日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

会員コラム

工学会全般に関する現状の取り組み内容,今後の抱負(Vol.29 No.6)

工学会全般に関する現状の取り組み内容,今後の抱負

3年間にわたり,騒音制御工学会の将来について様々な角度から御意見を頂戴しました。このコラム自身の役割が十分に発揮できているものと思います。学会を運営する側としてもこれらの貴重な意見を元にして学会の将来設計に反映させて行きたいと思います。今回は工学会全般に関する現状の取り組み内容,今後の抱負等を述べさせて頂きます。

    • ・ 公益法人改革に向けての準備状況すでに広報委員長の堀江氏からこの欄で御紹介がありました通り,政府では公益法人改革を推進するための立法化が進んでいます。近い将来,新たな法律のもとで民間非営利法人として騒音制御工学会の存在が根拠付けられることになります。その際,非営利法人に要求されるのは,公益性の確保,自律性の向上,情報開示による透明性の向上,ガバナンスの強化です。平ったく言えば,規律正しく,公益性の高い事業を行いなさいということです。このような方針に対応するために,現在,運営のためのルールの整備を行っています。すなわち,実情にそぐわない規則をいくつか廃止すると共に,規律正しい運営をするための諸規則の新設を順次行っています。例えば公益性の高い法人である学会として,倫理に関する意思表示をするための「倫理綱領」,「ピアレビュー倫理綱領」の制定,工学会の運営組織の役割等を明確にする「組織および運営に関する規程」の改正,受託事業全般管理を定める「受託事業規程」の制定,事務局の運営に関する「事務処理規則」,「職員就業規則」,「会計規則」などの制定を行っています。まだ審議中のものもありますが,平成18年度が開始される頃には新たな法律に述べられる非営利法人としての要件をすべて満足出来るようになるよう鋭意努力を続けております。また,平成18年度より会計方式や財務諸表の作成方式が変わりますので,新たな税理士さんの指導のもとそれに対処すべく努力をしているところです。

・ 工学会の社会貢献についてかねてより騒音制御工学会の社会的認知度が低いといわれていました。認知度を向上させるためには,社会貢献というものが必要です。また,公益性の確保,すなわち不特定多数の人々への利益を図る意味でも社会的貢献は必要です。好運なことに近年は環境省から数多くの委託調査を受けており,工学会として真剣に対処しています。特に最近は,将来の環境行政に対する意志決定のベースとなる科学的データの収集や検討をすることが増えており,この意味で学会としての社会的貢献が着実に行われていると考えています。

・ 国際化が図られているか?この5年間位にI-INCEやinternoiseではGlobal Noise Policyという考え方が盛んに議論されるようになりました。それは,「騒音を排出する機械や装置は一つの国で作られて,その国の中だけで使用されるのではなく,多くの国々で製作され,それらが輸出・輸入されて多くの国の騒音問題に結びついている。そうすると騒音を規制するには国境を超えて多国間の問題としてとらえなければならなくなる」ということです。既に一部の製造企業の方々は感じられていると思いますが,EU(欧州共同体)内に機械・装置を輸出するためには,一定の騒音基準以下でないとダメという規制がかかっています。これは裏返せばEUに貿易上の非関税障壁が発生していることにもなるのです。従って,今や騒音問題と言うのはローカルではなく世界的問題として考えなければならないということです。むろん,これは機械・装置だけの問題ではなく,環境騒音問題全体に対する取り組みに大きく関与することになります。

工学会が取り組むべき問題は,国内の騒音だけでなく国際的な騒音問題の取り組みということになります。しかし,現在,工学会内では国際的議論とはやや離れたローカル問題だけに集中しているように思われます。それはそれで意味のあることとしても,日本の産業の持続的発展を願うならば,工学会内にも国際情報の収集と分析,意見の提示を図る組織が必要であると考えています。特に,I-INCEの中の議論では,Global Noise Policyというものを策定するには,ヨーロッパ,アメリカ,日本の協力が必要であるとしていますので,海外における一層の協力が必要と思われます。

・ おわりにこのコラムは工学会の将来を考える上で非常に役立っていると思います。まだまだ工学会にはやるべき仕事がたくさん残っていますが,ものごとは一朝一夕にはなし得ないので,徐々に良い方向に進みたいと考えている次第です。会員の皆様の御協力を今後とも宜しくお願いしたいと思います。

 

(小林理研 山本貢平)

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