日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

Vol.23, 1999-5

低周波空気振動について行政の取り組みについて教えてほしい。  
                                      (匿名)

(神奈川県環境科学センター 堀江侑史)

低周波音が原因と考えられる苦情は全国で毎年30件程度発生している(環境庁:騒音規制法施行状況調査より)。この件数は地方自治体の調査で原因が特定できたものの数で,これ以外にも潜在的な被害は多く存在すると考えられる。特に20Hz以下の超低周波音の場合には,苦情の原因が音にあることを見逃す場合もあることから実態は不明である。低周波音に起因する苦情件数は横這いの状況であったが,平成5年になって新幹線鉄道に起因する苦情が大幅に増えた。これに伴い,環境庁では平成6~7年度に低周波音の影響について調査を行った。この調査は,研究機関や自治体が行う低周波音に関する調査研究の進捗状況と発生源別の音圧レベルを把握し行政としての対応について検討するためのものであった。報告では,研究成果に関する文献調査結果を述べるとともに今後の課題として測定方法の確立,評価量,指針値などについて検討が必要であるとしている。最近,行政が対応した苦情事例としては次の様なものがある(公害等調整委員会報告より)。

  1. 染色工場からの低周波音による心理的感覚的被害
  2. 空調機用送風機からの感覚的・心理的騒音被害
  3. 料亭の高圧トランスから発生する騒音による感覚的・心理的被害
  4. ある老人が感じる原因不明の騒音について
  5. ヘリコプタの騒音振動について
  6. アルミ工場加熱乾燥炉から発生する低周波騒音による心理的感覚的被害

環境庁ではこれまで低周波空気振動と呼んでいた80Hz(1/3オクターブバンド中心周波数で)以下の音について最近では「低周波音」と称するようになっている。

低周波音の発生源として大型機械,燃焼機器,発破作業,長大橋,治水設備,新幹線トンネルや航空機のエンジンテストなどがあげられる。これらのうち,大型機械,燃焼機器やエンジンテストなどについては対策法の研究が進み成果をあげているが,一般的に低周波音の対策は大がかりになるため対策が進んでいない。

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