日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

会員コラム

本学会に於ける行政分科会の役割(Vol.28 No.5)

本学会に於ける行政分科会の役割

最近の騒音・振動行政をみますと,極めて厳しい環境に直面しています。騒音に限ってみても,関係法令の制定時からみると発生源及びその形態が多種多様化し,測定・評価も大きく改訂されましたが,住民の騒音に対する意識の変革によりその受け取り方(苦情)も大きく変わりました。その対応にも,例えば単に騒音計による騒音レベルのみではなくスペクトル,継続時間,時間帯等の要因が絡み、苦慮することが多くなっています。加えて,市町村を指導する立場の都道府県においては研究機関等の騒音振動部署の統廃合,法の規制業務を行っている地方自治体においては騒音振動の組織体制の縮小,財源難による測定・調査体制の不整備,担当者の短期間の定期移動による経験・情報量の不足等により,必ずしも十分な行政対応が出来ない状態となっています。

さらに,行政改革の煽りで市町村合併により新たに関連法令の業務を施行しなければならない地方自治体の誕生もあります。このような現状を踏まえて本工学会,取り分け行政分科会の方向性,使命,役割はなにか。本工学会は学界,業界,行政が三位一体となった組織であり,それぞれの立場を尊重せねばなりません。 しかし,現実は三者がバランス良く保たれているとは思えません。行政側からみると,精一杯の努力をしている割に,技術力が伴わないためか,説得力に乏しいためか,会員数が少ないためか,本工学会における行政の立場は弱いように思われます。本来は,行政は住民の苦情対応,その時の騒音レベル等の実態,対策後の評価等々の現場を熟知した,生きた情報を持ち合わせて本工学会で活動すべきでしょう。

私は現在幸いに(?)大学,行政,企業で環境問題に関わっていますが,こと騒音に限っても,アセスメント,大店立地法等における実測値の曖昧さと不足,企業の環境管理における測定体制の不整備或いは各自治体の実態報告の少なさ等が目につきます。

環境問題のメディアにおいて,読者に対し現場のペンによる記事よりも写真の方がより真実性或いは感動を与えるとして重んじられるように,騒音等においても現場の実測データがより重視されるべきでしょう。そのために,行政分科会が率先して-現場を重んじた実測-の行動を起こすことが必要ではないでしょうか。当然,本工学会はその支援を積極的に行うとともに,地方の騒音振動対策の実態にも目を向け,加えて昨年度の本コラム等に提案された若い人々の意見を尊重する組織体制の確立が急務であると思います。

(前神戸市環境局・環境カウンセラー 瀬林 伝)

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