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公益社団法人 日本騒音制御工学会

会員コラム

無題(高速道路遮音壁が環境デザイン賞を受賞(Vol.33 No.4)
無題(高速道路遮音壁が環境デザイン賞を受賞

無題(高速道路遮音壁が環境デザイン賞を受賞

2009年、東名高速道路が開通40年を迎えました。これまで日本の東西の都市圏を結ぶ大動脈として日本経済の発展に大きく貢献してきましたが、急速な都市化による生活環境の悪化、構造物の高齢化、交通集中による渋滞発生など、様々な問題点が発生していることも事実です。そこで、代替路線として新東名高速道路の建設を平成5年から進め、当学会の環境デザイン賞を受賞した箇所は平成15年に開通しました。

新東名は、「ゆとりある道路構造」を目指して全線で6車線を確保し、トンネル内の路肩を広くしカーブや勾配も緩やかに設計されました。加えて「人にやさしい道づくり」を目指し、周辺地域に与える影響を考慮するのはもちろんのこと、景観に配慮したデザインも考慮することとしました。遮音壁についても例外ではなく、おそらく初めて走行景観や外景観を考慮して遮音壁構造を決定することとしました。

先行して開通した区間では最大高さ8m張り出し5mの遮音壁を設置しました。走行中に感じる圧迫感の軽減に配慮した形状や材質を選定し、照明や標識なども遮音壁と一体化したすっきりとしたデザインにすることで開放感のある道路空間を実現しましたが、施工性、維持管理性、経済性に劣り、これを全ての新東名沿線に展開していくことは内部的に非常に困難でした。そこで、「新技術を駆使して何とか優れた遮音壁が考え出せないか」と知恵を絞ったのが大型の分岐型遮音壁です。

それまで存在していた分岐型遮音壁を大型化したもので、模型実験や現地試験施工により効果等を確認して構造を決定しました。パース図をパンフレットに記載するなどほぼ決まりかけていましたが、会社の上層部より「もっと景観に配慮するように」との声がかかり、遮音板の落とし込みをやめ前面取り付けタイプのパンチング構造にしたり、直線部と分岐部の境目を曲線にして滑らかにしたりさらに工夫を重ねました。景観がよくなった代わりに施工方法や強度の確認に手間がかかり現場の担当者は苦労の連続でした。

こうして完成した大型の分岐型遮音壁は、施工性、維持管理性、経済性はもちろんのこと、デザインも大変好評であり、また環境デザイン賞も頂いたことから、今後建設を進めていく静岡県内の新東名高速道路にも順次設置していく予定でした。しかし、平成13年頃から始まった日本道路公団の民営化の議論により、事業の見直しが図られ、交通量や車線数を見直したことに加え、大型車の速度規制やタイヤの性能向上などにより、騒音の予測値が当初想定していた値よりも大きく下回るようになりました。このような事情から、今後本遮音壁の設置を予定している箇所が少ないことはとても残念なことです。

 私は、大型の分岐型遮音壁の施工中に初めて本件に関わりましたが、騒音の先生方におかれましては、新東名高速道路の遮音壁計画が決まった時から非常に沢山の御意見・アドバイスを頂きました。また現場にも足を運んで頂きました。この場を借りて改めて御礼を申し上げます。ありがとうございました。  

パンフレットに記載された大型の分岐型遮音壁

実際に設置された大型の分岐型遮音壁。H鋼を隠し、見える部分を滑らかにした。

普段は見られない上部からの視点

 (舩橋 修)

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