日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

会員コラム

未来の騒音環境は?(Vol.27 No.2)

未来の騒音環境は?

当学会の会員になって15年あまり,その間,「街は,住環境は,静かになってきたのだろうか。」と考えることがあります。私が所属する研究所は,武蔵野の面影そのもののなかにあり,住まいも同様の環境にあるゆえ,実のところ騒音を切実な問題として捉える機会は,皆無に等しいほどです。それゆえに,たまに訪ねる都会の騒音が「耐え難い」と感じることが多々あります。とても「以前より,静かになった」といえる状況ではないと考えているのは私だけでしょうか。

我々の周辺にある代表的な騒音源に関して,近年の変化を振り返ると,建設機械のボディーに低騒音型と書かれたステッカーをよく見かけるようになり,民間航空機では最新の低騒音型機が普及段階にあり,自動車では,ハイブリッドシステムを採用した路線バスや乗用車が街を走るようになり,電気自動車や燃料電池車が一部で実用化されていることなどにより,低騒音化技術が進んでいることは事実であるといえるでしょう。鉄道では,2005年に浮上式車両が実用化される模様で,「公害問題を解消した画期的な交通システム」と謳われています。もっと身近な例では,オフィスや住宅において内部の音,外部からの音に対して配慮されていることを売りのひとつにしているものも増えてきており,OA機器や家庭電化製品においても作動音が小さいことが商品の性能として語られるようになってきています。低騒音化は,重要な先端技術といっても過言ではないかもしれません。なかには,大気汚染などに配慮した結果,音に対しても有利に働いている副次的な意味合いのものもありますが,経済活動が活発になるにつれて騒音問題が放置できなくなり,それを解決するためのコストを社会全体で 負担しようとする機運が高まったことで,さまざまな技術開発が進んだことはいうまでもありません。

その一翼を当学会が担ってきたことは事実であると考えます。先に挙げた新技術の燃料電池車や浮上式鉄道などが従来のものに取って代わることで,騒音問題が解消されるには多大な費用と時間が必要でしょう。しかし,これからも環境問題を解決することの重要性をアピールし,積極的な活動によって社会をリードしていく立場に当学会が立ち続けなければならないと考えます。

将来,「騒音」という言葉が死語になるときが来るのでしょうか。そのときの都市や交通機関はどのようなものになっているのでしょうか。現在およびこれからの騒音制御工学会の活動がそうした未来の実現に大きく貢献していくことを願ってやまない次第です。

(財団法人小林理学研究所 平尾善裕)

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