日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

Vol.36, 2012-2

等価回路に基づいた消音器の性能予測法とはどのような方法ですか。また管路内での気流や温度変化をどのように扱えばよいでしょうか。(Vol.36 No.2)
                                  (消音器設計者)

(日本騒音制御工学会認定技士 森 卓支)

音響等価回路は音源やそれに接続される管路等を音響素子として電気回路の様に示したもので、参考図書1)に示すようにかなり以前から使われてきました。

通常の音響式では系固有のインピーダンスや複雑な管路系は計算できませんが、各音響素子を四端子マトリクスで表すことにより複雑な系でも計算することが可能です。図-1は音源と管路系の等価回路で粒子速度を電流、音圧を電圧に置き換えて考えることができます。内部抵抗Riが負荷抵抗により十分大きければ流れる粒子速度は負荷抵抗Rsによらず一定となります。(定速度音源)。またRiが十分に小さければ負荷にかかる音圧は負荷抵抗の大きさにかかわらず一定の音圧となります。(定音圧音源)。

様々に組み合わされた管路系の特性は四端子マトリクスにより計算が可能です。

図-2は音源からの管路出口までの音響等価回路を表し、管路系の出入り口の音圧と体積速度の関係は四端子マトリックスで表されます。

この四端子マトリクス法では管路系は平面波理論を適用し、管路系各構成要素を音響要素で表現できます。図-3は拡張型消音器での音波の伝播経路と気流の様子を示し、音波が管内を進行する際に進行波と反射波は気流の影響を受けることとなります。

式(1)、式(2)は管路の四端子マトリクスと定数を示し、気流による音速の変化を進行波と反射波の位相定数で表現し、また管路での摩擦損失や吸音材により音波の減衰が生じる場合はこの損失を減衰定数δにより考慮することもできます。温度条件については音速cで式に反映されています。

各構成要素をこの音波の流れに従って組み合わせることにより、減音量計算に必要な消音器出口の体積速度U2を求め消音器の特性が計算できます。しかしながら、自動車の排気消音系などの管内を高速で期待が流れる場合は管内や出口端で発生する気流騒音などの考慮が必要です。

これまで示した音響等価回路による管路系の特性計算は平面波領域で成り立つ1次元モデルです。近年ではコンピュータの進歩による計算器能力の大幅な向上で、3次元での予測計算が可能となり、境界要素法や時間領域差分法(FDTD)等、予測範囲拡大と精度向上が図られつつあります。

参考図書

  • 1)福田基一、奥田 襄介:騒音対策と消音設計(共立出版、1974)
  • 2)(社)日本騒音制御工学会編:騒音制御工学ハンドブック基礎編・応用編(技報堂出版、2001)

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