日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

会員コラム

東京タワー展望台(Vol.33 No.2)
タワー展望台

東京タワー展望台

 2009年,関東地方では民放各局の開局50周年企画が数多く行われていた。昨年暮れには,東京タワー50歳を祝うイベン卜が開催された。ここであらためて東京タワーの電波塔としての役割を思い出す。

 「東京タワー展望台リニューアルプロジェク卜における“静かさ創出による音環境デザイン”」 が,当学会の環境デザイン賞を受賞したのは平成14年度。既に6月の月日が流れた。この間,東京タワーを舞台にした映画や小説が次々とヒッ卜したことも相まって,東京タワー展望台の人気は急上昇した。リニューアルプロジェク卜に関わった一として嬉しい限りである。

東京タワーの建設時を振り返る資料や企画はたくさんあるが,今後リニューアル時を振り返ることは果たしてあるだろうか。そう考えた時,あのリニューアルプロジェクトにも,様々なドラマがあったことを思い出し,少しだけこのコラムに書き記しておきたいと思った。

 このプロジェクトは設計コンペで始まった。私はコンペへの参加に向けて、プロジェクトのメンバーと共に何度も東京タワーに足を運び,その都度不思議な魅力に取りつかれていったように思う。なつかしさや親しみもあったが,何よりも東京タワーからの展望は,どんな展望台からの眺望よりもすばらしかった。だからこそ,主役である”展望”を大切にするするデザインにしたいと思った。大展望台に吹抜けをつくり,ロープウェーのようなライドを走らせるプランも飛び出した。さすがにこれは採用されなかったが,想いは通じたのだろう。我々はコンペを勝ちくことができた。

 大変だったのはそれからのこと。展望台の運営を休むことなく工事が進められたため,資材を運ぶエレベーターは夜間しか使用できないが,オープニングイベン卜の日程は何があってもずらせない。昼夜逆転の毎日。 私は“にわかヱレベーターガール”となって,真夜中に職人さんを乗せたヱレベーターの運転を何度となくしたものである。工事の喧騒が去った夜明けの展望台で一人環境演出音の現場調整に走り回ったのがつい昨日のことのように思い出される。

 工事中は辛い事も多かったが,展望台から見る日の出の美しさには,何度も励まされた。大都会東京が眼下に広がるその先に見える海が,少しずつ紅く染まっていくあの光景は,忘れられない。

 環境デザイン賞の盾は,大展望台の一角にひっそりと飾られている。皆さんも,かくれんぼでもするつもりで見つけに行ってみてほしい。

 

(船場ひさお)

 

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