日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

会員コラム

私の韓国交流記 (Vol.41 No.6)
私の韓国交流記

私の韓国交流記

私事で恐縮ですが,これまでお隣の国,韓国の研究者の皆さんと公私にわたって交流させて頂く機会が多くありました。その過程で見聞きしたこと,感じたことなど四方山話をご紹介させて頂きます。

 私が現在の所属(当時は九州芸術工科大学)に就職した当初,研究室には韓国出身の大学院生が二人ほど在籍していました(その後さらに一人が加わりました)。彼らは日本での生活に大変馴染んでおり,日本のテレビ番組で覚えた冗談を連発するなど,着任したての私は彼らの勢いに圧倒されるばかりでした。研究室のパーティーで韓国料理を頂いたり,合宿で韓国を訪れたのは良い思い出となっています。韓国を身近に感じるのは,彼らのお蔭でしょう。後ほど触れますが,彼らが大学院を修了した後も研究などを通じた交流は続いています(お世話になっている,というのが正確なところです)。

 私が現在の職場に着任して23年が経った頃,私の周囲では韓国との組織的な交流が始まります。他の学会の話題になり恐縮ですが,日本音響学会九州支部と韓国音響学会嶺南支部が隔年で音響学に関する国際会議を共同開催することになり,九州嶺南音響学会議(韓国開催時には嶺南九州音響学会議)が20031月に九州芸術工科大学で初めて開催されました。その2年後の20051月に,今度は韓国・釜山の釜慶大学で2回目の会議が開催され,その後これまでに,日本と韓国の持ち回りで計8回の会議が開催されました。この会議には,韓国から超音波や水中音響を専門とする先生方を中心に,学生さんも多く参加していました。それほど規模が大きくない会議であり,日本の学生にとっても英語での発表に慣れる良い機会となっていたように思います。すべての会議に参加できたわけではありませんが,何度か実行委員を仰せつかり,韓国の先生方や研究室の韓国出身の大学院生と協力して会議を運営する機会がありました。訪問した際にいつも思うことですが,韓国の皆さんの手厚い歓迎,ホスピタリティーはなかなか真似できるものではありません。特に思い出深いのは,釜山から150kmほど北に位置する安東で開催された会議に参加したときのことです。会議の内容もさることながら,エクスカーションとして,朝鮮王朝時代の両班が暮らした伝統的な家屋や生活様式を今に残す河回村(ハフェマウル),韓国を代表する儒学者によって建てられ,お札にも印刷された陶山書院(トサンソウォン)などの見学をアレンジして頂き,大変充実した訪問となりました。この国際会議は,諸般の事情により,20172月に行われた第8回を以って終了となりましたが,この交流は両国の音響学会の連携という形に引き継がれました。今後3年おきに,日本あるいは韓国の音響学会の研究発表会でジョイントセッションを実施するというものです。ご関係の皆様のご尽力により,20179月に行われた愛媛での研究発表会において,第1回目のジョイントセッションが開催されました。次回は3年後に韓国で開催されることになります。

 私個人の仕事を進める上でも,ご縁を頂いた皆さんに大変お世話になっています。2013年から2014年にかけて,韓国のソウル市内で自動車のクラクションに関する測定やアンケート調査を実施しました。ビルが立ち並ぶオフィス街のとある交差点に騒音計を設置し,交差点付近で使用されたクラクションの騒音レベルや,クラクションが使用された状況などを長時間にわたり記録するというものです。ソウル在住の卒業生にご協力を頂き,交代しながら交差点の歩道に11時間座り続けました。当時このような作業を効率的に行う知恵も資金もなかったため,無理を申し上げてご協力をお願いしました。長時間にわたって観察を続けると,交通事情やクラクションが使用されがちな状況が見えてきます。交通規則がクラクションの使用に関係する可能性も伺えました。日本では騒音問題としてクローズアップされることがあまりないクラクションですが,道路交通騒音の主要な音源の一つとなっている国もあるようです。将来こういった問題の改善に多少なりともお役に立てることがあれば嬉しく思います。

 振り返ってみますと,韓国の研究者の皆さんとの交流に大変恵まれてきたように思います。諸先生方が築き,今に続くこのような交流を今後も続けていくことが大切だと考えます。微力ながら,そのお手伝いができれば幸いです。

(九州大学 高田正幸)

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