日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

会員コラム

工学会に対して思うこと(Vol.27 No.1)

工学会に対して思うこと

11月某日にこの原稿の執筆依頼を受け,軽くお引き受けしたものの,後になって,はたと困ってしまいました。「会員の方々に啓発するような,かつ工学会がより活性化するような」意見を述べよ,という命題は,研究発表会で2回しか発表したことのない私にはとても敷居が高い。ですので,まず研究発表会に対して感じていることを書かせて頂きたいと思います。

私は,騒音制御工学会の他に音響学会と建築学会の二つの学会に所属しています。このどちらの学会も,規模が大きいためか,発表会の原稿は2ページです。ところが,制御工学会は4ページも書くことができます。これを埋めるには,大変な苦労を要します。「下手な内容では書けないぞ」となります。そのために追実験をしたり,追計算をしたりと,研究を進める良い推進力になりました。発表会当日も,持ち時間が20分程度と十分にあり,準備も大変だけれどとても充実していたことを思い出します。このように,一つ一つの研究発表に紙面と発表時間を十分に割くことができるのは,規模の小さい学会ならではのことと思いますが,今後決してやめてはならないと思うことの一つです。

ところで,私は大学に籍を置いて研究に従事しています。大学にいますと,「最新の研究・技術」といわれるものに触れることができます。しかし,実際の現場で何が問題となっているのか,といったことには疎くなりがちで,ややもすれば周囲の状況を見ずに研究が趣味的になってしまう恐れがあります。その一方,現場だけに固執していると,常に対応が場当たり的になり,体系的にものごとを進められなくなるでしょう。この二つのバランスを常に保っておくことがとても重要だと思います。自分にとって面白いものを追求しながらそれを実際に応用できる場面を常に意識する,そんなスタンスが取れれば,と常々思っています。その意味で,工学会には現場のニーズを常に発信し続けることを期待していますし,私としてはそれを自分の研究活動に取り入れるよう,うまく利用したいと考えています。

「実地と研究を繋ぐ学会・学会誌」という意味で,もうひとつお願いしてもよろしいでしょうか。実地で必ず意識されるものに,法令や基準があります。それらには,定量的な規制値や基準値が示され,解説記事等にも網羅的に紹介されていますが,それらの値はどのような知見を基にして定められたものなのでしょうか。そのようなバックボーンが一つ一つ解説されたら,盲目的になるだけでなく理解がより深まるのではないかと考えています。

(東京大学・生産技術研究所 坂本慎一)

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