日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

会員コラム

出版等に関すること(Vol.29 No.3)

出版等に関すること

学会誌の「会員コラム」に掲載された若手会員及びベテラン会員の方々から頂いたご意見ご希望の中から出版等に関する貴重な助言について考えてみたいと思います。

若手会員の執筆者からは,「子ども向けや一般市民向けの騒音についての啓発資料を作成する際に自由に使える資料集を作成し,学会ホームページを利用して広めることはできないだろうか。利用者からの声を基に,改訂を繰り返していけば,数年後には,素晴らしい資料集ができあがっていることであろう。」というご意見を頂きました。この中には二つのポイントがあります。一つは子供や一般市民向けとして利用者を絞った資料を編集するということ,もう一つは利用者からの声を基にフィードバックを繰り返して編集を進めるということです。

現在,審議が進められている日本騒音制御工学会のピアレビューの素案には,「出版を担当する者は,読者が求めている図書の把握に努め,適切な出版物を選択しなければならない」とあり,頂いたご意見を反映させることは,まさにこれを実践するものとなります。いきなり子供向けの出版物を作るというわけにはいきませんが,現在,一般向けの啓発書として「お話シリーズ」の編集を進めております。その一端をご紹介しますと,「バリアフリーにおける音のやくわり」,「航空機と飛行場周辺の騒音」,「低周波音とはなにか」,「不思議音のなぞ」(いずれも仮題)などです。優しく書くことほど難しいことはない,優しく書いていただくように依頼することはさらに難しい,その一方で役立つ専門書と売れる本とは違う など,念頭に置くべきことは多々ありますが,初心者の方に出来るだけ理解してもらうためのシリーズを目指しております。

これまで当学会からは多くの書籍が出版されておりますが,いずれも多数の執筆担当の方々の共著となっております。学会誌の特集号もそうですが,特集のテーマに基づく原稿の要旨を揃えることは非常に難しいといえます。書いている本人は担当の章で筆述すべきことに専念して,他章とのバランスまでは配慮しないものです。その意味でコンセプトが散漫にならないようにするためには,編集において強力なイニシアティブを発揮する,あるいは少人数による執筆をお願いすることになります。上記のお話シリーズは後者の場合に相当しています。また,これらの出版の際には,ホームページ等で紹介すると共に講習会を企画して広く説明する機会を増やすべく,広報委員会,事業部会と密接に連携をとって進めております。

事業部会では,春と秋に講習会を開催しております。ここで人気のQ&Aコーナーは,参加者から日頃疑問に思っていることや職務上課題となっていることについて質問が投げかけられます。これは,二つ目のポイントに関連しますが,この内の幾つかは,読者の共通の疑問に対する専門家による回答という形式で,学会誌及び学会ホームページの「Q&Aのページ」に掲載されています。この中で最も多く求められているのが,専門用語の解説です。

頂いたご提案のようにフィードバックを繰り返すとまではいきませんが,投げかけられた質問などを参考に,関連ある用語をまとめて一つの項で系統的に説明する「用語事典」(仮称)の出版を計画しております。近年,インターネットの検索サイトが充実しており,一般的な側面からの専門知識を敏速に探し出すことができます。しかし,その情報を基にして子引き孫引きしていく内に,画面に表示される範囲内の断片的な情報しか頭に残らないことにお気づきになるでしょう。

学生時代によく利用した専門書には,有形無形の情報サイトが張りめぐらされており,使い慣れた初版が第二版,三版と内容が更新されても買い換える気がしないものです。一つのことを調べるために,何ヵ所ものページに指を挟んで,あっちこっちと見返した経験があります。的確なキーワードさえ見いだせれば,一つの項目を見るだけで多くの知識が系統的に関連づけて得られるように関連検索を充実し,長く利用していただける専門書を提供していきたいと考えております。

ベテラン会員の方から頂いた「日本騒音制御工学会創立以来の足跡,30年の歴史資料を編纂し後世に遺して頂きたい」というご意見につきましては,すでに創立30周年記念事業企画委員会(主査: 安藤副会長)が設置されており,研究発表会に合わせ記念シンポジウム,記念出版,記念事業等の概要が検討されています。創立30周年記念歴史資料の編纂が,環境保全における音の重要性の社会的アピールに繋がるよう,編集を進めたいと考えております。

(財団法人 小林理学研究所 吉村純一)

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