日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

会員コラム

半世紀(Vol.28 No.6)

半世紀

1951年,鹿島建設技術研究所に入り半世紀に及ぶ技術研究者としての生活が始まった。企業に属した故もあって,筆者は,工学技術はその時代か近未来において実用され,社会に貢献すべきものと常に考えてきた。その後四半世紀を経た1976年,騒音制御工学会設立に参画できたことはその意味でも本当に幸いで,それからの研究生活の基盤となった。

工学会は,騒音公害問題への対応を軸に,法令の整備,技術の向上と専門家の権威の確立及び組織化,良い生活環境に関わる市民の知識や理解を進めることなどに大きく貢献しつつ成長を遂げてきた。設立後四半世紀を経て,環境分野は,健康安全と不快解消のための公害対策から一歩進んで,生活の中の心理や感性といったアメニテイ,快適な空間の創出まで範囲が広がってきている。

現在の騒音問題は,1つが鉄道,空港,高速道路,大規模市街地開発といった国,自治体レベルの巨大広域プロジェクト,もう1つが住宅内外や施設周辺など市民生活近傍の個別の問題を対象にケースバイケースの対応が求められる仕事というように,はっきり2極化してきたように思われる。前者に関しては,唯一の専門工学会としてもっと積極的に関与し,発言の機会を求めなければならない。後者に関しては,個人的レベルで生ずる多様な対応事例を収集して肌理細かく分類・分析を行い,データベースに整備してコンサルタント,アドヴァイザ業務の処理能力をレベルアップし,一般化することが必要になろう。

重要な変化に少子高齢化があり,今後半世紀は身体機能が衰えた高齢者の比率が高い社会が続く。補聴器を着用して初めて,騒音を含めて質量共に情報損失がいかに大きかったかに気付く。苦情への共感や評価が鈍っていたのではないか,自分自身の反省である。住居地区では解体工事,自動車よりむしろ単車,生活動脈の補修,商店街の宣伝,空調室外機,水洗など居住環境にこれほど喧しく煩わしい騒音があるとは,専門家としての問題意識が問われよう。

最後に認定技師について,環境省によるオーソライズは急務として,折角国際組織を持つ騒音制御工学会であるからにはAPECエンジニア*への道を是非検討していただきたい。将来は技術を保証する保険制度の確立も視野に入れるべきであろう。

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    APEC Engineer:現在日本ではCivil(技術士),Structural(1級建築士)のみ。他にEnvironmental, Mechanicalなど合計11分野がある。加盟国は,韓,米,加,豪,マレーシア,インドネシアなど10カ国。情報は,http://www.engineer.or.jp/apec/whatis.html

(長友宗重)

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