日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

Q&A

「 気象影響 」の関連記事一覧

一般的傾向として、気温、湿度、天候などは騒音レベルにどういう影響があるのか教えて下さい。 
                                      (匿名)

(名城大理工学部 吉久光一)

冬季の早朝に遠くの鉄道の音が聞こえてきたり、屋外スピーカの放送音が風向きによって聞き難くなったりすることがあります。また、上空を通過する航空機の音は、晴れた日よりも曇りの日に大きく聞こえるといわれることもあります。

このような現象は、主として風と温度分布の影響、および空気の音響吸収の影響によって説明されています。

まず、風と温度分布の影響は、現実の地表面近傍の風速と気温が地上からの高さに依存するため、音速が地上高さによって異なってくることに起因しています。この音速の高さ方向の変化により、地表面に沿って伝搬する音は連続的な屈折作用を受けるとことになります。一般に、風速は地面近くで急速に減少しますから、順風条件(音が風下側に伝搬する場合)では上空ほど音速が高くなり、音線は下向きに曲げられ音が伝搬し易くなると考えられます。一方、逆風条件では反対に音線は上向きに曲げられ音が伝搬し難くなります。また、温度分布の影響については、昼間は地表面近傍の気温が上昇し音速が高くなるため、音線は上向きに曲げられるのに対して、夜間は放射冷却現象により地表面近くの気温が低下し、音線は下向きに曲げられると考えられます。このように、これらの現象は風速そのものや夏季と冬季のような気温の絶対的な違いではなく、地表面近傍の風速分布と温度分布によるものです。したがって、地面温度が上昇する晴天の昼間などは、夜間や雨天の日よりも騒音レベルは低くなると考えられます。空気吸収による減衰は、周波数が高いほど大きく、気温と湿度に依存します。気温が20℃付近の場合には、相対湿度が極端に低い場合(20%以下)を除いて、湿度の上昇とともに、大部分の周波数で減衰が小さくなります。この点に着目すると湿度が高い場合、すなわち、雨天や曇天の日は音が伝搬し易く、騒音レベルが高くなるといえます。ただし、この湿度依存性は気温によって大きく異なるため、一般的には、空気の音響吸収は気温や湿度とともに単調に増加あるいは減少するものではなく、複雑に変化すると理解しておくべきでしょう。

なお、以上述べた気象の影響については、本工学会編「地域の音環境計画」(技法堂)に、実測データと併せて詳述されていますので、それを参考にしてください。

閉じる

分野

キーワード

フリーワード

PAGE TOP