日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

Vol.26, 2002-3

プレス工場などの防音対策はどのようにすればよいか教えて下さい。
                           (音響コンサルタント 技術者)

(平野防音 平野 康夫)

公害防止としての騒音対策は企業の利益に結びつかない投資であるため、実施に当たっては必ず的確な効果が期待でき、目標値(規制値)を達成できる様な計算の上に立った騒音対策計画を立案するべきである。 「これ位の工事をやれば良いダロウ、ブロックでも積めば解決するダロウ」という安易なダロウ設計、ダロウ工事では目的の防音効果が得られず、ムダ金、死に金になる。(場合によっては、防音効果が不十分なため一度施工したものを撤去して、改めて工事施工することもある。) プレス工場の防音対策計画を進めるには、下図の如くに行うのが好ましい。

○現場調査・騒音測定・周波数分析

先ず現状状況を聴覚、視覚にて調査し、騒音レベル測定・周波数分析を行う。周波数分析は、音の性質(高周波か?低周波か?)を知るために(即ち的確な防音設計を立案するために)必要であるから必ず行うこと。周波数分析値を把握せずに経済的な防音設計はできない。

○騒音予測計算・防音設計

騒音レベルの減音量(現状値-目標値)を決め、周波数分析結果より音の性質に合致した騒音防止の方法、防音材料の選定をし、騒音予測計算を行った上で防音設計計画を作成すること。

防音対策の方法としては、下図の3つの方法がある。

イ)防音ボックス(音源を狭い範囲で囲う)

“音は根源で断つ”の鉄則通り、若し可能なれば防音ボックス対策が最も有効、適切な方法である。

☆検討事項:プレス、コンプレッサー等全台数を実施できるか、作業能率、メンテナンス、工場内スペース、ボックス内の温度上昇、機器の更新等、作業安全、作業環境・・・・・

ロ)建家防音対策(屋根・壁を改善

現在の屋根・天井及び壁の防音強化対策。(二重壁・二重天井・二重屋根等の対策)防音材として音源側に吸音材、外部側に遮音材の構成とする。

☆検討事項:建築基準法・消防法他法例との関連、工場内スペース、換気口、サッシ、出入口等全面施工、作業環境(工場内換気・工場内採光) 遮音材等の材料の荷重計算・・・・・

ハ)防音塀対策(敷地境界等に塀を建てる)

回折音(回り込み音)の計算をした上で対策の範囲(高さ、長さ)を決める。あまり大きな防音効果はない(最大限25dB位である)但し、視覚的・心理的効果は大であり、企業側の前向きの誠意は通じる。

☆検討事項:消防法他法例との関連、日照権、通風権、環境権・・・・・

上記いずれの防音対策についても、施工技術の優劣により防音効果は、同じ防音材料を使ってもその差異が大きいため、施工に当たっては美観・雨仕舞等を主眼とする一般建築工事でなく、防音を主眼とする間隙部密閉処理を充分配慮した上の、綿密且つ入念な施工を行う事。

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