日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

会員コラム

次の世代に期待する(Vol.28 No.4)

次の世代に期待する

このコラムで若い方々の考えをいろいろと読ませていただいた。それぞれの立場の方々が、次のステップへの進展を考えておられるのを見て、この半世紀における騒音振動問題がいかに変遷してきたか、またその中で自分が何をしてきたかを考えさせられます。

私が騒音に関係してから工学会の創立までの25年と、創立当時から現在までの30年の間に環境における騒音振動問題は、技術の進歩と社会の進展に伴って大きく変化をしながら現在にきているなと感じているところです。昭和20年代の私は、騒音などという得体が知れないものが研究の対象になるのだろうかというような疑問を持ちながらの取り組みでした。都市騒音の主体が自動車のクラクションと街頭放送と米軍基地の航空機騒音だった時代です。気が付いてみたら、工場事業場の騒音や建設工事の騒音とあわせて交通機関の騒音が大きな問題となって、いわゆる公害という観点から取り上げられてきた騒音を仕事とする人達の中に入っていました。多くの現場を見て研究の火種が一杯という時代だったのを思い出します。

行政が真剣に公害問題を取り上げてきたときの学識経験者の端くれに入れてもらって、行政というものの重要性にもタッチすることが出来ました。これが日本騒音制御工学会の設立に重要な三本柱として、学術、技術、行政の共同体が出来た大本になっています。若い方々はそれぞれの時代の変化の中での騒音振動問題に取り組んでおられるので、時代にマッチした問題の把握をしていることと思いますが、普段考えていることを述べてみます。
・騒音振動では現場の計測が基本ではないかということ。現場を知らずにバーチャルの世界での知識だけでは実生活での騒音振動問題は解決しない。・今のコンピューターを基本とする技術の進歩は、これで何でも出来てしまうという奢りにつながってしまうのではないかとの危惧。
・国際的な基準の発信源となってほしいけれども、基準の中にも幅をつくり、国情で選択できる自由がほしい。
・問題に取り組むときに、突き進むばかりでなく、振返って全体像を眺める余裕がほしい。
などです。
時々、なんで20世紀はあんなに急いで重厚長大の箱物に拘ったのだろう、もっとゆっくりだったら公害問題なども起こらなかったのではないかと感じることもありました。しかしこれを言ったら技術屋の負けかなと口をつぐんでしまうのですが。これからも技術屋の実績を役立たせるためにも、行政との協力が中心になってほしいと思うのです。

(小林理学研究所 時田保夫)

閉じる

PAGE TOP