日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

Q&A

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最近,市内にバッティングセンターがオープンし,近隣の8 階建てマンションの住民から騒音苦情が寄せられましたが,開放型の事業場のためその対応に苦慮しております。このような開放型事業場の防音対策についてどのような方法があるかご教示願いたい。(Vol.36 No.7)
                                (地方公共団体職員)

(当工学会環境騒音振動行政分科会委員 沖山文敏)

ここでは,法令等による規制及び平成 6 年度に環境省が作成し,全国地方公共団体に示した「開放型事業場騒音防止マニュアル」の内容を紹介します。

1.法令等による規制

開放型事業場において騒音規制法に基づく特定施設を有していれば,同法の対象になるが多くの事業場では対象になっていないと思われます。これに対し地方公共団体の条例では一般家庭以外は事業場として敷地境界上での規制基準を定めており,苦情が発生した場合この規制基準の適用を受けますが,一般の工場のように建物で囲うことが出来ないため,どこの地方公共団体でもその対応に苦慮していることから環境省ではマニュアルを作成しました。

また,神奈川県や川崎市のように一部の地方公共団体では,住居系地域における板金,製缶,鉄骨又は橋りょうの組立て,自動車の解体の屋外での作業を禁じております(建設工事の現場は対象外)。

2.開放型事業場騒音防止マニュアルの内容

2.1 開放型事業場の定義

定義としては「主に都市内の空き地に上屋などの建物を設置せずに,資材置場や残土置場,廃品回収置場,ダンプ・重機置場等に使用(営業)する事業場」をいうとしています。

2.2 開放型事業場の種類

開放型事業場の種類として次の 19 事業場を示しています。

イ.資材置場 ロ.残土置場 ハ.廃棄物(廃品回収)置場 ニ.荷物集配所 ホ.コイン洗車場 へ.ダンプ・重機等の置場 ト.板金作業所 チ.木材加工所 リ.石材加工所 ヌ.鉄骨(鉄筋)加工所,ル.コンクリート製品製造所 ヲ.テニス・ゴルフ・バッティング練習所 ワ.自動車修理場 カ.学校・幼稚園 ヨ.保育所 タ.ガソリンスタンド レ.駐車場 ソ.自動車教習所 チ.その他

2.3 開放型事業場騒音防止対策の基本的な考え方

  • (1)
    ハード面からの対策主として,排出騒音の防止(敷地境界)と進入騒音の防止(苦情者住居)に分けられます。そのうち発生源対策として,低騒音型機種の導入,消音装置の装備等による機械・施設の改善,事業場の移転などであります。また,騒音伝搬対策として建物等施設の改善,苦情者側敷地境界に防音塀の設置,車両の出入りの多い事業所周辺道路のアスファルト舗装の整備,路上駐車のアイドリング騒音防止対策としての駐車場の整備などであります。次に受音側対策として住宅の防音対策,住宅の移転などがあります。
  • (2)
    ソフト面からの対策主として発生源を具体的に低減する方法とその他の方法に分けられます。そのうち操業方法の改善として,作業者による発生騒音の防止,作業方法の改善,使用方法の改善,作業位置の移動,搬出入車両の対応,物流関連の業者への呼びかけなどであります。また,操業時間の改善として,休日操業の自粛,作業時間の短縮,作業時間帯の自粛(深夜,夜間,早朝,夕方)等であります。次にその他の方法として,適用できる騒音低減方法がないケースでは事業場の事情について説明し苦情者に理解してもらうための話し合いが有効であります。さらに,地域共存対策として周辺住民の生活環境を配慮して事業者による騒音防止自主管理,周辺の植樹,緑地化,清掃なども有効であるとしています。

2.4 音源別具体例

本マニュアルでは音源別に具体例を示しており,ここでは「バッティングセンター,ゴルフ練習場[打撃音,拡声機,(利用客の)車両,話し声]」について示します。

  • ・拡声機は条例で対応できれば,それに基づく指導を行い,音源を必要最小限に絞り,使用時間帯についても付近への影響を考慮します。
  • ・利用客のカーステレオ,騒ぎ声等問題となるケースが多いので利用者の注意を促す必要があります。
  • ・特に看板を設けるなど,利用者に対する騒音防止の注意の啓発を図る必要があります。
  • ・夜間の照明も苦情発生に影響していることを留意・ボール洗浄機などの騒音を,営業時間終了後に発生させないようにします。

以上がマニュアルの内容ですが,この外にケージに遮音,吸音対策することやマシンの低騒音化,マシン周辺の遮音,吸音処理も有効だと考えます。

なお,回答者の長年の苦情処理の経験では,開放型事業場の抜本的な騒音対策は,事業場の移転以外は難しいと考えています。

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1測定点で在来鉄道騒音と道路騒音を同時に測定する場合はどうしたらよいのでしょうか。
                              (環境調査会社 技術者)

(ゼット音響 北川 保)

鉄道騒音には、「新幹線鉄道騒音に係る環境基準について」(昭和50年環境庁)と「在来鉄道の新設又は大規模改良に際しての騒音対策の指針について」(平成7年環境庁)の二つの評価方法があります。前者は時間重み特性Sでの最大値を、後者は単発騒音曝露レベルLAEを基にした等価騒音レベルLAeqを評価値としています。

一方、道路交通騒音は、「騒音に係る環境基準について」(平成10年環境庁)により等価騒音レベルLAeqを評価値にすることになっています。さらに、時間重み特性Fによる時間率騒音レベルLAN,Tを求めることも多いようです。

LAeqLAEの測定には積分型騒音計による方法とサンプル値を用いる方法がありますが、異なる音源のレベルを分離して測定する場合には、サンプル値を用いる方が便利と思われます。

サンプル値よりLAeq等を求める場合の時間重み特性は時間間隔⊿tが十分短ければ、FでもSでもかまいません(詳細は、JIS Z 8731:1999「環境騒音の表示・測定方法」を参照して下さい)。

実際の測定では測定項目、経済性等を考慮し測定方法を決めます。鉄道騒音についてLAeqと時間重み特性Sによる最大値、道路交通騒音についてLAeqと時間重み特性FによるLAN,Tを求める場合、図1のようにFで騒音レベルをサンプリングし、Sでレベルレコーダに騒音レベル変動波形を書かせる方法が一案です。この方法では、測定後レベルレコーダ記録を参照しながら、サンプリング値を鉄道騒音と道路交通騒音を分離することになりますが、パソコンを利用すればそれほど手間はかからないと思います。

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在来の鉄道騒音を評価する場合,特急,普通,貨物列車またディーゼル車で騒音の性質が変化するはずですが,車種別のLAeq評価をしなくてよいのですか。また,アセスメントではどのように取り扱うのでしょうか。
                                      (匿名)

((財)小林理学研究所 加来治郎)

ご指摘のとおり,電車とディーゼル車,特急電車と通勤電車のように列車の種類によって発生する騒音の特性は異なります。又,同じJRの通勤電車でも,例えば旧型の103系と新型の209系では騒音レベルに差のあることは周知の事実です。その原因は主にギヤ比を含めた駆動方式の違いによるものです。従って、複数の種類の列車が走る路線で騒音評価を行う場合は,原則として列車の種類毎に騒音レベルを算出する必要があります。

在来鉄道騒音の予測評価は,最近では平成8年に発表された森藤らの方法1)によって行われることが多くなってきました。そこには電車騒音の主要な音源のパワーレベルの値が示されていますが,値に幅があり,しかもディーゼル車や貨物列車のデータは載っていません。騒音データが公表されていない列車については,自分で測定を行って所要のデータを入手しなければなりません。

ところで,アセスメントにおける騒音予測の方法としては,予測式等を用いて計算する方法と,評価対象と類似の箇所での実測結果から推定する方法とがあります。予測に必要なデータが与えられている場合は計算による方法が有効ですが,データがない場合は前述のように実測によってデータを入手するか,あるいは類似箇所での測定結果に基づいて予測を行うことになります。鉄道騒音に関しては公表されたデータが少ないこともあって,我が国では類似事例での結果に基づくアセスメントが大半を占める傾向にあります。

類似箇所でのデータを参照する場合に注意していただきたいのは,列車騒音の大きさは列車の種類だけでなく,列車速度,軌道構造,高欄高さ,構造物の種類などによって変わるということです。例えば,バラスト軌道とスラブ軌道では転動音に関して5~10dBのレベル差を生じます。予測の精度を高めるためには,騒音の大きさに関わる種々の要因が計画路線と一致する箇所をどう選定するかが極めて重要です。

参考文献

  • 1)森藤良夫他:在来鉄道騒音の予測評価手法について, 騒音制御, Vol.19, No.3, 32-37,1996.6.

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在来鉄道の騒音指針値は新線のみ定められており、既設線の大規模改良には明確な数字がなく「現状より改善すること」となっている。「改善する」とは何dB(A)程度低減させるのが目的なのか。
                                      (匿名)

(環境庁大気保全局自動車環境対策第一課 奥山 広)

在来鉄道の新設又は大規模改良に際しての騒音対策の指針について」(平成7年12月20日環境庁通達)は、在来線のうち、特に新線建設による路線や立体交差等に伴う高架化又は線路の増設のような大規模工事を行った路線は、鉄道騒音を巡る周辺環境が急変するため新たな騒音問題が生じているケースが少なくありませんでした。このため、これらに際しての騒音問題の発生を未然に防止ために、目標となる当面の指針を定めたものです。

この策定過程で、最近供用された新線と大規模改良線について列車本数と騒音レベルを比較したところ、大規模改良線の方が運転本数が多い路線があり、新線と比較して数dB(A)大きくなってしまう状況もあることがわかりました。また、貨物列車と旅客列車の両方が走行する区間においては、列車総本数が同様でも貨物列車の運転本数が多いケースでは貨物列車の長さが長いため、夜間においてさらに数dB(A)大きくなった事例がありました。

このため、大規模改良線の指針については、状況が極めて複雑であり必ずしも新線と同様の騒音レベルに抑えることは容易ではないとして、「騒音レベルの状況を改良前より改善すること」としたものです。

したがって、「現状より改善すること」とは技術的な対応可能性も踏まえたうえで、できるだけ現状より騒音レベルを低くすることである、と考えていただきたいとおもいます。

なお、既設線の環境基準や指針については、列車の種類、編成内容、運行頻度、運行時間などが多種多様であり、採りうる環境対策も路線ごとにその条件が異なることから全国一律に設定することは困難ですので、この場合の騒音対策は個別の事例ごとに適切な対策が講じられるもの、と考えています。

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