日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

Q&A

「 騒音 」の関連記事一覧

1.違法建築の事業所から発生する騒音に対する苦情についての対応方法について教えてください。
2.騒音は基準値以内であるが,低周波音に関して苦情があった場合の対応方法について教えてください。
3.民家から発生する騒音に対して苦情があった場合の対応方法について教えてください。(Vol.42No.2)
Vol.42 No.2

(松戸市 桑原厚)

 1.建築物に関する法令と騒音に関する法令は別の法令であることから違法建築であるか否かに関わらず,騒音に関する法令を適用することができます。しかし,建築部門と環境部門が当該事業所に対して異なる指導等を行うことは事業所側からすると対応に困惑しますので,建築部門と環境部門で事前に情報共有し,合同で現地調査などをしていくことが必要です。また,違法建築を容認するような行為はできませんが,現に騒音で苦慮している住民がいることを考え,建築部門と環境部門で暫定的な方法でどこまでの対策が可能であるか等を確認しながら対応していくこととなります。

2.一般に,騒音が基準値以内であっても低周波音に関する苦情があった場合は環境省が公表している「低周波音問題対応の手引書(平成16 年6 月)1)」に基づき対応していくことになります。同手引書には苦情申し立てから解決までの流れも記載されており,苦情対応の参考となります。なお,法令による規制はないので行政指導への対応は任意ですので解決には発生源側の協力が必要になること等は事前に説明しておいた方が良いでしょう。

3.民家から発生するいわゆる近隣(生活)騒音については法令による規制がないのが現状です。これは,近隣(生活)騒音は日常生活を送るうえで一定程度の発生が見込まれることや被害者が原因者になりうることが一因であると考えられます。一方で,地方公共団体によっては近隣騒音防止指導要綱等を定め対応している団体もあります。ただし,この場合においても測定・評価方法等の定めはあっても行政指導には強制力はなく,解決には発生源側の協力が必要になること等は事前に説明しておいた方が良いでしょう。また,町会長さん等の方に間に入って相談にのっていただいたりすることも解決方法の一助となるでしょう。

 

参考文献

1)環境省環境管理局大気生活環境室: 低周波音問題対応の手引書,http://www.env.go.jp/air/teishuha/tebiki/index.html

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昨今,保育施設における騒音問題が話題となっていますが,具体的にどのような問題がありますか? またこれらの問題に対し,どのような対策の方法がありますか。(Vol.42No.3)
Vol.42 No.3

(岩手大学 船場ひさお)

保育施設から出される音の大きさは以前とほとんど変わっていませんが,待機児童解消に向けて保
育園新設が急増しており,保育施設からの音を理由に保育園の建設に反対する事例が増えて来たことなどから話題になるケースも多いと思われます。そこで,少し問題を整理しながら質問に答えていきたいと思います。
◇保育施設から出される音について
保育施設から出される音には,園庭で子どもが活動する中で出る音,放送設備等の音,園舎から漏れ
出る音,施設の設備機器から出る音などがあります。このうち,設備機器からの音については一般的
な事業所からの発生音と同様に対策できるためここでは省いて考えます。
園庭で子どもが活動する中で出る音について,実測された例は少ないのですが,筆者らが近年実施し
た実態調査1)において,園庭で外遊びをする際の子どもの声の騒音レベルは70∼80 dB を示しました。
特にプール遊びをする際には大きな歓声があがるためレベルが上昇する傾向が見られました。
同様に室内活動時の騒音レベルは「歌やリズム運動」を行う際に80∼90 dB を示しました。室外にお
いては建物による遮音を考慮するとこの値から20∼30 dB 低減されると考えられるため,50∼70dB 程度
になります。但し窓を開放している場合は,これよりも高いレベルを示すこともあるでしょう。
放送設備の音については,不必要に大きな音量を出さないことや,スピーカの設置位置・方向を近隣
の住宅に向けない配慮をするなどで対策することができます。
◇外遊び時に子どもが外部騒音から影響を受けていることも多い
WHO 環境騒音のガイドラインでは,子どものための施設の園庭における外部騒音の許容値は55 dB以下とされています。しかし近年新設される首都圏の保育園は幹線道路沿いや鉄道高架下に位置することも多く,筆者らが調査した保育施設では近接する道路の車両交通騒音や直上を走る鉄道騒音のために65∼80 dB に達しており,許容値を大きく上回っていました。子どもの声が外部に与える影響ばかりに目が行きがちですが,実際には外部騒音から子どもが受ける影響も大きいのです。
◇保育施設内の音環境を整えることが,保育施設から発生する音の対策につながる可能性は高い
見逃されがちなのが,保育施設の室内の音の響きです。残念ながら日本の保育施設には音に関するガイドラインがありませんが,例えばドイツでは保育施設の室内の騒音レベルだけでなく,残響時間の値も決められています。国内の保育施設では,仕上げ材料に吸音材が使われていない園が多く,特に天井が高いケースやワンルーム型で間仕切りがなく床面積が広いケースで,響きの長さによって室内の喧騒感が増している場合が見られます。響きやすい空間では子どもの声が大きくなりがちであり,そのために保育士の声も大きくなる傾向があります。こうしてさらに喧騒感が高まる悪循環に陥っているものと考えられます。保育室の響きの状態と子どもの発声や発話行動との関係性については今後さらに検討が必要ですが,保育施設内に吸音材を設置することで,計算値以上に室内の騒音レベルが下がる事例は増えています。
◇子どもはいつも大声を出しているわけではない
子どもは賑やかなものと,つい思ってしまいますが,どんな時にも大きな声を出しているわけではありません。保育士に意思を伝えたいのに自分の方を向いてもらえない時などに大きな声を出すのです。そして室内で大きな声を出す癖がついてしまうと,室外に出ても大きな声を出してしまうのでしょう。
◇ハードな対策ありきではない。
例えば防音壁を建てるのは最後の手段 このように考えてくると保育施設における騒音問題についてまずやるべきなのは,当事者同士がいろいろな知恵を絞って落とし所を考えることであり,子どものために良い音環境を作るためにはどうしたら良いかを考えることだと言えます。施設を新設する場合には,まず周辺の道路や住宅地と園庭・園舎の位置関係を音の面から考えてレイアウトすることは非常に重要です。次に園庭で遊ぶ時間を制限したり,歌やリズム運動といった大きな音の出やすい活動の際には窓を閉めるなどの工夫もできるでしょう。そうは言ってもうるさいものはうるさい。何かハード的な対策をしなければ話が前に進まない場合には,防音壁を建てるなども必要かもしれません。でもそれは最後の手段だと思います。

参考文献
1 )船場ひさお: 小特集─子どものための音環境─,保育施設における音環境の現状─首都圏に新設された保
育施設の実態調査から─,日本音響学会誌,vol. 72,no. 3,pp. 152-159(2016).

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騒音の測定には騒音計の周波数重み付け特性A 特性を用いることとなっていますが,他の周波数重み付け特性としてB∼D 特性が定義されていると聞きました。これらの周波数重み付け特性は何に用いられるものなのでしょうか。(Vol.39 No.5)
Vol.39 No.5

(千葉工業大学 矢野博夫)

騒音計の周波数重み付け特性は,現在では音響の測定機器のなかで音圧(レベル)や騒音レベルを測定する機器のJIS規格:JIS C1509(IEC61672)に規定されている.この規定にはA, C, Zの各特性があるが,かつてはこれらの特性の他にB, Dの特性があった.ここでは,まずこれらの特性がいつ頃提案され,規格類に採用されたのかについて過去の資料を調べてみた.その結果を表1に示す.また,ABCDの各特性の1/3oct.に毎の周波数におけるレスポンスを表2に示す.この表はANSI S1.42-1986より抜粋したものであるが,これらの特性は1次および2次のローパス,ハイパスフィルターの組合せで実現する事が出来る.

まず,最初に古くは1936年のアメリカ音響学会で検討された規格(ASA規格Z24.3-1936:暫定規格)でAおよびB特性が提案され,その後1944年にASA Z24.3-3C特性と共に規格化された.ここで表中のC(Z)は現在のC特性とは異なり,weightingをしない平坦な特性(F特性,Lin.特性などと呼ばれていた現在のZ特性)であったことから筆者が勝手にネーミングした表記である.このときのA特性はフレッチャー・マンソンの等ラウドネス曲線の40dBの曲線を,B特性は70dBの曲線の逆特性であるとされている.C特性については,当初は平坦特性として音圧レベルを測定するための特性/機器の試験にも用いられる特性として規定され,そのうちに等ラウドネス曲線のほぼ100dBの逆特性として用いられているようである.

A, B, C特性の違いはラウドネス曲線の違いを反映したものであるためその使用方法は,まずB特性で測定して60dB以下の場合にはA特性,85dB以上の場合にはC特性で測定するという煩雑な方法であった.このようにして測定した結果に使用した特性を付記して40dB(A)65dB(B)のような表記をしていた.その後,各種騒音のスペクトルから音の大きさのレベル(Stevensの方法)と各種の補正特性を比較してA特性音圧レベルが各種の騒音について複合音としての音の大きさと最も相関のよいことが検証された4ことに基づいてB特性は規格から削除され,C特性は音圧レベルの測定に用いられるようになった.3もちろんZ特性を持つ場合には,音圧レベル測定や周波数分析を行うには(現在の)C特性よりも優れていることは言うまでもない.

 D特性は,金属性の高音を含むジェット騒音が問題になった時,Kryterの提案によってPNdBという“Annoyance”を表す尺度が提案され,航空機騒音の評価に使用されていた.国内規格には制定されていないため国産の騒音計でD特性を備えた製品はなく,1960年代から1970年代のB&K社精密騒音計2204型~2209型に内蔵されていたと記憶している.(写真)

現在では,大半の法律・基準等でA特性を用いることになっているが,航空機騒音や砲撃音に対する教育施設等の防音助成の判定指標や,演習場周辺の民家の防音や移転の判定指標にはC特性による測定値が用いられている.

 参考文献:

(1) A. Marsh, 騒音計の歴史:1928年から2012年まで,中村千都世,山田一郎訳,航空環境研究 no.16p.59-752012

(2) H. Fletcher and W. A. Munson, :J.A.S.A., vol.5, pp.82-108, 1933.10

(3) 五十嵐寿一,小林理研ニュース, No.77 (2002)

(4) 守田栄,日本音響学会誌,vol.17, no.1, p.38-43 (1961)

(5) 守田栄,日本音響学会誌,vol.4, no.8, p.1-6 (1943)

(6) 広川愿二,日本音響学会誌,vol.8, no.3, p.117-122 (1952)

(7) 守田栄,日本音響学会誌,vol.13, no.3, p.273-280 (1957)

(8) 服部昭三,日本音響学会誌,vol.23, no.5, p.319-324 (1967)

              表1 規格と周波数重み付け特性の変遷

              表2 A, B, C, D特性のレスポンス

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公害等調整委員会に寄せられる騒音や振動に関する苦情には,どのようなものが多いのでしょうか。 また,解決に結びつく方法にはどのようなものがあるのか教えてください。
(Vol.38 No.5)
Vol.38 No.5

(荒木真一)

公害紛争処理の流れは、公害問題で困った場合、一般的には、先ず、都道府県、市区町村の公害担当課等の窓口に対して「苦情相談」がなされ、公害苦情相談員により苦情処理がなされます。全国の地方公共団体の公害苦情相談窓口で受け付けた公害苦情件数は年間8万件程度であり、その大部分はこの相談窓口で処理され終結しています。
これら公害問題で困った場合で、当事者間での話し合いがこじれる等して「公害紛争」になってしまい、都道府県の公害審査会等や国の公害等調整委員会に申請されてくるのは、各々年間数十件程度です。

さて、公害等調整委員会に係属している事件(平成24年度で74件)の中で5割以上を占めている騒音・低周波音・振動に係る事件としては、近隣施設からの騒音や低周波音による健康被害、近隣における工事に伴う騒音や振動による健康や建物被害等が多くなっています。

公害等調整委員会において、それらの原因や責任を裁定する場合には、不法行為の要件について、①被害の発生、②原因行為の特定、③原因行為と被害との因果関係の確認、④違法性(受忍限度論)、⑤故意・過失の検討、⑥損害の検討(①の金銭評価)の順番に検討が進められます。そして、その第一段階として、②原因行為の特定及び③原因行為と被害との因果関係の確認が重要となります(①被害の発生は申請の前提条件です)。この段階で証拠不十分のために棄却(申請人の主張は認められない)と判断せざるを得ないものがかなりあります。騒音・低周波音・振動に係る事件についても同じです。

そのため、例えば、近隣工事における振動による建物被害では、当該工事の前後における建物被害状況の把握(専門業者による調査)及び工事中における振動レベルの測定が必須となります。また、近隣施設からの騒音や低周波音による健康被害では、当該施設の稼働状況と被害者側での被害感との対応関係、当該施設から発生している騒音・低周波音と被害者側との間での周波数特性や音圧レベルの変動の対応関係が必須となります。もちろん、これら対応関係の調査に際しては、当該近隣施設以外の暗騒音/背景騒音の確認も重要です。公害等調整委員会では、これら情報がない場合で、今後の裁定の判断に必要があると認められ、現時点でも調査が可能である場合には、自ら職権により調査を実施することがあります。

原因や責任の裁定判断としては以上のとおりですが、公害問題への対応は、このような公害紛争に至ってしまう前の苦情相談の段階で、如何に問題をこじらせないように処理できるのかにかかっています。都道府県や市区町村の公害担当課等の窓口の公害苦情相談員の方々には、平素から大変なご苦労されているものも思われますが、上記でお示ししたような情報を適時適切に調査・把握していただき、それらデータ等に基づいて出来る限り当事者間の円滑な話合いの下で和解により解決が図られることが、今後の健全な近隣関係の維持においても大切であると考えます。

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騒音測定の際に、気温・湿度・風向・風速も同時に測定しますがこの結果を活用したことがありません。どのような場合にこの結果を活かすのでしょうか。(Vol.29 No.6)
                               (計量証明事業所社員)

(株式会社ニューズ環境設計 後藤賢光)

JIS Z 8731「環境騒音の表示・測定方法」では、騒音測定時の大気の状態(風向・風速、雨、地上及びその他の高さにおける気温、大気圧、相対湿度)を必要に応じて、記録しておくことが望ましいとされています。

騒音測定の際に同時に測定した気象条件の活用方法は、大きく分けて2つ考えられます。

1つ目は、測定値の精度を保証するための活用です。騒音計の規格は、普通騒音計についてはJIS C 1502、精密騒音計についてはJIS C 1505で定められており、その使用範囲は、温度については-10~+50℃、湿度については相対湿度90%以下です。通常、強風時や雨天時には測定自体を避けますが、測定中一時的に強風や降雨があった場合は測定値に影響が出る可能性があるため、気象条件を記録しておく必要があります。また、騒音対策の効果を把握するために対策実施前後の測定等を行う場合、騒音対策以外の条件が変わらない状態で測定し、測定値を比較する必要があります(等価性の確保)。ISO 10847における遮音壁挿入損失測定方法では、音響特性の等価性を確保するために、気象条件については風向・風速や温湿度、雲量について等価性の条件が規定されています。

2つ目は、屋外での音の伝搬に対する影響を説明するための活用です。通常、昼間が晴天の場合は、地表面近くよりも上空ほど気温が低くなり、夜間または曇天の場合は、この逆に上空ほど気温が高くなります。後者のように上空ほど気温が高い場合は離れた地点まで音が到達します。また、有風時には風上に向かって音が伝搬しない影の領域ができますが、風下に向かっては遠方まで音が到達します。例えば、24時間の測定をしていて、ある時間から急に遠方の工場音や道路交通騒音によってレベルが上昇するような場合は、原因の一つとして気象の影響が考えられます。このような場合に騒音測定と同時に測定した気象条件によって測定値の傾向を説明できる場合があります。

気温・湿度・風向・風速を自動測定し、測定値をデータロガーに保存できる機器もありますので、このような機器を利用することによって、騒音の測定とあわせて長時間の気象条件を手軽に連続測定することも可能です。

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