日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

会員コラム

騒音環境改善のために学術 技術 行政の協調を(Vol.28 No.1)

騒音環境改善のために学術 技術 行政の協調を

この学会は学術、技術、行政という三つの異なった分野の会員によって構成されており、これがこの学会の大きな特徴で、これは騒音という問題を通じて社会に貢献するためにとても大切なことだと思います。

学会という名の団体は学術研究が主体で、その成果を実用化するための技術は認めてもその地位は低く、さらに行政まで含めている学会は少ないのが現状です。

学会が学術団体だとすれば学術研究を尊重するのは当然かもしれませんが、騒音に関する限り如何に学術研究が進んでもそれを実用化する技術がなければどうにもなりません。その技術が進んでも行政がそれを取り上げてくれなければ問題は解決しないのです。

工業が発達し物流が盛んな現代国家で静かな環境を得るためには、学術、技術、行政が三位一体となって事を進めなければなりません。

たとえば道路交通騒音を例に考えてみましょう。我が国の自動車騒音の単体規制は世界で最も厳しい部類に属します。この規制に合格した車が道路幅に相応しい交通量で制限速度を守って走っても道路の周辺では交通騒音の環境基準を満たせない現実があります。

ドイツの高速道路(アウトバーン)ではその両側40m以内には人の住む家を建てるのを禁じていると聞いていますが土地の狭い我が国ではできない相談です。

となると窓の遮音を良くして室内を静かにするしか考えられません。できれば道路に近接した建物には人が住んで欲しくないのですが都市部では夜間人口が減るのを防ぐためにこうした建物にも住宅を作ることを奨励しているのです。

これは道路に限らず鉄道や航空機の騒音にも、また工場騒音にも言えることで、土地に余裕のある欧米諸国では考えられないわが国特有の問題です。

騒音環境を改善するために学術、技術、行政の担当者が対等の立場で互いに協力して事を進めなければなりません。この三者のどれが欠けてもいけないのであって、全体の総合評価はそれぞれの評価の足し算ではなく掛け算だと思います。どれか一つが0点なら他の二つが100点でも総合評価は0点です。

もう一つ大切なことは立場によって評価の基準が異なることです。学術の立場から見たある技術の評価と技術の立場から見たその技術の評価は同じではありません。このためややもすると自分の立場で相手を低く評価してしまうことにもなりかねません。会員相互の理解を深め互いに認めあうことが大切です。

(東大OB 石井 聖光)

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