日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

Q&A

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騒音の評価値として等価騒音レベルが一般的になってきていますが,振動についてもこの
先,等価振動レベルに変わっていくのでしょうか。また,騒音計の国際規格との整合は良く話題になりますが,振動計に係る国際整合の状況について教えてください。(Vol.43No.4)
Vol.43 No.4

(リオン株式会社 蓮見敏之)

【評価量について】
公害振動を対象とする振動規制法は昭和51 年(1976 年)施行されました。その目的は,工場及び事業場における事業活動並びに建設工事に伴って発生する相当範囲にわたる振動について必要な規制を行うとともに,道路交通振動に係る要請限度を定めること等により,生活環境を保全し,国民の健康の保護に資することです。評価量・手法は計量法に基づく振動レベル計で測定された鉛直方向の振動レベルを用い,振動レベルの時間的な変動具合から評価量が定まります。例えば,道路交通振動のような「不規則かつ大幅に変動する場合」にはL10(80% レンジの上端値),「周期的または間欠的に変動する場合」には変動毎の指示値の最大値の平均値が評価量になります。
さて,騒音評価の法体系においては,環境基準,騒音規制法,環境影響評価法があり,騒音に係る環境基準では平成5 年(1993 年)に等価騒音レベル(Leq)が採用されました。等価騒音レベルは,ある時間内で変動する騒音レベルに対し騒音レベルのエネルギーを時間平均する算出方法です。一方,振動レベルにおいては,2014 年に制定されたJIS C 1517「振動レベル計─取引又は証明用」,第3 項用語及び定義に,時間平均振動レベルLveqが規定されました。これは騒音計のJIS に規定される時間平均サウンドレベルに伴い振動レベル計において規定されましたが,振動規制法における評価量の議論は進んでいないようです。
【国際整合について】
全身振動においては,国際規格ISO 2631-1 : 1997にて健康影響や快適性,振動知覚,動揺(乗り物酔い)に関して人体暴露の評価が定められています。
人体に座標系を当てはめ,様々な姿勢や部位を対象としてそれぞれの感覚補正により,並進振動や回転振動の評価が3 方向X/Y/Z で評価されます。また,ISO 2631-2 : 2003 では建物内の振動評価について規格化されました。測定器の規格ISO 8041 : 2005も続いて定められ,一昨年の2017 年に改訂されております。国内では,これら国際規格に整合されたJIS B 7760-1(全身振動の測定装置),JIS B 7760-2(全身振動の評価方法)が2004年に発行されています。規格に準じた測定器も市販されておりますが,このJIS B 7760シリーズと,公害振動を対象とする振動レベル計JIS C 1510は,目的や計量値が異なっていますので注意が必要です。
また振動加速度の基準値は,国際的にはISO 1683により基準値10−6(m/s2)が推奨され,国内での振動レベルの基準値は10−5(m/s2)であり,20 dBの差が生じています。国際整合化には基準値についても議論が必要です。

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動特性の説明で、過去に対する平均化とはどういうことでしょうか。
                             (環境測定会社 技術者)

(リオン㈱ 若林友晴、音環境計測 多田雅昭)

騒音計や振動レベル計では変動する信号の実効値を表すために信号の二乗波形に対し指数的な重み付けをした平均(指数平均)値が得られるようになっています。この重み付けは動特性として規定され、その時定数によって応答が異なります。

指数平均値の時間応答を図1に示します。

信号が変動して大きくなった時、指数平均値は初期の値からその信号が連続して発生した場合の値へと上昇しながら近づいていきます(立ち上がり区間)。またこの動作は信号が小さくなった場合も同様で、指数平均値はそこまでの値を基点として徐々に減衰していきます(立ち下がり区間)。実効値の平均化動作ではこのようにして常に少し前の信号の影響を受けながら現在の信号の大きさに近づいて行きます。なおこの平均は指数平均であるため過去の重みは古いほど指数的に小さくなります。

ここで平均化の応答速度は時定数によって決定され、時定数が小さいほど実効値は俊敏な応答になります。例えば騒音計の早い動特性(F)の時定数は0.125秒であり、遅い動特性(S)の時定数は1秒ですが、実際の立ち上がりでは信号が発生してから実効値が定常信号レベルの1dB下に到達する時間はFで0.2秒であり、Sでは1.6秒になります。また立ち下がりでは10dB減衰する時間がFでは0.28秒、Sでは2.3秒になります。

なお、動特性の時定数をτとした時の時刻tにおける騒音レベルLA(t)は次式で表されます。

ここで、

τ 動特性の時定数(s)
ξ -∞の時刻から観測時刻tまでの積分変数
pA( ξ ) 時刻ξにおける瞬時A特性音圧
p0 基準音圧

これを利用して、プログラムを作る場合には、図2のアルゴリズムを利用されるとよいでしょう。

Mの初期値は0でなくてもかまいません。初期値に任意の値を与えればその値から真値に近づきます。

また、レベル値時系列データはそれほど細かく取る必要はないので、iを何回かインクリメントする

ごとにjを1つインクリメントすればよいと思います。

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騒音や振動レベルのフィールド測定中に,定格の温湿度測定可能条件から少し外れてしまった場合,どのような対策をとればよいのか,また,補正などが可能なのでしょうか。
                                      (匿名)

(リオン(株) 若林 友晴)

JISで規定されている騒音計および振動レベル計の使用温湿度範囲は-10℃~50℃、90%以下となっており、温度による器差の変化が0.5dB以上ある場合には補正値を取扱説明書に記載することになっています。しかし補正が必要な性能では測定者の利便性に問題が生じるため、現実にこの範囲で補正の必要な騒音計・振動レベル計は実在していないと思います。

騒音計・振動レベル計の製品仕様に記載される温湿度範囲は前記したJISの規定と同一になっている製品が一般的ですが、その範囲よりも広く規定されている製品もありえます。問題は御質問にあるように製品仕様で規定される温湿度範囲外でのことですが、残念ながらメーカーでは性能保証することが出来ませんし補正値も用意されていません。その理由は次によります。

一般には温湿度試験を出荷される製品の全数について実施することはその必然性が低く、コストアップにも繋がるため行われていません。温湿度試験は製品の開発段階や、計量法の型式承認試験で実施されています。そしてその後は製品の量産時に抜き取り試験で実施されます。メーカー側ではそれらの試験データや設計上の理論的な判断によって製造された全数についての性能保証ができる範囲を決めています。そこで個々の製品で捉えた場合にはある程度の余裕度が含まれる場合もあるため、規定した温湿度範囲を大きく外れない範囲では正常に動作することもありえます。しかし、その環境での試験を行っての判断がないためメーカーとしてはあくまで性能保証ができないのです。

製品仕様より広い使用環境での性能保証を必要とする場合にはメーカーに依頼することにより、ある範囲内であればその環境での性能試験を実施することで対応出来る場合もありますが、別途に費用が発生してしまいます。メーカーではなく使用者の自己責任において性能を確認する場合には、その環境で音響校正器や振動レベル校正器を利用することなどにより動作確認するのも一つの方法ですが、その場合には動作確認が測定器の持つさまざまな機能の一部に限定されている点に注意することが必要です。

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