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公益社団法人 日本騒音制御工学会

会員コラム

宮城県における騒音・振動について (Vol.37 No.4)
宮城県における騒音・振動について

宮城県における騒音・振動について

東日本大震災による影響

 平成23311日未曾有の大災害をもたらした東日本大震災が発生しました。大津波が押し寄せた沿岸部は壊滅的な被害を被り,2年を経過した現在も復旧・復興が思うに任せない状況にあります。当センターは昭和536月に発生した宮城県沖地震で庁舎の柱や壁がひび割れ,検査機器類もほとんど落下するなど大きな被害を受け,その後耐震補強工事等を実施しましたが,今回の東日本大震災には耐えることが出来ず,庁舎のいたるところがひび割れし傾くと同時に1階の床が陥没し波打つ状況となり,内部の機器類は落下転倒し大きな被害を受けました。新庁舎は現在地に平成26年度中に建て替えることになっています。

騒音振動に関しては,飛行場が海岸の近くにあるため,航空機騒音の常時監視局6局中3局が津波により跡形もなく流出しました。常時監視局は全て新環境基準対応型で整備後約1年しかたっておらず大きな痛手でしたが,平成24年度末には再整備し現在は元の状態の6局で監視測定を行っています。また,庁舎内に配備している騒音計やレベルレコーダなどの騒音振動関係機器の点検調整や破損した機器類の再整備が12月までに全て完了し,平成24年度からは通常業務ができる状態にまで復旧しました。

高速交通騒音対策

本県では航空機騒音,新幹線鉄道騒音,高速自動車道騒音を高速交通騒音対策として常時監視を行っています。航空機騒音については,国土交通省所管の仙台空港,航空自衛隊所管でブルーインパルスの母港である松島飛行場,陸上自衛隊所管でヘリコプター主体の霞の目飛行場の3飛行場について,「航空機騒音に係る環境基準」の類型あてはめを行っています。飛行場周辺の常時監視地点における過去20年間に亘る経年変化では,仙台空港,松島飛行場については,漸減傾向にあり,霞の目飛行場も地点によるバラつきはあるものの全体的には横ばい,あるいは減少傾向にあります。

東北新幹線鉄道は昭和57年大宮-盛岡間を最高速度210km/hで暫定開業しましたが,その後順次速度が向上され,現在は一部の車両が320km/hで営業運行しています。新幹線沿線の常時監視地点における騒音レベルの経年変化は一部を除き全体的には漸減傾向にあります。一方振動レベルについては一部減少傾向にありますが,他の地点では横ばいか増加傾向にあります。これらのことから,速度上昇に伴う各種の騒音対策の効果が表れていますが,振動については対策に難しさがあるように思われます。

高速道路については,東北道,山形道,常磐道,三陸道及びこれらを結ぶ高速道路が開通しています。開通当初はアスファルト舗装でしたが,現在は高機能舗装が拡大し,常時監視地点の過去10年間の経年変化から,高機能舗装による騒音レベルの低減が見られます。

自動車騒音の面的評価

県内の幹線道路沿道50m範囲の住宅における環境基準の達成状況を把握するために,幹線交通を担う道路沿道に設定している307評価区間約4万戸の住宅について評価しています。平成12年度からの経年変化を見ると,昼夜間とも環境基準を達成している割合は約7%の改善が見られました。なお,平成25年度からは常時監視業務が市の法定受託事務となったため,県の評価対象は町村の133評価区間,約9,000戸と大幅に減少しています。

苦情の状況

本県における典型7公害の苦情件数は昭和45年度からの経年変化を見ると昭和54年度の1,302件をピークに減少を続けており,平成23年度は約500件で、このうち仙台市が約半分を占めています。騒音・振動についても昭和54年度の456件をピークに減少を続けていましたが,平成12年度に増加に転じ,平成22年度からは再び減少傾向にあり,平成23年度は183件で典型7公害の約37%と多くを占め,建設作業に関する苦情が多い状況にあります。苦情に関しては,一義的には市町村が対応しますが,問題が複雑化した場合や詳細な測定が必要な場合は当センターに測定依頼されます。近年は,新幹線鉄道によるトンネル出入り口から発生する低周波音や発生源が不明な低周波音と称する測定の依頼が多くなっています。

技術研修

本県では,年度当初に毎年騒音振動悪臭担当者研修会を開催しており,1日目は環境関連法令の概要、騒音振動・悪臭の基礎的事項や事務処理の説明,2日目は実習を行い毎年3040人が参加しています。研修生はほとんどが事務職であり,主に初めて騒音を担当する職員となっています。この研修は騒音規制法や県公害防止条例の円滑な事務処理が目的であるため,実習の内容も工場騒音や自動車騒音の測定方法とデータ処理が中心で即戦力の養成に力点が置かれています。

最後に

全国的には騒音に対する苦情は依然として多く,風力発電やエコキュートなどの新たな問題や今後評価方法の変更等が考えられますが,各県の試験研究機関に騒音専任職員がほとんど配備されていない状況の中で,新たな問題に対する即応体制の整備が求められています。

菊地 英男(宮城県保健環境センター)

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