日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

会員コラム

手放せない会誌を目指して(Vol.29 No.1)

手放せない会誌を目指して

このコラムでは、昨年までの2年間(27巻・28巻)に、若手会員の方とベテラン会員の方から騒音制御工学会に対するご要望やご意見などを投稿いただき、紹介してきました。その中で、会誌に対するご意見も幾つかありました。それらに対する回答を兼ねて、会誌編集の現状や今後の方針などに関して、編集理事の立場から筆(?)を執ろうと思います。

会誌「騒音制御」の編集委員を2期(4年)連続して務めた後、前期から編集委員長を任せられて3年が過ぎます。15年ほど以前にも編集委員を1期務めましたので、もう既に、私は9年間も編集作業に関与したことになります。しかし、この作業に飽きたり、マンネリ化していると感じることがありません。これは、「静かな社会を実現したい」との趣旨から騒音制御工学会に入会されている会員の殆どの人が、「工学会が不要になるほど十分に静かな社会を実現できた」と感じられないことと、共通するものであろうと思います。会員の皆様にお伝えしたい騒音制御工学に関する情報が、まだ溢れるほどに存在していると考えます。この溢れるほどの情報の中から、如何にして読者に関心を持っていただき、判りやすくお伝えできるものを抽出するのかが、編集委員会の任務であると認識しています。私よりも長期に亘り連続して編集委員を務めている1名の委員は、「仕事に直ぐ役立つような特集の企画が最適である」と口癖にしておりますし、私もそのように考えています。

編集委員会には委員長の他に12名の委員が居り、2名が一組になって6組で次のような分野を分担して、特集記事の企画をしております。[騒音発生源],[騒音振動伝搬系],[音環境や感性評価],[規格と計測技術],[社会政策],[交通騒音]。もちろん、この分担に固執するものではなく、ある種の騒音に関する、発生源・伝搬経路・受音環境・計測評価方法という一環の中で騒音低減技術や関連情報を特集にする場合も有ります。過去に無かった特集、過去に発行されていても内容が大部分更新される特集等を、委員会の討議を経て選定して企画の詳細を詰めています。その場での編集の方針は、「手放せない会誌を目指して」です。学術研究をするために手放せないというよりは、騒音制御に関連する実務を進める時に、直ぐに役立つ解説や技術事例の報告および資料集等が詰った会誌が、手放せない一冊になると理解しています。編集委員の殆どが騒音制御を実務としていますので、自分が利用したくなるような内容の特集案が提案されますと、「良い企画である」、「関心を惹く特集である」等で委員会の討議が盛り上がることが多々有ります。しかし、企画した内容を執筆できる人がいるのか、という執筆候補者探しの段階で行き詰ってしまい、時期尚早として残念ながら見送る場合も時々有ります。これは、工学会の会員のニーズと同じ視点から特集を企画したいが、難解すぎる、あるいは冗長すぎる内容では会員のためにならないと判断するからです。

さて、幸いにして会誌の発行予算には最近余裕が有りますので、会員からマンネリ化した会誌であると思われないような魅力ある編集をすることを目的に、今後の会誌編集における抱負を紹介いたします。

現状の隔月発行は維持しますが、ページ数を現状の平均よりも約15%増加させ、そこへ会員からのご要望に基づく連載的な解説記事や技術資料を掲載しようと思います。例えば「技術自慢」のようなシリーズ企画を設け、世界に誇れるような国内の騒音制御技術を紹介したり、「国際会議短信」のようなジャンルを設け、会員がINTER-NOISEで発表した講演論文の概略を半ページ程度で紹介して頂こうと思います。また、図表をカラー刷りで判りやすく表現するツールも普及してきていますので、特集記事の中にはカラー刷りでないと理解できない図表も散見するようになりました。そこでこれらの図表を集めたカラー刷りの口絵ページを定常的に4ページ以内で設けることも予定しております。モノクロ印刷でも十分に理解できる図表を敢えてカラー刷りにすることは有りませんが、会誌も将来的には電子出版へと移行する流れは確実ですので、そうなればモノクロとカラーを区別することも不要です。ですからカラー図表の受け入れも必要に応じて進めようと思います。

会員から「手放せない会誌」と認められるようになることを目指して、今後も特集を中心にする編集を継続いたします。企画の対象には、「ニーズに応える特集」や「時節に適した特集」の観点から編集委員一同が、騒音制御工学に関する幅広い分野にアンテナを拡げて情報の収集に努力していきますが、会員の皆様からも企画して欲しい特集内容などをご提案いただけると嬉しいです。また、28巻6号の特集のように国際的な動向の紹介をすることも、ニーズに応える企画の一つとして、不定期ではあっても企画していきたいです。

なお、解説記事の特集が主体であっても、会員からの投稿論文の掲載も益々促進しようと考えます。特に有効性に関する査読に重みを付けることで、仕事に役立つ論文が載っている会誌として、独自性を示せるものと考えます。

(荏原総合研究所 丸田芳幸)

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