日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

会員コラム

工学会の役割について(Vol.27 No.5)

工学会の役割について

少々乱暴な私見も交えて、音環境に対する私の想いと工学会の役割について述べさせて頂きます。

豊かになったいまの日本では次々と強い刺激を求めて、それらを簡単に手に入れることができるようになりました。そのため人々は総じて鈍感になってしまったのか、街なかには無神経な音があふれています。人々はそのような状況が気にならない、あるいは、気にしても仕方がないとあきらめているのでしょうか。また、そのような音を発生させることにもためらいがなくなっているような気がします。音に対する意識が低い世界では、人に対する関心も低くコミュニケーションが稀薄になるのではないかと考えます。これは今の日本の状況に通ずるものではないでしょうか。

昔の人のように自然の音を楽しみ、生活の中に音を取り入れて一服の清涼剤としたような暮らしに戻ることはできないかもしれません。しかし、何かに追われるような生活から、今で言う”スローライフ”に戻ることで、音環境に対する意識も変わるかもしれません。

しかし今より不便になったり、個人が損をするようなことはなかなか進まないでしょう。そこで音を制御する技術の出番だと考えます。微弱なエネルギーの音波を制御することで、あるいはそれを利用することで、世の中が変化するなんて愉快ではありませんか。ストレスの少ないスローライフの鍵を握るのは音、騒音制御かもしれない。騒音を制御しているうちに、いつの間にか人々が心豊かに暮らせるような世界になっている。そこまでは望み過ぎとしても、生活の中で再び音に注目が集まることを願っています。

最近の本工学会は、会員数が伸び悩み、平均年齢も高まっているようですが、これは、騒音に対するイメージが過去のもの、公害に関する技術と捉えられて関心が低下していることにも原因があるかもしれません。私の場合、騒音制御に関する業務に従事し続けているのも、目に見えないものを捉えて消すおもしろさ、不思議さに惹かれているためだと思います。

そのような騒音制御に関する楽しみや捉え方を広め、興味を喚起し続けることも本工学会の大切な役割ではないでしょうか。また、先述のような新しい世界を創造するのに役立つ技術、夢のある技術として騒音制御技術を捉え、そのような世界へ導くことも本工学会の役割だと考えたら楽しいですし、新しい方向に向かって発展できるかもしれません。

((株)荏原製作所 音環境部 松田道昭)

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