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製品音などの音のクオリティを評価したい場合,騒音レベルだけでなくひとの聴感特性をより子細に考慮した評価尺度が必要となる場合がありますが,どのような尺度があるのでしょうか。(Vol.41 No.4)
Vol.41 No.4

(広島市立大学 石光俊介)

JIS Z 8106によると、音は「音波またはそれによって引き起こされる聴覚的感覚」と定義されています。“聴覚的感覚”というように,これまで音の評価は耳で行ってきました。しかし、評価の客観化のために数値化も必要になってきており、音の物理量と聴覚を通した感覚による心理量を結びつける研究がなされてきました。それらのうち、音の大きさや鋭さ、あらさの評価を行う音質評価指標1)があります。代表的なものに次のようなものがあります。

ラウドネス(loudness)

ラウドネスは人が感じる音の大きさを評価する指標です。人は24kHzあたりがよく聞こえ、低い周波数と高い周波数は聞こえにくい特性を持っています。また、大きな音が小さな音を聞こえにくくするマスキングもあります。これらの特性を考慮し音の大きさを表現しようとしたものです。また、ISO532-1, ISO532-2として今年新たに規格化されました。

シャープネス(sharpness)

シャープネスは人が感じる音の高さを評価する指標です。ラウドネスの周波数特性の重心で評価します。よって高い周波数のラウドネスが大きいとシャープネスは大きくなり、甲高さを感じます。

変動強度(fluctuation strength)

変動強度は音から感じる変動感を評価する指標です。低い周期で変調するときに人は変動感を感じ、その変調が4Hzのときに最大値となります。

ラフネス(roughness)

ラフネスは人が感じる音のあらさを評価する指標です。変動強度において、20Hzの変調周波数を超えると、人はその変動についていけなくなり、あらさを感じるようになります。その変調が70Hzのときにラフネスが最大となります。 

音質評価指標ソフトウエア

以上の音質評価指標を手軽に試せるフリーソフトウエアとして、Psysound3 2)があります。ただしMATLAB版しか公開されていません。校正信号と解析したい騒音を読み込むことで、上に述べた評価指標の他,スペクトログラムなどの簡単な信号解析もできます。

以上の指標ですが、過渡音、エンジン加速音や楽音など非定常な信号を用いる場合、これらの指標と物理量の対応付けに疑問を呈する報告もあります3)。そこで、聴覚の多重解像度も考慮した時変ラウドネス4)という非定常騒音を評価する指標もケンブリッジ大学のWeb上に公開されています。なお、新しいラウドネスの規格では一部非定常騒音にも対応しています(ISO532-1)。

 

一方で、感覚の次元を決定する方法にOsgoodらのSD(semantic differential)5)があります.この方法により,音を聞いたときの感覚空間の次元を見いだして、それぞれの感覚因子と物理量を結びつける研究もなされています. たとえば、ゴルフショット音やボタン押し音などの過渡音では、音質評価指標だけでなく、ウェーブレット解析という時間周波数解析から抽出された特徴量による重回帰分析結果が各因子とよく一致するという報告6)もあります。

 

参 考 文 献

  • Fastl, E. Zwicker : Psychoacoustics Facts and Models, (Springer, Berlin Heidelberg, 2007)
  • http://www.densilcabrera.com/wordpress/psysound3/
  • 例えば、 Kubo, V. Mellert, R. Weber and J. Meschke: Engine sound perception: Apart from so-called engine order analysis, Proc. of CFA/DAGA’04, pp.867-868 (2004)
  • R.Glasberg, and B.C.J. Moore : A Model of Loudness Applicable to Time-Varying Sounds, J. Audio. Eng. Soc. ,50, pp. 331-342, (2002)

http://hearing.psychol.cam.ac.uk/Demos/demos.html

  • E. Osgood, J.G. Suci and P.H. Tannenbaum: The Measurement of Meaning, Illinois Press (1957)

例えば、阪本浩二,石光俊介,荒井貴行,好美敏和,藤本裕一,川崎健一:カーオーディオ・メインユニットのボタン押し音評価に関する検討- 第1 報 ウェーブレットによる特徴分析-日本感性工学会論文誌 Vol.10 No.3 pp.375-

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