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騒音規制法第17 条に定められている,自動車騒音の測定に基づく要請及び意見と同法第18 条の常時監視の違いについて教えてください。(Vol.41 No.5)
Vol.41 No.5

(千葉県環境研究センター 石橋雅之)

両方とも自動車騒音の測定に係るものですが,以下のとおり測定目的や測定方法が異なっています。

1「自動車騒音の測定に基づく要請及び意見」

騒音規制法(以下,「法」という)第17条第1項では,市町村長が指定地域内で自動車騒音を測定した場合において,同地域内の自動車騒音が環境省令で定める限度(要請限度)を超えており,道路周辺の生活環境が著しく損なわれていると認めるときは,都道府県公安委員会に対して,道路交通法の規定による措置をとるよう要請するものとされています。

措置としては,信号機又は道路標識等の設置及び管理による自動車通行禁止等の交通規制,最高速度制限等があげられます1)。

また,法第17 条第3項では,市町村長が指定地域内で自動車騒音を測定し必要があると認めるときは,道路管理者又は関係行政機関の長に対して自動車騒音の減少のために必要な意見を述べることができるものとされています。トンネルの出入口,適切な舗装のない区間,高架道路,立体交差等,交通規制だけでは騒音対策が難しい箇所における騒音防止のために,道路構造・舗装の改良,遮音壁の設置等について意見を述べることができます1)。

要請限度の測定は,沿道住民から苦情が市町村に寄せられた場合に,その道路の自動車騒音が要請限度を超えているかを判断するために必要な測定です。測定においては,連続する7日間のうち当該自動車騒音の状況を代表すると認められる3日を選定します。なお,環境省水・大気環境局大気生活環境室の公表資料2)によると,騒音規制法の指定地域内における平成27年度の自動車騒音の苦情は293 件であり,そのうち66 件で騒音の測定が行われ,その結果要請限度を超えていたものは11 件でした。また,都道府県公安委員会に対する交通規制等の要請は0件,道路管理者に対する道路の構造等の意見陳述が1件となっています。

2「自動車騒音の常時監視」

国が,環境基準の達成状況を把握し,自動車単体規制の強化等の自動車騒音対策を進めるための基礎資料を得ることが必要であることから,法第18 条第1項で都道府県知事(市の区域は市長)は,自動車騒音の状況を常時監視しなければならないこととされています。

監視地域は,未供用の道路を除き,原則として2車線以上の車線を有する道路(市町村道は,特別区道を含むものとし,原則4車線以上)に面する住居等が存在する地域とされており,道路端から50メートルの範囲が評価対象です。道路端で等価騒音レベルを測定した結果を用いて,監視地域内の全ての住居の騒音レベルをシミュレーションし,環境基準を超過している戸数及び超過する割合を算出します。測定は平日の1日間(原則として連続24時間)行います。

なお.環境省水・大気環境局自動車環境対策課の公表資料3)によると,平成27年度は,全国837地方公共団体において環境基準の達成状況の評価が実施され,評価対象818 万5,300 戸の住居等(道路に面する地域の延長58,033km)のうち昼間・夜間のいずれか又は両方で環境基準を超過していたのは,52万2,700戸6.4%)であり,そのうち昼夜間とも環境基準を超過していたのは24 万7,900 戸(3.0%)となっています。

このように,法第17条が,自動車騒音が要請限度を超えた場合の改善措置の要請を規定しているのに対して,法第18 条は自動車騒音の面的評価を目的とした規定という違いがあります。

参考文献

1 )(社)日本騒音制御工学会編: 騒音規制の手引き[第2版](技報堂出版,2007),pp. 106-111.

2)環境省水・大気環境局大気生活環境室: 平成27 年度騒音規制法等施行状況調査の結果について(平成29年1月31日).

3)環境省水・大気環境局自動車環境対策課: 平成27 年度自動車交通騒音の状況(平成29年2月17日).

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『自動車騒音の状況の常時監視に係る法定受託事務の処理基準』には、評価結果の活用として、「騒音マップ等を作成して活用する」とありますが、どのような騒音マップ等を作成して活用すればよいのか、教えて下さい。(Vol.28 No.6)
                               (地方公共団体担当者)

(環境省自動車環境対策課 児玉知之)

騒音規制法第18条に規定される自動車騒音の状況の常時監視(以下「常時監視」という)は、同法第26条により法定受託事務とされています。一方、常時監視結果の公表は、同法第19条に規定される地方自治事務です。したがって、常時監視事務においては、騒音マップの作成等を通知しているものの、各地方公共団体における常時監視事務の成果の公表については、個別の地域の事情に応じた方法によればよいものです。

このような背景から、ここでは環境省が国立環境研究所と共同で作成し、2004年11月にインターネット上で一般公開を開始した全国騒音マップ(http://www-gis.nies.go.jp/noise/car/)について、その制作ポリシーを事例として示すこととします。

環境省が作成し公表した全国騒音マップ(自動車交通騒音実態調査報告-図に画面例)は、自動車交通騒音の支配的な道路に面する地域の騒音曝露状況について、常時監視報告に基づく騒音情報を地理情報と共に情報提供するものです。

道路に面する地域における騒音曝露状況の表示方法は様々なものが考えられますが、環境省では、騒音に係る環境基準に基づいて「環境基準値を超過する住居等の戸数及び割合」を基本とした騒音マップを作ることとしました。この際、サイトの閲覧者が一般住民から行政の方まで不特定多数にわたること、及び制作上の維持・管理の観点などから、特に次の点に留意することとしました。

  • 1.背景地図は、常時監視が個別の住居等情報の識別を指向していないこと等から、1:25000縮尺の国土地理院数値地図25000(地図画像、空間データ基盤)を使用する。
  • 2.地域の住民、騒音対策の企画者の2つの視点に着目して、環境基準達成率と住居等密度(戸/km)について、色度に明度・彩度を組み合わせた2次元色パレットにより同時に表現する。
  • 3.環境質の経年変化・推移を把握することが重要なことからも、GIS(地理情報システム)座標情報と詳細な属性情報を分ける等、データ構造はなるべくシンプルにして、騒音マップの維持・更新を容易なものとする。
  • 4.全国各地域を、地図画像をクリックすることにより検索可能とするとともに、市区町村・町丁目によっても検索できる。
  • 5.幹線交通を担う道路に近接する空間、幹線交通を担う道路に近接しない空間、及び全体(前者2つを合算したもの)ごとに、環境基準達成状況の評価結果を表示できる。
  • 6.騒音測定結果を表示・閲覧できる。
  • 7.環境省で毎年取りまとめている、「自動車交通騒音実態調査報告」を閲覧し、ダウンロードできる。

最後に、今後の騒音マップの作成にあたっては、いずれの地方公共団体においても、アカウンタビリティーと個人情報保護に留意しつつ、情報更新を踏まえて維持・管理がしやすいデータ整備、インターネットの普及に対応した電子媒体による情報提供、及び国土地理情報を重ね合わせる等の各種騒音対策分析・活用方途、などについても検討し、生活環境の質の向上に寄与できる騒音マップが制作されることを期待します。

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