日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

Vol.23, 1999-4

自動車のユニットパターンについて、交通量が非常に少ない時に試験車両を1台走行させて理想的なユニットパターンを実測することが出来たら、そのデータから伝搬特性を抽出して使用することはできないでしょうか。道路構造や交通条件から求められるユニットパターンの計算値よりも有効なデータになると思うのですが。
                                      (匿名)

((財)小林理学研究所 松本敏雄)

現場において、自動車1台の理想的なユニットパターンを測定することができれば、それによる計算値と実測値との対応を検証する上でも非常に有効なデータになると思います。

では、理想的なユニットパターンとはどうすれば測定することが出来るのでしょうか。まず、試験車両として大型車と乗用車の2種類は必要となるでしょう。大型車については積載の有無の条件が有ればなお良いでしょう。次に、各試験車両を一定速度で対象車線を走行させ、ユニットパターンを測定することになります。その時、3種類程度の速度を設定し(例えば、40、60、80km/h)、データの安定性を確保するためには各車両、各車線毎に5回程度を走行させることが必要でしょう。また、現場ではなかなか難しいことなのですが、ユニットパターンの測定範囲(計算の場合は、道路中心線から測定点の距離の±20倍が必要。25mならば±500m)で十分なS/Nが取れていることが必要な条件となります。さらに、ここで測定されたデータは、試験車両がある一定速度で走行した場合のユニットパターンの実測値に過ぎません。このデータから伝搬特性の部分を抽出するためには音源である試験車両のパワーレベルの測定も同時に実施する必要があります。まだ、これ以外にも必要な測定や注意すべき点はたくさんありますが、自動車1台の理想的なユニットパターンを測定するには多大な労力を必要とすることが理解できると思います。私自身も、試験車両あるいは一般車両の単独走行を狙ったユニットパターン測定、スピーカを用いたユニットパターン測定等をこれまで手がけてきましたが、思うようなデータが得られたことは少なく、上記のいずれかの条件を犠牲にせざるを得ないことがしばしばです。  確かに、自動車1台の理想的なユニットパターンを実測することができれば、計算値よりも説得力があり車線毎の寄与が把握でき、また交通条件の変化に対しても汎用性が高いなどの有効なデータになると思いますが、音の伝搬過程での条件変化に対応できないといった欠点も考慮しておく必要があります。もし、自動車1台の理想的なユニットパターンの実測値を得ることが出来たならば、是非、本誌に報告されることを期待いたします。

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