日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

会員コラム

見えないものを見る(Vol.38 No.5)
見えないものを見る

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はじめに        

 この度、平成25年度の研究功績賞(騒音・振動低減材料の開発等に係る一連の研究業績)をいただき大変光栄なことと思っています。 私の騒音・振動との関りは、大学勤務時代に「ランダム振動の防止に関する研究」をスタートし、ブリヂストン時代(当時はブリヂストンタイヤ株式会社に1971年に33歳で途中入社)に振動低減、騒音低減に関する技術・製品開発に携わり、50年近く、この分野に関わってきて、現在まだ、この分野に関わっておられることは幸せなことだと思っています。この分野におけるこれまでの私の歩みの一端をご紹介させていただきます。

大学から企業に入って、騒音・振動の低減材料・デバイスの製品開発が主たるミッションになりましたが、それらを継続的に、体系的に生み出すために、音・振動の基盤技術も重要と考え、取り組みを進めました。

現在、いろいろな分野で、可視化技術が開発されていますが、私も基盤技術の一つとして、“見えないもの見る”つまり、“音や振動の可視化”についても早くから興味を持ち、  

いろいろな手法について検討し、製品の低騒音化、騒音低減材料・デバイスの開発に適用し、新しい発見や開発の促進に役立てて参りました。

音を可視化するということ

 可視化することは、点の情報を面の情報で捉えることが出来ます。そのことにより、音源探査に役立つのは勿論ですが、材料やデバイスの発現メカニズムの解明、製品の低騒音化の新しい情報など開発や設計のヒントが得られます。

 まず最初に、私が取り組んだのが、図1に示す“圧分布”と“位相”の可視化(無響室の中で写真撮影)でした。

 この可視化により、新しい騒音低減デバイスの開発が急速に推進でき、社内外の認知にも有効でした1)

また、この技術を大型タイヤの騒音低減にも適用した結果を図2に例示しますが、タイヤの騒音発生メカニズムはパターンノイズは高周波数領域で、中低域周波数領域はタイヤのサイドからケースの共振に伴う固体伝搬音が発生していることが分かり、その後の低騒音化に有効な情報を得ることが出来ました。

現在では、ビームフォーミングの技術によ   図2大型タイヤの騒音発生例2)るリアルタイムに騒音探査が出来る装置も開発されており、私も低騒音化に適用してみて、大変有効なツールと思います。

おわりに

騒音・振動低減技術・材料は“古くて新しいもの”と思います。原理原則は変わらないが、評価・解析技術の進歩、新材料の出現、人の生活様式、意識の変化、法規制などによって、これからも変化、発展していくものと思います。“音・振動の可視化技術”もますます進化して行くものと思いますが、その有効性は、使い手次第ともいえると思います。

文献

  • 飯田:可視化情報学会27,No.104,3-8

冨田、飯田:騒音制御Vol15,No.4,Vol27   

飯田一嘉(ブリヂストンケービージー株式会社)

 

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