日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

Q&A

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1/1,1/3オクターブ分析(フィルタ分析)とFFT 分析とはどのような違いがあるのでしょうか。使用上の留意点を教えてください。また,昔から使われてきたアナログ方式と最新のディジタル方式によって同じ分析結果が得られるのでしょうか。(Vol.36 No.5)
                               (計量証明事業所 社員)

(ブリュエル・ケアー・ジャパン 佐藤利和)

オクターブ分析と FFT 分析は,定常信号であればほぼ同じ結果が得られます。非定常信号では,分析原理に起因する(時間と周波数の)分解能に注意しなければなりませんので,以下に原理と注意点を解説します。

オクターブ分析(一定比率帯域幅または CPB(Constant Persentage Bandwidth)分析)はフィルタ分析に基づく方法です。そのバンドパスフィルタの設計,例えば中心周波数 1 kHz のオクターブ分析では,帯域幅 707 Hz,一定比率(70.7%)帯域幅,通過帯域形状に依存して,時間応答(インパルス応答)が決まります。これに対応するディジタル処理は,同一の設計方法で得た時間応答と重畳積分を行う方法であれば,アナログ処理と同じ結果が得られます。

一方,FFT 分析は,有限離散フーリエ変換を高速計算に行うアルゴリズム(Fast Fourie Transform)による方法です。まず,対象信号を窓関数(時間窓)にて 2 のべき乗数(…256,512,1024…)の有限長データに制限します。次にこのデータに単位振幅の正弦波成分の掛け算と足し算(積和演算)を行うことで,信号に含まれる周波数成分を抽出します。窓関数の有限長に対応した一定数(…100,200,400…)の一定帯域幅分析結果となります。

原理的な相違をまとめると,時間応答の重畳積分か有限データの積和演算かということです。オクターブ分析の注意点は,時間応答が分析帯域幅に逆比例することです。衝撃波の分析では低周波数の分析帯域の応答がより遅れて出力すること(因果性)です。

一方,FFT 分析の計算時間は周波数と無関係にどの周波数帯域についても一定ですが,信号の時間分解能は,衝撃発生時を中心とした,時間窓の記録長 T となります。FFT 分析の欠点は,定常信号では時間窓を無作為(フリーラン)に適用できますが,過渡信号では時間窓の正確な制御(オーバーラップやトリガの利用)が必要になることです。

一般に,定常信号では,帯域幅 B(FFT : 周波数分解能 Δf )と平均時間 T(FFT : 記録長 Tr×n)で決定される BT 積が同一であれば,同じ結果が得られます。過渡信号の特徴と捕らえるために平均時間を短くすれば,再現性の確保はより困難になります。というわけで,信号の性質(定常/非定常)と,周波数分析の不確定性原理(BT 積一定)の検討は重要です。

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エコキュートを設置しようと思っていますが、騒音は大丈夫でしょうか?性能や設置に関する基準等はないのでしょうか?周りは閑静な住宅街です。(Vol.35 No.5)
                                      (主婦)

((株)アイ・エヌ・シー・エンジニアリング技術本部 井上保雄)

近年,さまざまな生活騒音の苦情が増えてきています。その中には,隣家に設置されたエコキュート(家庭用ヒートポンプ給湯機,以下,エコキュート)等の騒音もあります。

エコキュートはヒートポンプユニットと貯湯ユニットから構成されます(図−1)。騒音は主にヒートポンプユニット(外気との熱交換を行う送風機,CO2冷媒を圧縮加熱する圧縮機)から発生します(図−2)。騒音の大きさはメーカ,型式により異なりますが,ヒートポンプユニット近傍で概ね 40 dB程度です。

エコキュートは深夜から明け方にかけて深夜電力を使ってお湯をつくります。周りの音が静かな深夜に運転するため,運転音自体が小さくても,相対的に知覚され易くなります。また,敷地の関係で,隣接民家との間隔が狭く,その間に設置せざるを得ない場合もあり,苦情要因の一つになる可能性があります。

このような状況を踏まえ,(社)日本冷凍空調工業会では据付業者さん向けに【騒音防止を考えた家庭用ヒートポンプ給湯機の据付けガイドブック】を作成,Web に公開しています。

据付時の配慮事項としてはヒートポンプユニットの据付場所を隣家の寝室から離す,壁面の反射による音圧上昇を小さくするため,片側開放空間の場所を選ぶなどです。

低減策としては防音壁等で騒音を遮蔽するのが一般的です。この場合,空熱環境が給湯器の性能に影響を及ぼす可能性もあり,専門化に相談されると良いでしょう。ベランダ等に設置する場合は,防振ゴム等を用いるなど振動絶縁にも気を配ると良いでしょう。

また,普段からの,ご近所様とのコミュニケーションも大切です。

なお,エコキュートの性能,試験,検査,表示などについては,(社)日本冷凍空調工業会の標準規格があります(下記)。

  • ・家庭用ヒートポンプ給湯機 JRA4050 : 2007R
  • ・家庭用ヒートポンプ給湯機(追補 1)JRA4050 :2009
  • ・家庭用ヒートポンプ給湯機の給湯性能 JRA4060 :2009

(社)日本冷凍空調工業会

URL : http://www.jraia.or.jp

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機械等から発生する騒音の対策についての留意点はどのような事でしょう。(Vol.28 No.1)
                                 (コンサルタント)

(東芝 岡崎洋二)

家電製品など小型の機械関連

機械の騒音対策は、問題解決へかける時間とコストで変わる場合がありますが、今は早く、低コストで実現できることが求められています。これを実現するには騒音振動の原因にさかのぼって対策を考える必要があります。

騒音は騒音振動源を入力とし機械システムを伝達系としたときの出力とみることができます。騒音振動源は様々ですが家電ではモータ、ギヤ、ファン、コンプレッサが主なものです。騒音振動の原因である強制力のメカニズムが解明されそのスペクトルの大きさが予測できたとき、騒音発生の原理が理解され対策を考えることができます。騒音の原因となっている力は直接測ることができない場合が多く、出力である騒音振動を計測し解析技術を使って音源振動源を推定する必要があります。その現象は機械力学的なもの、電磁気学的なもの、流体力学的なものなど様々でそれぞれ学術的な現象解明のアプローチがされているので文献から音源振動源対策のヒントを得ることができます。音源振動源対策例としてモータのスロットコンビネーション最適化、はすば歯車の使用などがあります。

伝達系としてはフレームへ振動伝達など固体振動系伝達とカバー内の空間の音響伝達、隙間の透過などの音響系伝達とがあります。伝達系を調べるとはその周波数応答と空間的な特性を調べることです。音源振動源が制御可能なら回転数を変えたりすることで周波数応答を調べることができます。伝達系の周波数応答の大きいところに騒音振動源の周波数があると共振状態となるので周波数が一致しないようにずらす必要があります。このようにして騒音振動の真因、騒音振動を大きくしている真因がわかれば真因を取り除くことで低コストな騒音振動低減が実現できます。真因がわかった上で的確に吸音材や制振材を使えば、使う量も最小量で済みます。

今後はdB値を下げるだけでなく、音質改善が求められることも多くなってくるものと思われます。dB値を下げることが技術的に限界となって求められる場合もありますが、コスト的にdB値を下げることが困難な場合にも音質改善は必要なことです。

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プレス工場などの防音対策はどのようにすればよいか教えて下さい。
                           (音響コンサルタント 技術者)

(平野防音 平野 康夫)

公害防止としての騒音対策は企業の利益に結びつかない投資であるため、実施に当たっては必ず的確な効果が期待でき、目標値(規制値)を達成できる様な計算の上に立った騒音対策計画を立案するべきである。 「これ位の工事をやれば良いダロウ、ブロックでも積めば解決するダロウ」という安易なダロウ設計、ダロウ工事では目的の防音効果が得られず、ムダ金、死に金になる。(場合によっては、防音効果が不十分なため一度施工したものを撤去して、改めて工事施工することもある。) プレス工場の防音対策計画を進めるには、下図の如くに行うのが好ましい。

○現場調査・騒音測定・周波数分析

先ず現状状況を聴覚、視覚にて調査し、騒音レベル測定・周波数分析を行う。周波数分析は、音の性質(高周波か?低周波か?)を知るために(即ち的確な防音設計を立案するために)必要であるから必ず行うこと。周波数分析値を把握せずに経済的な防音設計はできない。

○騒音予測計算・防音設計

騒音レベルの減音量(現状値-目標値)を決め、周波数分析結果より音の性質に合致した騒音防止の方法、防音材料の選定をし、騒音予測計算を行った上で防音設計計画を作成すること。

防音対策の方法としては、下図の3つの方法がある。

イ)防音ボックス(音源を狭い範囲で囲う)

“音は根源で断つ”の鉄則通り、若し可能なれば防音ボックス対策が最も有効、適切な方法である。

☆検討事項:プレス、コンプレッサー等全台数を実施できるか、作業能率、メンテナンス、工場内スペース、ボックス内の温度上昇、機器の更新等、作業安全、作業環境・・・・・

ロ)建家防音対策(屋根・壁を改善

現在の屋根・天井及び壁の防音強化対策。(二重壁・二重天井・二重屋根等の対策)防音材として音源側に吸音材、外部側に遮音材の構成とする。

☆検討事項:建築基準法・消防法他法例との関連、工場内スペース、換気口、サッシ、出入口等全面施工、作業環境(工場内換気・工場内採光) 遮音材等の材料の荷重計算・・・・・

ハ)防音塀対策(敷地境界等に塀を建てる)

回折音(回り込み音)の計算をした上で対策の範囲(高さ、長さ)を決める。あまり大きな防音効果はない(最大限25dB位である)但し、視覚的・心理的効果は大であり、企業側の前向きの誠意は通じる。

☆検討事項:消防法他法例との関連、日照権、通風権、環境権・・・・・

上記いずれの防音対策についても、施工技術の優劣により防音効果は、同じ防音材料を使ってもその差異が大きいため、施工に当たっては美観・雨仕舞等を主眼とする一般建築工事でなく、防音を主眼とする間隙部密閉処理を充分配慮した上の、綿密且つ入念な施工を行う事。

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