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公益社団法人 日本騒音制御工学会

会員コラム

道路騒音対策技術をもっと身近に(Vol.27 No.6)

道路騒音対策技術をもっと身近に

前職のつくばでの研究者時代、ほぼ道路騒音問題一筋に8年余り取り組んできた。しかし、昨年7月に福島の現場事務所にやって来て、つくばでの8年間は一体何だったのかと思った。着任早々、台風に見舞われたのが大きかった。阿武隈川の洪水被害の対応で3ヶ月があっという間に過ぎていった。その後、河川、砂防、道路事業の多岐にわたる業務が押し寄せてくる中、道路騒音を考える暇はなかった。また、事務所内で道路騒音という言葉を発する人もいなかった。

しかし、少し経って、ちょっとまずいことに気づいた。排水性舗装(低騒音舗装)の問題である。東北地方整備局では、環境基準を上回っている市街地では、順次排水性舗装を施工するという方針を立てている。当事務所管内でもその方針に沿って、どんどん施工が進んでいる。ちょっと待てよ。豪雪地帯ではないにせよ積雪のある福島都市圏で、排水性舗装の耐久性はどの程度か。また、減音効果はどれくらい持続するのか。これらが十分確認されず物事は進んでいる。急いで確認のための調査をすることにした。

道路騒音に対する苦情も初めて飛び込んできた。一般道路平面部(幸いなことに副道があった)での遮音壁の設置要望であった。事務所の国道管理区間で遮音壁が設置されているのはごく僅かだ。まして平面部に遮音壁を設置したことはないため、遮音壁アレルギーがあった。所内の議論で紆余曲折があったが、とりあえず私の判断で高さ2mの透光型遮音壁を350m程度設置した。透光型遮音壁は珍しいと地元テレビで放映され、住民の喜んでいるコメントも取り上げられ、何とか所長の面目が保てた。

道路騒音問題など二の次だった地方の現場とはこういうものである。排水性舗装や遮音壁など少しずつ騒音対策が広がりつつあるが、騒音が分かる技術者など事務所に一人いればよい方だ。道路構造物やガードレールのことがよく分かる技術者は多くいても、遮音壁の建て方の基本が分かる人はほとんどいない。

そこで、騒音制御工学会にぜひお願いしたいのが、道路騒音対策技術の現場への普及活動である。ターゲットは、騒音コンサルタントの技術者ではなく、現場の行政官(土木技術者)である。道路騒音の基本が1日で理解できるようなごく簡単な手引き書が必要である。現場技術者の底上げこそ、騒音行政、騒音ビジネスを活発化させる近道だと思うがいかがであろうか?

国土交通省東北地方整備局
福島河川国道事務所長 上坂克巳

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