日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

会員コラム

九州大学岩宮・高田研究室の紹介(Vol.36 No.2)
九州大学岩宮・高田研究室の紹介

九州大学岩宮・高田研究室の紹介

私たちの研究室は,音と人間の関わりに関しての研究を行っています。具体的には,音質評価に関する研究,サウンドスケープに関する研究,サイン音に関する研究,音と映像の相互作用に関する研究などを実施しています。人間を対象とした研究が多いため,心理実験やアンケート調査が中心となりますが,俳句や小説といった文芸作品,テレビや映画などの映像メディアに表現された音環境も研究対象としています。

大学院の学生は,九州大学芸術工学部音響設計学科からだけではなく,他学科,他学部,他大学からの入学者もかなりいます。外国からの留学生や社会人学生も,増えてきました。岩宮眞一郎と高田正幸の2名の教員が,学生を指導して研究を進めています。いくつか最近の研究の一端を紹介します。

「オートバイの音に対するライダーと非ライダーの意識の違い」の研究では,うるさくて嫌われ者のバイクの音をライダーが好んでいる状況を明らかにしました。ライダーは単にバイクの音を聞いているのではなくて,バイクをイメージしながら音を感じているのです。ライダーたちは,ドスのきいたマッチョなアイドリング音,ブイブイ唸り,かん高く吠える走行音が好きなのです。

「トイレ用擬音装置に対する意識調査」では,自分自身の排泄音を他人に聞かれることへの羞恥心が日本女性特有のもので,「音姫」などのトイレ用擬音装置が広く受け入れられている状況を明らかにしました。福岡市内の女子トイレを巡って,擬音装置が結構な音量なのを確認しました(なお,私が女子トイレを回った訳ではありませんので,誤解のないように)。

携帯型音楽プレーヤの利用実態に関する研究では,若者が携帯型音楽プレーヤを利用して音楽を日常的に聴取している実態を明らかにしました。音楽聴取中に,回りの音があまり聞こえず,危険な目に遭遇した回答者も何名かいました。散歩時にふさわしい音楽に関する調査と称して,音楽を聴きながら小川のほとりを散策してもらい,その実,聞こえた環境音の調査を行いました。音楽を聴いていると,すてきな自然音を聞き逃しているようです。

 韓国のGS建設との共同研究にも取り組み,GS建設さんが手がける高級マンション内のサウンドスケープ・デザインのお手伝いをさせてもらいました。この研究では,研究室の卒業生が経営する韓国のサウンドスケープ社がデザインした各種のサイン音の評価を行い,マンション内に設置することになりました。(あくまでも)韓国出張のついでに,韓国のごちそうをたくさんいただきました。

「機械音の音質の経済評価」では,ドライヤーや掃除機などの音質を快適にすることで,製品に付加価値が生まれることを明らかにしました。ドライヤーでは,快適な音はワン・コイン程度の価値があります。

「自動車の警笛に関する意識調査と印象評価実験」では,運転者が警笛に込めたメッセージを明らかにしました。「プッ」あるいは「プップッ」と短く鳴らした警笛は挨拶として解釈されます。「プー」と長く鳴らされると,危険な状況の警告と受け取られます。また,低域を強調することで警笛の不快感を軽減することができます。

音の生態学-音と人間のかかわり-(コロナ社),音楽と映像のマルチモーダル・コミュニケーション 改訂版(九州大学出版会),音のデザイン―感性に訴える音をつくる―(九州大学出版会),音色の感性学 -音色・音質の評価と創造-(コロナ社)などの著書では,我々の研究室の成果を紹介しています。

世の中のトリビアを増やしているだけかもしれませんが,興味を持っていただければ幸いです。いつか,「イグ」でいいから,ノーベル賞を取ってみたいと夢見ています。

 図-1 心理実験の様子(地味でごめんなさい)

岩宮眞一郎(九州大学芸術工学研究院)

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