日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

会員コラム

行政から工学会に対する期待(Vol.27 No.4)

行政から工学会に対する期待

昨今,生活空間における良好な音環境を確保することが,快適な居住環境を形成する上での重要な要件となってきております。例えば,「大規模小売店舗から発生する騒音予測の手引き」では,生活環境の中で配慮すべき事項として騒音が認知されていますし,「騒音に係る環境基準」においても居住環境における騒音の暴露量を評価することになっております。

このように,生活の場における音環境の良し悪しが重要視されてきている近年,以前と比べて,多種多様の騒音問題が顕在化してきております。例えば,低周波音,複合的な騒音,法令等の規制対象外となる騒音等,今までは潜在的であった問題が表面化しつつあります。これらは,法的整備や騒音影響に関する科学的知見が十分でないために,住民が受けている被害を客観的に判断することが難しいものとなっております。行政としても,問題解決の拠り所がないわけですから,対処に苦慮しているのが現状です。

これらの問題に対処する法令等は,時代のニーズから将来的には整備されることは間違いないでしょう。しかしながら,国レベルでの話になるとかなりの時間がかかると思います。まして,地方自治体レベルでは,厳しい財政状況や専門職員の減少により,多くの場合,新たな施策を展開することは厳しいと思います。

そこで,他学会と比べて行政との関連が深い本工学会が騒音行政を先導する形で,情報を積極的に発信することはできないでしょうか。現在までにも,研究部会の下14の分科会が活動しておりますが,行政への働きかけはまだまだ十分なものではないと思います。裾野を広げ,騒音行政に携わる多くの方々から,疑問点,問題点,関心事等の声を積極的に収集することにより,工学会が取り組むべき課題を見つけることができるでしょう。なぜならば,これらの中には騒音問題の主体である住民の意見が含まれているからです。残念ながら,現在ではこのような声を聴く場が設けられておりませんので,率直な情報交換を行えるシステムを構築することが先決になると思います。あるいは,IT化時代のご時世ですので,工学会のホームページを利用することもできるかと思います。

現在までの懸案事項の解決や新たな問題への迅速な対応を目指し,工学会から騒音に関する情報を発信することは,住民の健康で文化的な生活を確保することにつながるはずです。そして,このことこそ工学会が果たすべき重要な使命の一つだと思います。

(神奈川県環境科学センター 横島潤紀)

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