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公益社団法人 日本騒音制御工学会

Vol.40, 2016-3

FFT 分析において,過渡信号の分析を行う場合と連続信号の分析を行う場合で信号に適用する窓関数が異なりますが,具体的にはどの窓関数を選定すればよいでしょうか。(Vol.40 No.3)
Vol.40 No.3

(ブリュエル・ケアー・ジャパン 木村正輝)

FFT分析では,ブロック長2nの時刻暦データを高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform; FFT)することにより周波数スペクトルを求めますが,FFTの原理上,分析対象の時刻暦データは周期性があることが前提となりますため,信号の性質にあわせて時刻暦データに窓関数を適用し,信号に周期性を持たせる必要があります。

一般的に使用される窓関数として,図-1に示すような矩形窓 (Rectangular Window,Uniform Windowなど) ,ハニング窓 (Hanning Window) ,カイザー・ベッセル窓 (Keiser-Bessel Window),フラット・トップ窓 (Flat-Top Window)のほか,フォース窓 (Force Window,Transient Windowなど),指数窓 (Exponential Window)などがあります。

まず,過渡信号を分析する場合についてですが,一般的にはFFTの1ブロック内に観測信号が収まりますので,この場合は矩形窓を適用します。もし,インパクトハンマ加振のときの加振力信号のような,ブロック長に対して観測される過渡信号が非常に短い場合は過渡信号が観測されない区間のノイズの影響が軽減するためにフォース窓を適用します。また,インパクトハンマ加振時やバーストノイズ加振時において残響時間が長いことが原因で応答信号がFFTの1ブロックに収まらない場合は,信号が1ブロック内に収まるよう指数窓を適用します。なお,過渡信号がFFTのブロック長よりも十分長い場合は連続信号とみなして分析します。

次に,連続信号を分析する場合ですが,周期性を持たない一般的な連続信号に対してはハニング窓を適用します。擬似ランダムノイズ,バーストランダムノイズなど,加振信号がFFTのブロック長で1周期となるような加振試験では矩形窓を適用します。また,回転機械の測定において回転数に起因した高調波が観測される場合はカイザー・ベッセル窓を,センサーの校正時のように特定周波数の測定をする場合はフラット・トップ窓を適用します。

なお,ハニング窓を適用して複数回の平均処理をする場合,ハニング窓によりブロック両端でエネルギ損失が生じるため,FFT分析時のブロック間で66.7%以上オーバーラップさせて分析する必要がある点に注意してください。

              図-1 代表的な窓関数

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