日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

Vol.24, 2000-4

工学会の講習会で、空気は通す(排気?)が音は通さないといった構造物の説明がありましたが、具体的に構造を教えて下さい。
                                      (匿名)

((財)小林理学研究所 松本敏雄)

まず、音は空気中を伝わる波動です。空気が通れば、必ず音は伝わります。したがって、「空気は通すが音は通さない構造物」はちょっと言い過ぎです。しかし、空気を通しながら音を減衰させる物はあります。身近な例としては自動車のマフラーや建物内の空調設備用吸音ダクトなどの消音器(サイレンサ)が挙げられます。上記の質問を「空気は通すが音を通しにくい構造物」とするとそれはたぶん吸音ルーバーのことではないでしょうか。吸音ルーバーは、掘割構造道路やトンネル出入口部に架設し、道路交通騒音を対策するための道路施設です。もともとはトンネル出入口部の照度調節(明るさの変化をやわらげる)装置として開発されたものです。この装置はルーバーブレードといわれる薄いパネル板から構成された格子状の構造物であり、光学効果の他に空気が通ることで排気ガスの拡散を妨げないという換気効果も有しています。騒音に対してはこのブレード表面を吸音性にすることで、減音効果を得ることができます。ルーバーブレードは光が直接差し込まない間隔(外部から音源が直接見通せない間隔)で部材に取りつけられています。このブレードは「く」の字型に成型されたステンレス製の表面材(パンチングメタル[開孔率約35%])で吸音材(グラスウール[密度32kg/m3])を挟む構造となっています。図1に代表的な吸音ルーバーの構造を示します。吸音ルーバーはブレードの吸音面積や厚さにより減音量を調節することが可能で、自動車騒音(A特性加重)に対して15dB程度の挿入損失(ルーバーが有る時と無い時の差)が得られるものもあります。

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