日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

会員コラム

「技術評価」等に関する課題について(Vol.29 No.5)

「技術評価」等に関する課題について

学会誌の「会員コラム」に掲載された若手会員並びにベテラン会員の方々から、貴重なご意見やご希望を頂き、その中から今回は「技術評価」等に関する課題について、現状の取り組み方や今後の抱負を述べさせていただきます。

 

    • ・認定技士当工学会では日本騒音制御工学会認定技士(以下認定技士という)の制度を確立していて、現在,約100名の方々が認定を受け活躍しています。ところが、認定技士は国家資格ではないため、一般社会において認知度が低い点は否めません。この認知度を高めるためには種々の活動、すなわち、認定技士としてのPRをはじめ、名刺の肩書きにも認定技士である旨を記す等、認定技士としての自覚を持って活動する必要があろうことは言うまでもありません。環境省に働きかけて国家資格としての認定を望む向きの方もいらっしゃるのですが、現状の社会情勢ではなかなか難しいようです。関連する国家資格の最たるものが、皆様良く御存知の技術士ですが、当工学会が包含している分野に関しては、適当な分野の細分化がなされておりません。対応としては重要な分野として技術士会に申し入れ,それ相応の位置付けを望むのか、独自に活躍するかということになりましょうが、いずれにしても一筋縄ではいかない問題です。地道な活動が当然必要ですが、現在,任意団体でもある認定技士の会と協力して展開する必要もあるといえましょう。翻って考えてみますと、現在の日本では、技術や技術者が正しく評価される制度が確立しておらず、苦々しい思いをしたことは、枚挙の暇が無いほどといえます。日本的体質と言ってしまえばそれまでですが、技術者側も技術を使ってもらえばそれだけで満足といった姿勢も影響していることも事実でしょう。以下に紹介しますAPECエンジニアでは比較的しっかりこの技術評価が実現されており、今後の我々の鑑になると考えられます。

・APECエンジニアAPEC(Asia-Pacific Economic Cooperation)エンジニア登録制度は、日本、オーストラリア、カナダ、香港、韓国、マレーシア、ニュージーランド、インドネシア、フィリピン、米国、タイの11エコノミー間で締結されました、国境を越えた技術者の自由な活動を支援する制度です。APECエンジニア相互承認プロジェクトにより、エンジニアとして承認されますと、加盟国内では同等水準の技術を有する技術者として扱われ、活動が促進されることになります。APECエンジニアとして登録できる分野は現在Civil、Structural、Mechanical、Electrical、Chemicalなど11分野がありますが、日本ではこのうち前記の5分野に関して、申請を受け付けております。但し、これらの申請に必要な国内の資格としては、今のところ技術士や一級建築士などです。認定技士の該当分野としては“Structural”でありますが、現在のところ認定技師の資格を保有しているのみでは登録が出来ません。今後、APECエンジニア審査委員会に対して,工学会として働きかけをしていければと考えています。

・今後の展開今後の展開としては、工学会として地道に広報活動を展開していくことや、建築学会でも議論され、現在は多くの実績をあげている司法支援活動、さらには技術支援の保険制度なども重要な課題だと考えています。騒音振動の問題では単なる物理的な技術による解決に加え、人間感情のこじれから生ずる問題も少なくありません。そのため技術者以外に法曹界の協力も得られれば、更に強力な組織になりましょう。また保険制度とは、時には予想もしない事態により、対策効果が十分に発揮されなかったりして予想外に金銭が掛かる場合をバックアップする保険です。いずれにしても、まず認定技士が十分その任に堪えられるだけの知識、技能を保有していることを一般社会に認知してもらう事や、社会に向け多くの正確な情報を常に発信していくことなどが最優先課題と言えましょうか。これらの問題解決には我々も真剣に考えてはおりますが、多くの方々の知恵とご尽力を期待するところも大であります。いかようなご意見でも結構ですので、お寄せいただければありがたく存じます。

 

 

(鹿島技研 安藤 啓)

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