日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

Q&A

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航空機騒音について,各自治体に寄せられる苦情内容の現状,対応例があれば伺いたい。(Vol.38 No.3)

(防衛施設協会 森長誠)

苦情は主に,自治体,空港,国などに申し入れられるケースが多く,それぞれで管理されています。自治体によってはホームページで苦情内容を公開している場合もあり,例えば千葉市では羽田空港の航空機騒音に関する苦情の件数や内容を公開しています。オスプレイの問題に直面している普天間飛行場周辺の宜野湾市は「基地被害 110 番」として騒音以外も含めた苦情内容を公開しています。

自治体ごとに苦情の具体的な内容は異なりますが,例えば当学会が一昨年度に実施した「福岡空港に係る環境保全検討業務委託」業務の結果では,夜間の騒音や飛行経路に関する苦情が目立つと報告されています。福岡空港は暗黙の了解で 22 : 00∼7 : 00は飛行しないとされていますが公式ルールではないため,実際には 22 : 00 以降の到着遅れなどがあります。また,飛行経路も風向きや天候によって変化することから,飛行頻度の少ない経路などで,普段聞こえないのに今日はうるさいといった苦情が発生しやすくなっています。このような苦情は,住民にとって「イレギュラー」な騒音と捉えられているのかもしれません。これらは十分な住民説明が不足していると考えることができ,時間帯の取り決めや,季節・天候ごとの標準飛行経路パターンを十分に周知し,個々の騒音がなぜ発生したのか理解してもらうことが苦情対応の第一歩ではないでしょうか。

最初にお話しした千葉市における羽田空港の苦情とは,主として D 滑走路の増設に伴う飛行経路の変更が原因です。夏場などの南風時に千葉市の上空で北からの着陸便と南からの着陸便が交差して飛行するようになり,当該地域の住民の方々にとっては今まで聞こえなかった騒音が,決して大きな騒音レベルではなくても非常に頻繁に飛行することとなり苦情が増加しています。国や自治体はよりよい飛行経路を模索しているようですが,飛行経路を変更すると今度はその先で苦情が生じかねませんので,単純ではありません。

苦情対応の確固たる手法はありませんから,これは私の個人的な意見となりますが,できるだけ不公平感を解消することが重要ではないかと思います。車や電車とは異なり,航空機は空港周辺の住民ほどより利用する交通機関ではありませんから,自分たちに便益は少なく,騒音だけを請け負っているという不公平感が生じやすいのが航空機騒音問題の特徴ではないかと思います。空港の存在による観光資源を中心とした地域経済の潤いや,雇用の増加など,空港の存在による地域への便益は潜在していると思います。2012 年に成田国際空港が 23 : 00 までの夜間離着陸制限について,低騒音型機材に限定することを条件に 24 : 00 までの緩和措置を実施しましたが,緩和時間帯における到着便には着陸料金の増加が課せられ,そのお金は周辺自治体に支払われることになっています。このように,受苦者に便益をもたらすシステムの存在と,その存在の周知が重要ではないでしょうか。

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