Vol.27, 2003-1
- 建物の遮音性能の測定に関するJISが2000年に変わっているとのことですが、以前のJISと比べてどう変わっているのですか。(Vol.27 No.1)
(音響調査会社 社員) -
(日本建築総合試験所 和木孝男)
JIS A 1417は2000年にISOに準拠するために改定されました。その主な内容は、従来の室間音圧レベル差に加えて基準化音圧レベル差、標準化音圧レベル差及び準音響透過損失が追加された、測定周波数帯域が従来の1/1オクターブバンドに加えて1/3オクターブバンドが追加された、これに伴い測定周波数が変更されたこと、さらに受音装置に従来の騒音計に加えてリアルタイムアナライザーが追加された、測定方法として固定マイクロホン法に加えて移動マイクロホン法が追加されたこと、受音点の高さが従来の1.2~1.5mから空間的に等分布させる規定に変更されたこと等です。新JISと旧JISの変更点の詳細を次の対比表に示します。
JIA A 1418の重量床衝撃音遮断性能も本JISと同様の改正をされています。また、測定結果が小数点1位まで算出しますので、評価に関するJIS A 1419での許容値は2.0dBです。この他、計算結果の算出方法など細部で旧JIS と異なっています。測定時にはJISを参照して下さい。
比較項目 新JIS A 1417-2000 旧JIS A 1417-1974 表題 建築物の空気音遮断性能の測定方法 建築物の現場における音圧 レベル差の測定方法
適用範囲 室間音圧レベル差、基準化音圧レベル差、標準化音圧レベル差及び準音響透過損失 室間平均音圧レベル差、 特定場所間音圧レベル差
測定装置 普通騒音計、精密騒音計、オクターブ又は1/3オクターブバンドフィルタ、リアルタイムアナライザー 指示騒音計、精密騒音計、 オクターブバンドフィルタ
音の発生 定常音(帯域ノイズ、広帯域ノイズ等) 1オクターブ帯域雑音の 断続音
平均音圧レベルの
測定における
受音位置固定マイクロホン法: 室境界または拡散体から0.5m以上離れ、音源からは1m以上離れた空間内に互いに0.7m以上離れた5測定点を空間的に均等に分布させる。
移動マイクロホン法
音源・受音室で0.7m以上の回転半径でマイクロホンを連続回転させる。回転面は床面に対して傾斜させ各壁面とも10°以上となるようにする。回転周期は15秒以上とする。
室内に一様に分布した5点、 マイクロホン高さは
1.2~1..5mで上向き、
音源スピーカ、壁、扉、
窓、開口部のごく近くは
避ける
平均化時間 固定マイクロホン法; 1/1オクターブバンド:250Hz以下3秒以上、500Hz以上2秒以上
1/3オクターブバンド:400Hz以下6秒以上、500Hz以上3秒以上
移動マイクロホン法;
マイクロホン移動装置の周期の整数倍且つ30秒以上
断続音発生時間内の指示値 の平均値
測定周波数
範囲1/1オクターブバンド; 125Hz, 250Hz, 500Hz, 1000Hz,2000Hz
1/3オクターブバンド;
100Hz, 125Hz, 160Hz, 200Hz, 250Hz, 315Hz, 400Hz, 500Hz, 630Hz, 800Hz, 1000Hz, 1250Hz, 1600Hz, 2000Hz, 2500Hz, 3150Hz
125Hz, 250Hz, 500Hz, 1000Hz, 2000Hz, 4000Hz
残響時間の測定 受音室内で境界面から1m以上離し、均等分布した受音位置3点で測定 規定なし 測定結果 室間音圧レベル差、基準化音圧レベル差標準化音圧レベル差、準音響透過損失小数点1位まで 室間音圧レベル差整数位 まで