Vol.23, 1999-8
- 航空機騒音計測について,ICAO基準では音圧型マイクロホンを指定しているが,自由音場型マイクロホンを使用した場合と何dBほどの差が出るのですか。
(メーカ 社員) -
(リオン(株) 若林友晴)
航空機騒音の測定には、飛行場周辺の環境を評価するための測定の他に、発生源対策の観点から航空機が発生する騒音が一定の基準以下であることを判定する航空機騒音証明のための測定があります。 ICAO・ANNEX16にはその航空機騒音証明に係る測定の方法が記載されています。そこでは使用するマイクロホンとして音圧型が指定され、上空を通過する航空機からマイクロホンへの音波の入射角がかすめ入射(正面に対しての90°入射すなわちマイクロホン振動膜面の延長面上)となるようにマイクロホンを水平に設置することが規定されています。このような位置関係を満足した場合には飛行軌道上において音の入射角が常に一定となるため、全方向を均一な周波数特性で測定することが可能です。 下図に音波の入射角をパラメータとした時の、1/2インチ音圧型マイクロホンの自由音場における周波数特性を示します。音圧型マイクロホンはかすめ入射においてほぼ平坦な特性を示すため、このようにマイクロホンを設置すれば自由音場型マイクロホンを正面入射で使用した場合と同一な測定結果の得られることがわかります。 実際の測定においては音波の入射角が一定でないために音圧型と自由音場型の両者間で周波数特性に僅かながら差の生じることがあります。しかし、航空機騒音の周波数成分を考え合わせれば評価量に与えるその影響は極めて小さく、統計的に両者の測定値が同じであるという実測結果も報告されています1)。
参考文献
- 1)吉岡:航空機騒音の測定方法, 騒音制御, Vol.19, No.3, 1995