公益社団法人 日本騒音制御工学会

不思議音分科会2016年度報告

主査 中澤 真司

不思議音分科会では、①新規不思議音事例の発掘と発生原因・対策方法の分析、②不思議音データベースの見直しと再構築、③簡易な音源探査方法の開発をテーマに活動を勧めています。 平成28年度は、昨年度に引き続き12名の委員構成で4回の分科会を開催しました。本年度は、主に不思議音事例の発生原因・対策方法の分析に力を入れ、14件の新規事例について検討しました。また、不思議音の早期解決のための一助として、騒音制御Vol.40、№4、2016.8にて、「建物から発生する小さな音-音源が特定しにくいもの」と題し、分科会で集めた事例の中から7件を紹介しました。

委員会メンバー

2017年度委員

主査 中澤 真司 鉄建建設(株)研究開発センター
幹事 山内 崇 戸田建設(株)技術開発センター
委員 稲留 康一 (株)奥村組 技術研究所
井上 諭 東急建設(株)技術研究所
大脇 雅直 (株)熊谷組 技術研究所
古賀 貴士 鹿島建設(株)技術研究所
小谷朋央貴 (株)フジタ 環境エンジニアリングセンター
坂本 慎一 東京大学 生産技術研究所
田中 学 (一財)日本建築総合試験所 試験研究センター
藤澤 康仁 (株)大林組 技術研究所
村石 喜一 (株)音環境研究所
山本 耕三 東洋建設(株)総合技術研究所

平成29年8月1日現在

不思議音事例

不思議音発生事例のホームページ掲載にあたって

(社)日本騒音制御工学会研究部会不思議音分科会では、発生原因の特定が困難な音、また、特定が困難であった音を”不思議音”と定義し、この問題を学術的に捉え、正確な情報の提供と、原因特定のための調査に関する精度の向上、調査に要する時間の短縮等を主な目的として活動を進めています。 当分科会では、これまでに100例近くの事例を収集し、主に研究発表会の場を利用して各種情報を発信してきました。不思議音に関する調査方法や評価方法は未だ規格化されておらず、原因の究明方法もそれぞれの機関が工夫して行っている状況です。発信した情報の中には原因究明のためのヒントも多々あることと思います。 今回、不思議音に関する理解を深めていただくため、また、原因究明の一助になればと思い、代表的な事例を学会ホームページに掲載することにいたしました。参考にしていただければ幸いです。 本分科会の活動成果が以下の資料に掲載されております。
  • 日本騒音制御工学会研究部会技術レポート第25号:最近の音環境問題の実態把握と現状分析、pp.37~62、「不思議音 -発生原因が解りにくい音-」、2001.6.
  • 日本騒音制御工学会研究部会技術レポート第28号:集合住宅の音環境に関するシンポジウム、pp.57~81、「不思議音の発生原因解析と対策」、2004.6.
  • 頒布資料のページはこちら

事例集目次

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事例集目次
事例01:サッシの熱伸縮(収録音あり)
建物用途 集合住宅
発生状況 時期 春、秋の最低気温、最高気温の気温差が大きいときに発生。午後、深夜~早朝に多い。直接日射が当たると発生し始め、夕方まで続く。深夜は、午前2時過ぎから発生し、午前4~5時に頻発。
頻度 頻発
音の性質 ドン、ゴン、コン、トン、カン、バシ、パキ、ピシ。およそ45~50dBA程度発生。
発生原因 サッシの熱伸縮に起因するもの、または、内装材の熱伸縮に起因するものと考えられる。 発生部位は、連窓サッシ方立てと連結材の接触部分。サッシ方立て部分と木額縁接触面。内装材(壁材と天井材、梁側壁と天井材、壁と壁)の取り合い部分などが考えられた。

サッシの熱伸縮

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事例02:排水横引き管の熱伸縮
建物用途 集合住宅
発生状況 時期 季節的な傾向はなく、昼夜を問わず発生するが、朝方、夕方が多い。
頻度 ほぼ毎日
音の性質 チン、コン、コツン、カツン、ビン。 瓶を引掻いたり、爪で叩いたりしたような、高い音が発生。
発生原因 図面等から、音源となりうるものを洗い出し、ピット内を走る排水管が疑わしいと推察した。設備担当者によるピット内点検の結果、住戸内の台所、ユニットバス等給湯使用時に排水管に温水が流れて排水管が伸縮し、アングルにこすれが生じていた。 Uバンド部分にゴムをいれて排水管とアングルを絶縁したところ、不思議音の発生はなくなった。

排水横引き管の熱伸縮

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事例03:テレビアンテナの風励振
建物用途 集合住宅
発生状況 時期 春先、風の強い時に多い
頻度 月に5回程度
音の性質 ブォーンブォーン
発生原因 妻側外壁の上部に取り付けられたテレビアンテナが、風により励振され固体音が居室内に伝搬した。 風向を考慮してテレビアンテナをバルコニー側に移動したところ、不思議音の発生はなくなった。

テレビアンテナの風励振

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事例04:グレーチング床の風切音
建物用途 商業施設
発生状況 時期 季節風が強い春先、冬に多い。
頻度 月に4~5回
音の性質 ピーピー、大型車のバック時警報音のように聞える。
発生原因 ビル風(建物に沿って吹く強い風)に起因するものと考えられる。 発生部位は屋外避難用バルコニー床(フラットバーグレーチング床)。 フラットバーグレーチング床のフラットバーの上下面に、風を乱す目的でウエルドメッシュを取り付けたところ、不思議音の発生はなくなった。

グレーチング床の風切音

グレーチング床の風切音

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事例05:CD管の笛吹き音
建物用途 集合住宅
発生状況 時期 季節的な傾向はない。
頻度 自住戸内のユニットバスや台所の換気扇を作動したとき常に発生。
音の性質 ピー。500Hz帯域でピーク42dB。騒音等級N-40。
発生原因 CD管が壁を跨いで天井スラブ内に埋設されていたため、換気扇を回すと、CD管を空気が流通して笛吹き音が発生した。 CD 管エンドカバー部をパテ埋めしたところ、不思議音の発生はなくなった。

CD管の笛吹き音

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事例06:アルミルーバーの固体音
建物用途 公共施設
発生状況 時期 夜が多い
頻度 月に10回程度
音の性質 ブーン
発生原因 ムクの集成材からなる意匠ルーバー屋根が劣化したため、中空アルミ材に変える改修工事を行った。その結果、沿道での大型トラックの発進音が、アルミ中空ルーバーを励振し、近隣民家に伝搬した。 対策案としてルーバー中空部にウレタンを充填するなどが考えられたが、特に対策は実施していない

アルミルーバーの固体音

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事例07:大版ガラスのコインシデンス効果
建物用途 ショールーム
発生状況 時期 季節的な傾向はない。
頻度 建物の前面道路を大型車が通過したときに発生する。
音の性質 ヒュン、シュー
発生原因 大版ガラスのコインシデンス効果。 材料の物性に起因する物理現象であり、対策は実施していない。

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事例08:照明器具カバーの熱伸縮
建物用途 ショールーム
発生状況 時期 季節的な傾向はない。
頻度 頻発(照明点灯時および消灯後)。5年前に入居して以来、数秒間隔または点灯及び消灯1時間後に発生するなど、不定期に音が発生していた。
音の性質 ポツ、ポト。レベルは大きいときもあれば小さいときもある(30~45dBA程度)。
発生原因 照明器具カバーの熱伸縮。 照明器具のカバーを取り外し、設置しなおしたところ、不思議音の発生はなくなった。カバーの馴染みの問題であった可能性が高い。

照明器具カバーの熱伸縮

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事例09:超高層集合住宅バルコニー手摺の風励振
建物用途 集合住宅
発生状況 時期 季節風の強い冬、春先。
頻度 月2~3回。
音の性質 ボー。
発生原因 対策方法として、手摺のダンピング処理(鉛を設置)などが検討された。

超高層集合住宅バルコニー手摺の風励振

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事例10:エアコン配水ドレーン管からの騒音
建物用途 集合住宅
発生状況 時期 夏冬。
頻度 不定期夕方から夜間にかけて多発。
音の性質 ポコポコ(またはコンコン)といった連続音。
発生原因 エアコンの排水ドレーン管の勾配が緩く、窓などの開口部が閉まった状態で、台所の換気扇等を稼動したときに室内が負圧状態となって水滴が移動して発生した。

エアコン配水ドレーン管からの騒音

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事例11:外壁PC板の半固定ボルトの熱ずれ
建物用途 集合住宅
発生状況 時期 毎日 15:00~17:00・23:00~6:00
頻度 5分に1回程度
音の性質 コン。
発生原因 外壁PC板が15:00~17:00の西日で熱膨張し、23:00~6:00に収縮することにより、PC版の半固定ボルトがずれ、PC版上部から不思議音が発生した。 PC板の半固定ボルトとルーズホールの接触を修正して縁を切ったところ、不思議音の発生はなくなった。

外壁PC板の半固定ボルトの熱ずれ

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事例12:ゴルフパットの練習
建物用途 集合住宅
発生状況 時期 季節的な傾向はない。
頻度 たまに夜に発生する。
音の性質 コロコロ、コト。
発生原因 聴感での調査の結果、上階の居住者が帰宅後、ゴルフのパットを練習する際に生じるボールの転がり音やカップインするときの音であることが判明した。 居住者の住まい方の問題であり、対策はしていない。

サッシの熱伸縮

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