日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

Vol.43, 2019-5

近隣の家庭用設備機器から発生する騒音が気になり,自宅の窓を二重窓に改造しました。しかしながら,高音域の音は小さくなりましたが,低音域の音は相変わらず聞こえ,以前よりも耳障りに感じています。多重窓の遮音効果と低音域の音に有効な遮音構造などありましたらご教示ください。(Vol.43No.5)
Vol.43 No.5

(三井住友建設 嶋田 泰)

 一般に,二重窓の遮音効果は,中・高音域の音に対しては,ある程度大きな効果が期待できますが,
低音域の音に対しては,必ずしもそれほどの効果が得られないという傾向があります。ご質問にある状
況は,このような二重窓の遮音特性の傾向により,低音域の音だけがクローズアップされてしまった状
況と推察されます。以下に,二重窓の遮音特性の傾向と,さらに低音域の音に対する遮音対策について,もう少し詳しく
説明しますので参考にしてください。

1 二重窓の遮音特性

二重窓は2 つのサッシ枠をそれぞれ独立させて外壁に取り付けた窓です。遮音構造としては,2 枚のガラスの間に空気層を持つ中空構造となります。一般に,中・高音域の音に対しては高い遮音性能が得られやすい傾向となりますが,低音域の音に対しては中空構造に特有の共鳴現象により,一部の周波数で遮音性能が低下する傾向があります。遮音性能としては,一般的に用いられているT等級で表すと,一重のサッシが通常,T-1 等級またはT-2 等級(T-3 等級を表示する製品もありますが,一般に,その実現はかなり困難)であるのに対し,二重窓では通常,T-3 等級またはT-4 等級であり,一重のサッシに比べ1 ランク(5dB)程度,高い遮音性能を得ることが可能です。ただし,二重窓の遮音効果を周波数帯域別に見ると,250Hz 以上の中・高音域の音に対しては,概ね5∼10 dB程度の遮音効果が得られる傾向となりますが,その一方で,125 Hz 以下の低音域の音に対しては,遮音効果はほとんど得られない傾向となります1)。

2 低音域の音に対する遮音対策

2-1 二重窓の対策
二重窓の遮音性能に影響を及ぼす要因としては,2 つのサッシの間隔(空気層寸法),および,ガラスの厚さが挙げられます。サッシの間隔は,狭いと十分な遮音性能が得られず,通常,少なくとも100mm程度の間隔が必要です。また,ガラスの厚さは,厚いほど遮音性能は高くなりますが,2 枚とも同じ厚さとすると高音域でコインシデンス効果による遮音性能低下が顕著に表れることがあります。二重窓でさらに低音域の遮音性能を高めるのは,なかなか困難ですが,考えられる対策としては,サッシの間隔をさらに大きくする,ガラスの厚さをさらに厚くすることが挙げられます。具体的には,サッシの間隔を200∼300mm 程度,一方のガラスの厚さを10mm 程度以上とすることで,多少の性能の向上が期待できます。ただし,これらの対策の効果は,125Hz 帯域付近で数dB 程度であり,それよりも低い周波数帯域に対して,それ以上の性能の向上は困難です。

2-2 外周壁の各部位の対策
二重窓によりサッシの遮音性能を高めると,相対的にサッシ以外の外壁や換気口など外周壁の各部位から透過する音の影響が表れやすくなります。このため,同時にこれらの部位の遮音対策も行う必要があります。具体的には,外壁を遮音壁とし,換気口に消音装置を設置するなど,特別な遮音対策が必要となります1)。ただし,上記のように二重窓でさらに低音域の遮音性能を高めた場合には,外壁や換気口の対策には限界が生じます。

2-3 その他の対策
上記のように,低音域の音に対する二重窓,および,その他の外周壁の各部位の遮音性能にはどうしても限界が生じます。家庭用設備機器で特に低音域の音が卓越したものについては,騒音の発生源側での対策や伝搬経路での対策などによる対応も考える必要があります2)。ただし,具体的には,例えば,発生源を囲う,発生源との間に塀を立てる,発生源を遠ざけるなどであり,受音側でできる対策としては,現実的にはほとんど無いというのが現状です。

参 考 文 献

  • 日本建築学会: 集合住宅の遮音性能・遮音設計の考え方 (丸善出版,2016),91-106.
  • 川崎市: 低周波音の基礎知識(2018).

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