日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

Vol.35, 2011-6

近年、低周波騒音の苦情が増えていますが、どう対処すべきか苦慮しています。適切な対応が取れるための基準やマニュアルはありませんでしょうか。(Vol.35 No.6)
                                (地方公共団体職員)

(低周波音分科会委員 沖山文敏)

低周波音の苦情については,図−1 に示したように,平成 5 年頃から増加の傾向にあり地方公共団体ではその対応に苦慮していました。そこで,環境省では平成 12 年に「低周波音の測定方法に関するマニュアル」を作成しましたが,それ以降さらに低周波音の苦情は急激に増加しました。なかでも暗騒音レベルが低い,静かな地域の家屋内における音圧レベルが低い低周波音に関する苦情が多く見られました。しかしこのような低周波音について測定方法は示されたものの,苦情にどのように対処していくかが明確ではありませんでした。これを改善するため,平成 16 年に「低周波音問題対応の手引書」が作成されました。

手引書には,[1]苦情申し立て内容の把握,[2]現場の確認,[3]低周波音の測定,[4]測定された低周波音の評価の方法,[5]対策の検討,[6]対策効果の確認という一連の筋道における,具体的な方法や配慮事項,技術的な解説が盛り込まれています。

特に,低周波音の評価の方法としては,発生源側で測定される低周波音と苦情者側で測定される低周波音の対応関係を調べることが特に重要であることが述べられ,対応関係を調べる方法が示されています。これと併せて,手引書では『評価指針』が示され,それまでの手法では対応の難しかった音圧レベルの低い低周波音に関する苦情に対応するために,『参照値』が提案されています。

『参照値』とは,建具類のがたつきや室内での不快感などについて苦情申し立てがあった場合に,低周波音によるものかどうかを判断する目安となる値です。

なお,低周波音の規制基準については,年間の騒音苦情全体が約 15,000 件に対して低周波音は 245件(平成 21 年度)と苦情件数割合が少ないため,環境省では当分の間規制基準などの規制は設けないとしています。

最近では,風車発電施設に対する低周波音の苦情が発生していることから,現在環境省では,これに対する測定,評価方法について調査,検討を行っているとのことです。

なお,環境省では「低周波音の測定方法に関するマニュアル」,「低周波音問題対応の手引書」のほかに「低周波音防止対策事例集」,「低周波音対応事例集」,「よく分かる低周波音」等を作成しており,これらは,環境省のホームページに掲載されています。

URL : http://www.env.go.jp/air/teishuha/index.html

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