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公益社団法人 日本騒音制御工学会

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航空機騒音について,対策や実例があれば紹介していただきたい。(Vol.37 No.6)

(防衛施設周辺整備協会 森長誠)

まず発生源対策として,国際民間航空機関(ICAO)が制定した発生源の規制基準(国際民間航空条約附属書 16 第Ⅰ巻)が挙げられます。各国はこの基準を騒音基準適合証明制度として法令化しており,民間航空機が商業運航する際にはこの基準を満足していなくてはなりません。最近の大型ジェット機には Chapter 4 と呼ばれる基準が適用されていますが,本年 2 月 14 日に基準強化について合意したとの報道があり,2017 年以降に製造される新型航空機が騒音証明を申請する際は新基準が適用されることになりそうです。空港によっては低騒音型機材への移行を促進するため,騒音証明値に基づく独自の制度を設けるところもあります。例えば成田国際空港は着陸料金が低騒音型機ほど安くなる「成田空港騒音インデックス」制度を導入しています。大阪国際空港も低騒音型機ほど着陸料が安くなる制度を今年の夏ダイヤから導入しています。発生源対策には低騒音型機の導入だけでなく,騒音軽減運航方式,運航規制などもあり,空港毎に対策に要するコストと得られる効果のバランスを考えて取り組むことが必要とされており,これを Balanced Approachとよびます。

次に,伝搬経路対策としては羽田国際空港の D滑走路のような沖合展開が挙げられます。また,航空機騒音に係る環境基準の改正により地上音の評価が必要になりましたが,成田国際空港や山口宇部空港などでは離陸滑走音,着陸時のリバース音,誘導路の地上走行音などの低減のために防音堤が設置されています。大阪国際空港では空港隣接地域への騒音軽減を目的として防音壁を設置するとともに,空港のできるだけ内側を走行するための誘導路から滑走路へのバイパス通路が設けられています。

受音側対策としては,移転補償や家屋の防音工事助成が挙げられます。これらの対策は,主要な空港や防衛施設については国(国交省・防衛省),成田国際空港や関西国際空港は空港会社,その他の空港は管理者である自治体等が実施しています。補償あるいは助成という形で行われますから,騒音コンターに基づき対策エリアが指定され,エリア内の該当する家屋だけが対象となります。

先に述べた Balanced Approach には,発生源対策である低騒音型機導入,騒音軽減運航方式,運航規制の他に,土地利用計画が含まれています。土地利用計画は,騒音の影響を受ける住民の数を増やさないようにするための取り組みであり,騒音の大きな地域の新規開発の規制などを通して行われるものですが,我が国では成田国際空港以外に土地利用規制を行っている空港はなく,今後の課題の一つと言えるでしょう。

ここまで,我が国の騒音対策の基本的な枠組みである発生源対策・伝搬経路対策・受音点対策のそれぞれの枠組みで説明しましたが,地域住民への情報公開という重要な対策も忘れてはなりません。成田国際空港では 1995 年に空港情報センターを開設し,航空機騒音の測定値や飛行コースの公開などを行っています。中部国際空港はホームページ上でリアルタイムに近い形で飛行経路や騒音レベルを公開しています。羽田国際空港でも「羽田空港飛行コースホームページ」によって 1 日前から 1 カ月前までの飛行コースや騒音レベルを確認することが出来ます。また企業の社会的責任の一環として成田国際空港,中部国際空港,関西国際空港では環境報告書を年に 1 回発行しており,騒音を含む各種環境問題についての空港の取り組みが詳しく紹介されています。これらは空港のホームページからもダウンロードが可能です。

なお,航空機騒音に対する対策の詳細については本誌 31巻2 号に「航空機騒音に対する体系的な取り組み」という特集号がありますのでそちらをご覧ください。

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