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公益社団法人 日本騒音制御工学会

会員コラム

IT化が進んでも変わらないこと(Vol.27 No.3)

IT化が進んでも変わらないこと

とある地方のスタジオ。30年前に建てられた現社屋を改築するプロジェクト。設計事務所から、「今の建物の竣工検査報告書と比べて・・・」という問い合わせに、古い資料を探すと、残響時間測定と空調騒音測定だけで丸一週間かけた報告書が出てきた。

実は、この前に、解体前の建物の確認測定をしていた。使用状況の制約もあり、急いで実施した測定の所要時間は20分程度だった。

技術は進歩し、測定すれば簡単に結果が出るようになった。計算機の進歩、IT化。情報はめくるめく瞬時に世界を飛び交うようになった。それに伴って我々の技術レベルも進歩しているはずだが、ともすると、結果が本質を捉えているかどうかさえ危うい場合もあるのではないか。さらには、存在するはずの新しい発見を見過ごしてはいないだろうか。

10年ほど前ならば、計算機処理も発展段階であり、データを分析するにも自分でプログラムを考えて組む場面も多かったが、ソフトウェアが充実してきた現在では、徐々にブラックボックスが増えてきている。今更全てを把握することは必要ないのだろうが、「どうして?」と振り返る余裕を心のどこかに持ちたいものだ。

時間といえば、工学会の研究発表会では、発表時間だけでなく議論の時間も他学会と比べても多いはず。しかし、質疑の時間の議論が本当に活発かと改めて問うてみると、必ずしもそうでもないような気がする。例えば質問者がOHPを持って壇上に登場するぐらいの白熱した議論があってもいいのかも知れない。議論を活発なものとするために、たとえば梗概集を希望者に事前配布するというのは如何でしょう。あるいは、事前に予稿をネットワーク上で閲覧できるようにするという方法もあるのでは。

話は変わるが、日頃から、議論の下地となる環境を提供するということも学会の重要な役割だと思う。最近、個人的には出席率が低下しており心苦しい限りなのだが、研究部会の遮音・床衝撃音・不思議音の3分科会が、活発に活動している。これらの分科会は、議論を交わす場として、メンバー相互の切磋琢磨のためにも非常に有効に機能している。他分野でも活発にこういった活動が展開されていくことを期待したい。惜しむらくは上記3分科会は、「いつもの」メンバーなわけで、ムラのようになっていると見られてしまうこと。しかし、こういった活発なムラが徐々に増えていくことこそが重要なのだろう。

(鹿島技術研究所・古賀貴士)

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