発生する可能性がありますので注意が必要です。

一方,工場東側の用途地域は規制基準55 dB から考えて,工業地域など住居の多くない地域と推測できます。規制基準の遵守さえ確保できればよしとするなら,公道に面する敷地境界で55 dB 以下にする必要がありますが,公道の幅の分の距離減衰を考慮したとしても,基準値に10 dB 差がある西側の地域(工場西側地域の公道面以外の敷地境界に近い場所)から苦情が発生する可能性があります。騒音苦情は規制基準以下で発生している事例が多いので,工場東側の地域に関しても配慮されたほうが良いでしょう。

A-2

 環境影響評価は,法,条例によって手続きは多少異なりますが,事業による環境への影響を回避,低減,代償することを目的としています。このため事業者は基準値の遵守は当然の責務ですが,環境への負荷をどれだけ低減できるか検討することが求められます。

環境影響評価の手続き(法)では,事業による事業に関する情報(配慮書),事業により発生する環境負荷の程度を予想するための現況及び予測調査方法に関する情報(方法書),調査結果及び影響の程度,事後(評価書発行後)調査や対策内容(準備書)が提出されます。情報提供が行われる度に住民意見の聴取や市町村長や都道府県知事の意見,主務大臣の意見が示されます(環境大臣は配慮書と準備書のみ)。最終的には準備書の訂正や住民意見等を踏まえて環境影響評価書としてまとめられます。このとき環境影響の予測結果が基準以下であれば問題ないと解釈されることも多いのですが,手続きの中で住民等からの環境影響に対する意見が出されているならば,その意見に対して真摯に対応されることが望ましいでしょう。

環境影響評価の目標として規制基準値55 dB の遵守は当然のことですが,住民の意見や環境負荷への低減を十分検討する必要があります。

A-3

騒音規制法(実際の運用は当該市区及び都道府県)では,規制対象地域内にある特定設備を有する特定工場について,特定設備以外の騒音も含めて敷地境界における規制基準が定められています。安全弁のような不定期に稼働する設備から発生する騒音については,自治体によって考え方が異なる可能性があるので,当該市区及び都道府県にお問い合わせください。

なお,どのような判断においても突発的な騒音は,苦情になる可能性もありますので,付近住民に理解を促す説明を十分になされた方がよいでしょう。

また,特定施設を有しない法対象外施設(条例に該当するかもしれないが)についても,上記と同様に,住民に説明しておくほうが良いでしょう。

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