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公益社団法人 日本騒音制御工学会

Vol.38, 2014-4

風車騒音を測定する時など,風が強い場所で騒音測定する際に留意すべきことにはどんなことがあるでしょうか?また風雑音の影響を避ける方法はあるのでしょうか?(Vol.38 No.4)

((株)ニューズ環境設計 太田達也)

マイクロホンに風が当たると,胴の部分を空気が迂回するときに渦ができ,渦による風雑音が発生します。そのため,マイクロホンにウインドスクリーン(以下,WS)をつけて測定します。風雑音の影響は,WS の大きさ,風速や乱れ具合によって異なりますが,マイクロホンに付属のウレタン製 WS(直径 6 cm 程度)や全天候型 WS(直径 20 cm 程度)を着けても,低周波音領域(特に超低周波音領域)を対象とした測定では,風雑音の影響を防ぐことはできません。また,より強風時には,WS 自体に風があたることにより広帯域に風雑音が発生することがあります。

一般的な環境騒音測定では,このような強風が見込まれる日を避け,風の弱い日を選びますが,質問にあるような風車騒音を対象とした測定の場合は,風車が定格回転しているような風が強い日に測定する必要があります。また,風車騒音は,低周波音成分を含む広帯域な騒音であるといわれており,広い周波数範囲にわたって風雑音を低減する手法が必要です。

よく使われる風雑音の低減方法として,マイクロホン自体を地表面付近まで下げて設置し測定を行います。筆者らが,草地において高さ別の風速を調査したところ,地表面付近では,高さ 1.2 m と比べて 7割程度まで風が弱くなることから,風雑音は低減します。風車騒音のパワーレベルの測定方法として,地表面上に設置した円板の中心に全天候型 WS を装着したマイクロホンを設置し測定する方法があります。IEC 61400-11(JIS C 1400-11)で規格化されています。また地上付近まで下げることで,風によるマイクロホンの転倒防止にも役立ちます。

地表面付近に設置しても風雑音の影響が避けられないくらい強風の場合は,マイクロホンに取り付けるウレタン製 WS を一次 WS とし,さらにそれを覆うように二次 WS を被せる方法が有用です。ただし二次 WS を作成する必要があります。

この二次 WS については,さまざまな検討が行われており,落合らは,低周波騒音測定の常時監視を目的として,ウレタン製シートや農業用ネットを二次 WS とする方法を報告1)しています。また,H23∼H25 年度に実施された環境省の風車騒音調査では,超低周波音領域から騒音領域までを一つのマイクロホンで測定するための二次 WS の開発2)を行っています。こちらは暴露側の調査であり,運用面を考慮しできるだけ小型になるように設計しています。雨天時の測定を考えて一次 WS には全天候型WS を用いています。また,二次 WS は一次 WS との間に 10 数 cm 程度の間隔を空けて取り付けることで,風をより低減する効果があります。二次 WSの素材や開口率,伸縮性により防風性能が多少変化します。測定対象とする騒音や低周波音の特性,設置場所,運用面などを考慮し,目的に応じた WS を作成する必要があります。なお,特に高周波数領域では WS による減衰が考えられるため,現地で測定する前に実験により WS の挿入損失を把握しておく必要があります。

  • 1 )
    落合他 : 低周波騒音計測用防風スクリーンの開発,騒音制御,vol. 30,no. 5,pp. 408-417(2006).
  • 2 )
    太田他 : 低周波音領域を含む環境騒音測定のための防風スクリーンの試作,音講論(春),pp. 1195-1196

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