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低周波音が原因で家屋や窓が振動することはあるでしょうか。そのような場合は,因果関係はどのように調査・解明したらよろしいでしょうか。(Vol.37 No.2)

(一般財団法人小林理学研究所 落合博明)

上空を大型のヘリコプターが通過する際,窓や戸がカタカタと音をたてることがあります。これは上空で発生した音波が地上まで伝わり,窓や戸などの建具を振動させているのです。低周波音による建具の振動は,低周波音の主要な周波数と建具自体が持っている共振周波数と合致した場合に発生します。したがって,同じ家屋内でも,振動する窓と振動しない窓があるといった現象が起こります。建具の他にも,人形ケースのガラス面や食器戸棚のガラス戸,蛍光灯のカバーなどが振動することもあります。発破や爆発などのように低周波音の音圧レベルが非常に大きい場合には,床が振動するのを感じられることもあります。

建具等のがたつきを生じさせる可能性がある低周波音発生源として,工場の大型施設,道路高架橋,高速列車のトンネル突入,ヘリコプター,堰の放流,発破・爆発などがあります。

因果関係を調べるには,はじめに,発生状況の把握を行います。その現象が発生し始めた時期,発生する季節,時刻,発生性状(連続的か,間欠的か,単発的か)などを調べます。ある時期から突然建具の振動が発生したような場合には,施設の新設や移設,稼動状況の変更や不具合の発生した時期と関係があると思われます。また,近くに低周波音の発生源がないか確認します。

次に,推定される発生源の稼動状況と振動の発生状況の対応関係を確認します。移動発生源や発破・爆発などは対応関係が比較的わかりやすいと思われます。道路高架橋では大型車の通行時,高速鉄道トンネルでは列車のトンネル突入時,ヘリコプターでは上空通過時,発破・爆発では作業時との対応を調べます。堰の放流については水膜が薄い条件で大きな音圧レベルの低周波音が発生することがあるので,放流状況を確認します。

工場の大型施設が発生源である場合には,施設の稼動時間や稼動状況と関係があるはずです。可能であれば,施設を稼動・停止させて振動の発生との対応を調べるとよいでしょう。

測定により因果関係を調べる場合には,周波数分析機能の付いた低周波音レベル計を用います。発生源近傍(難しければ敷地境界)と,振動が発生している家屋(建具)の屋外で,低周波音を同時に測定します。その際,音圧レベルの変動が少ない場合はパワー平均値を,大きく変動する場合や間欠的・衝撃的な低周波音の場合は発生時の最大値を測定します。発生源側と家屋側で測定された低周波音の周波数特性を比較し,家屋側と対応する卓越周波数成分を調べます。

工場のように施設がたくさんある場合には,メッシュ状に測定点を設けて測定し,家屋側で観測された低周波音の卓越周波数と同じ卓越周波数をもつ測定結果を手がかりに発生源を絞り込んでゆくとよいでしょう。

対応関係が確認された場合,建具の振動に寄与する周波数を調べるには,家屋屋外で得られた測定結果を「建具のがたつき閾値」(下表)1)と比較します。この値を上回っている卓越周波数成分があれば,その周波数の低周波音が振動の原因である可能性があります。

周波数(Hz) 5 6.3 8 10 12.5 16 20 25 31.5 40 50
建具のがたつき閾値(dB) 70 71 72 73 75 77 80 83 87 92.5 99

なお,家屋全体または部屋全体が振動している場合には,地面振動が原因である可能性も考えられます。調査にあたっては,鉛直方向と水平方向の 3 方向が測定できる振動レベル計も併せて持って行かれることをお薦めします。

低周波音の測定,評価,苦情対応,事例等については,以下に示す環境省のホームページもご参照下さい。(何れのページも,2013 年 3 月時点確認)

文献

  • 1 )環境庁 : 昭和 52 年度低周波空気振動等実態調査(低周波空気振動の家屋等に及ぼす影響の研究)報告書(1978. 3).

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