日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

Vol.21,1997-3

FFT分析ではアベレージングと時間窓関数に数タイプがありますが、 どのような音にどんなタイプを選択すればよいのでしょうか。
                                      (匿名)

((株)荏原総合研究所 丸田芳幸)

一般的なFFT分析器にはアベレージング(平均化)機能として、 「時間領域での平均」「周波数領域での平均」「MAX(またはピーク)平均」 「トリガ平均」「指数平均」があります。また、 時間窓関数としては「レクタンギュラー(方形)」「ハニング」 「ハミング」が一般的です。

まず窓関数に関して、例えば城戸著「FFTアナライザ活用マニュアル」 (日本プラントメンテナンス協会発行)から説明図を引用します。 正弦波及び第10高調波までを含む複合波信号を方形窓で分析すると、 信号の基本周期の整数倍が時間窓と等しければ正確に分析でき、 図1の(a)を得ます。しかし非整数倍の時間窓では(b)のように、 各成分の周波数とそのピーク値は(a)と等しいのですが、 本来存在しない周波数成分が大きな値として分析結果に現れます。 時間窓が基本周期の非整数倍であることが騒音分析の一般的な条件ですから、 ピーク成分以外に存在する成分もFFT分析で理解しようとすると、 方形窓では不十分になります。

そこで非整数倍の時間窓でも正確な分析を期待して、 信号を周期関数に近づけるハニング関数やハミング関数の時間窓を用います。 上記複合波信号をハニング窓とハミング窓で分析すると、各々(c)、 (d)となります。どちらもピーク周波数は方形窓による分析と同じですが、 ピーク成分の値は方形窓の結果より小さくなります。 ハニング窓とハミング窓の違いはピークの形状とピーク以外成分の値に現れます。 ピーク成分以外の成分を重視するならハニング窓が、 ピーク成分の尖鋭度を重視するならハミング窓が適しています。

しかし、これらの機能を使いこなすためには経験によるノウハウが必要です。 回答者は上記のような解説書に基づいて次のように使い分けています。

時系列波形を観察したり伝達関数や相関関数解析を行う場合は、 方形窓で時間領域平均かトリガ平均を用います。

スペクトル分析では周波数領域の平均を用いますが、 騒音波形は一般的に周期関数ではありませんので、 適当な時間窓を次のように選定しています。

  • 方形窓支配的な周波数成分が明確であって、そのピークレベルの正確さを希望する分析。設定した周波数範囲内で高周波数成分が多い騒音を分析する場合。
  • ハニング窓空調設備の音のように低周波音が支配的だが高周波数成分まで分析する場合。 また風切り音のようにピーク成分が不明で広帯域周波数の場合。
  • ハミング窓エンジン音のように複数のピーク成分が予想され、 スペクトルの裾の部分の形状よりもピークの値に精度を求める場合。

以上のような騒音では連続的な平均化を行いますが、 プレス機械のような間欠騒音ではトリガ平均で方形窓を、 また噴流音のように広帯域周波数音が支配的でその周波数の変化を 観察する場合にはハニング窓と指数平均を、 さらにある時間内の最大値成分を知りたい場合や瞬時現象の分析には MAX平均を用いています。

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