日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

Q&A

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自動車騒音の予測計算はASJモデルが使われていますが、航空機騒音にも予測計算の方法があるのでしょうか。(Vol.39 No.2)
Vol.39 No.2

(成田空港振興協会 川瀬康彰)

航空機騒音の予測は, 1機の航空機が飛行した際の任意点における騒音レベルの変動を計算することでも可能ですが, 機種が同じでも目的地によって飛び方は異なりますし(目的地までの距離により搭載する燃料の量が異なるなど), またそれらが同じであっても飛行経路にばらつきが生じるため, 計算にそれらを考慮に入れると莫大な時間と手間がかかり現実的ではありません。

そこで,多くの計算モデルでは次に示すデータベース (基礎データ) を機種や飛行形態などの別に作成し, それらを用いて様々な飛行パターンによる航空機騒音の総暴露量を計算する方法が採られます。

・航空機1機ごとの飛行時に観測される最大騒音レベルまたは単発暴露騒音レベルと計算点までの距離との関係

・滑走路端からの航空機の進出距離に対する高度,速度,推力の関係

我が国では, その方法に基づいた航空機騒音予測計算モデルとして, 民間空港向けに国土交通省航空局が, 自衛隊基地向けに防衛省がそれぞれ開発したものがあります。 だたし, それらは行政的な施策の検討に用いられるのにとどまっており, プログラムやデータベースは公開されていないため誰もが使えるものにはなっていません。

世界に目を向ければ公表されている予測計算モデルはいくつかありますが,FAA(米国連邦航空局)が開発したINM(Integrated Noise Model)1)や米国空軍が開発した NOISEMAP2)が比較的容易に入手できます。そのうちINMは,1978年に公表されて以来バージョンアップを重ねているもので(最新版は2013年に出されたバージョン7.0d), 長きに渡り種々の改良が為されていることに加えて, 予測精度に関する調査例がいくつかあることもあり,世界で広く使われているようです。

航空機騒音の予測計算方法のガイドラインについては, 1980年代後半に相次いで発行・公開されたものがあります3)-5)。それらに基づいた予測計算モデルもいくつか開発されましたが, 一般に入手できるものは無いようです。INMや我が国の予測計算モデルはそれらのガイドラインが発行される前からありますが, ともに改訂を経た現在ではそれらと整合したものになっています。 なお, 基礎データなど予測計算に必要となるデータベースは公開されているものがあります6)。

1) https://www.faa.gov/about/office_org/headquarters_
offices/apl/research/models/inm_model/

2)http://wasmerconsulting.com/baseops.htm

3)“Recommended Method For Computing Noise Con-
tours Around Airports”,ICAO Circular205,Inter-
national Civil Aviation Organization(ICAO),1987.

4)“Aerospace Information Report1845:Procedure For
the Calculation of Airplane Noise in the Vicinity of
Airports”,SAE AIR1845,Society ofAutomotive Engi-
neers(SAE),1986.

5)“Standard Method of Computing Noise Contours
around Civil Airports”,ECAC.Doc.29,European Civil
Aviation Conference(ECAC),1986(3rd Edition2005).

6)http://www.aircraftnoisemodel.org/

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低周波音が原因で家屋や窓が振動することはあるでしょうか。そのような場合は,因果関係はどのように調査・解明したらよろしいでしょうか。(Vol.37 No.2)

(一般財団法人小林理学研究所 落合博明)

上空を大型のヘリコプターが通過する際,窓や戸がカタカタと音をたてることがあります。これは上空で発生した音波が地上まで伝わり,窓や戸などの建具を振動させているのです。低周波音による建具の振動は,低周波音の主要な周波数と建具自体が持っている共振周波数と合致した場合に発生します。したがって,同じ家屋内でも,振動する窓と振動しない窓があるといった現象が起こります。建具の他にも,人形ケースのガラス面や食器戸棚のガラス戸,蛍光灯のカバーなどが振動することもあります。発破や爆発などのように低周波音の音圧レベルが非常に大きい場合には,床が振動するのを感じられることもあります。

建具等のがたつきを生じさせる可能性がある低周波音発生源として,工場の大型施設,道路高架橋,高速列車のトンネル突入,ヘリコプター,堰の放流,発破・爆発などがあります。

因果関係を調べるには,はじめに,発生状況の把握を行います。その現象が発生し始めた時期,発生する季節,時刻,発生性状(連続的か,間欠的か,単発的か)などを調べます。ある時期から突然建具の振動が発生したような場合には,施設の新設や移設,稼動状況の変更や不具合の発生した時期と関係があると思われます。また,近くに低周波音の発生源がないか確認します。

次に,推定される発生源の稼動状況と振動の発生状況の対応関係を確認します。移動発生源や発破・爆発などは対応関係が比較的わかりやすいと思われます。道路高架橋では大型車の通行時,高速鉄道トンネルでは列車のトンネル突入時,ヘリコプターでは上空通過時,発破・爆発では作業時との対応を調べます。堰の放流については水膜が薄い条件で大きな音圧レベルの低周波音が発生することがあるので,放流状況を確認します。

工場の大型施設が発生源である場合には,施設の稼動時間や稼動状況と関係があるはずです。可能であれば,施設を稼動・停止させて振動の発生との対応を調べるとよいでしょう。

測定により因果関係を調べる場合には,周波数分析機能の付いた低周波音レベル計を用います。発生源近傍(難しければ敷地境界)と,振動が発生している家屋(建具)の屋外で,低周波音を同時に測定します。その際,音圧レベルの変動が少ない場合はパワー平均値を,大きく変動する場合や間欠的・衝撃的な低周波音の場合は発生時の最大値を測定します。発生源側と家屋側で測定された低周波音の周波数特性を比較し,家屋側と対応する卓越周波数成分を調べます。

工場のように施設がたくさんある場合には,メッシュ状に測定点を設けて測定し,家屋側で観測された低周波音の卓越周波数と同じ卓越周波数をもつ測定結果を手がかりに発生源を絞り込んでゆくとよいでしょう。

対応関係が確認された場合,建具の振動に寄与する周波数を調べるには,家屋屋外で得られた測定結果を「建具のがたつき閾値」(下表)1)と比較します。この値を上回っている卓越周波数成分があれば,その周波数の低周波音が振動の原因である可能性があります。

周波数(Hz) 5 6.3 8 10 12.5 16 20 25 31.5 40 50
建具のがたつき閾値(dB) 70 71 72 73 75 77 80 83 87 92.5 99

なお,家屋全体または部屋全体が振動している場合には,地面振動が原因である可能性も考えられます。調査にあたっては,鉛直方向と水平方向の 3 方向が測定できる振動レベル計も併せて持って行かれることをお薦めします。

低周波音の測定,評価,苦情対応,事例等については,以下に示す環境省のホームページもご参照下さい。(何れのページも,2013 年 3 月時点確認)

文献

  • 1 )環境庁 : 昭和 52 年度低周波空気振動等実態調査(低周波空気振動の家屋等に及ぼす影響の研究)報告書(1978. 3).

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重量床衝撃音レベルの大きさはスラブ厚さに関連するそうですが,何mm 以上の厚さにすると苦情が減少するなどといった経験値などはありますか?(Vol.37 No.5)

((株)熊谷組 大脇雅直)

重量床衝撃音レベルの大きさは,スラブの厚さ(基本インピーダンスレベル),面積,スラブスパン,スラブ周辺の梁などによる拘束条件の違い(1 辺拘束,2 辺拘束,梁の大きさ等),床仕上げ材(乾式二重床(床先行工法,壁先行工法),直貼り床),二重天井の有無によって変わります。

スラブの基本インピーダンスレベルは,無限大板のインピーダンスレベルに相当するもので,衝撃力(入力)と,それによってスラブに生じる振動(出力)との関係を示しています。感覚的な意味としては,インピーダンスレベルが大きいほどスラブが振動しにくくなります。スラブ厚さと基本インピーダンスレベルを計算すると,スラブ厚さ 200 mm で基本インピーダンスレベルは 117 dB,230 mm で 119dB,250 mm で 121 dB,280 mm で 123 dB,300 mmで 124 dB となります。つまりスラブの基本インピーダンスレベルは,スラブを 200 mm から 250mm に 50 mm 厚くすると 4 dB,200 mm から 300mm に 100 mm 厚くすると 7 dB 大きくなります。これは,スラブを加振したときに発生する床衝撃音レベルが,スラブを 200 mm から 50 mm 厚くすると 4 dB,200 mm から 100 mm 厚くすると 7 dB 小さくなることを示しています。

しかし,スラブ厚さを大きくしても,スラブ厚さ以外の条件によって重量床衝撃音レベルが向上しない場合があります。設計時にはスラブ厚さ以外の条件をも考慮したスラブ素面における重量床衝撃音レベル予測結果をもとにスラブの厚さを決めています。

現在,首都圏で共同住宅として供給されている居室のスラブ厚さは 200mm から 300mm が一般的であり,竣工時の重量床衝撃音遮断性能は Li,Fmax,r,H(1)-50∼60 の性能のものが多いです。竣工時の重量床衝撃音遮断性能がタイヤ衝撃でLi,Fmax,r,H(1)- 50∼55,ボール衝撃で Li,Fmax,r,H(2)-45∼50 の乾式二重床仕上げの居室において子供及び大人の歩行などによって発生する音の大きさを測定した事例を紹介します。3∼8 歳の子供 9 名の場合では,歩行(普通∼強歩行)によって直下居室で発生する最大 A 特性音圧レベルは,LD の普通歩行で 22∼36 dB,洋室で 25∼33 dB でした。走り回りによって発生する音は LD で 24∼44 dB,洋室で26∼42 dB でした。飛び跳ねによって発生する音は,LD で 30∼52 dB,洋室で 27∼49 dB でした。A特性音圧レベルの大きい子供は踵から踏み込む傾向がみられました。測定時の暗騒音レベルは 23∼24dB と静かな音環境であったため,聴感上いずれの行動も「小さく聞こえる」から「聞こえる」程度でした。重量床衝撃音レベルと比較すると,子供の走り回りはボールと同程度のレベル,子供の飛び跳ねはタイヤと同程度のレベルになる場合があることがわかります。

次に,30∼60 歳代の大人 16 名(男性 12 名,女性4 名)の場合では,歩行音の最大 A 特性音圧レベルは LD で 24∼30 dB,洋室で 24∼28 dB の大きさでした。小走り時は LD で 27∼34 dB,洋室で 26∼29dB でした。大人の場合,性別,体重にばらつきがあるにも関わらず音圧レベルに大きな差はみられませんでした。これは,今回の被験者はつま先から踏み込む傾向を示したことが原因と考えられます。聴感上は,測定時の暗騒音レベルが 23∼28 dB と静かな音環境であったため,「小さく聞こえる」程度でした。

居室内の音環境が非常に静謐な場合(例えば暗騒音が 25 dB 以下)には上階からの歩行音が聞こえることになります。特に子供は体重が軽いですが歩行音は大人よりも大きくなる傾向があります。「リブランひと住文化研究所」が東京都と埼玉の分譲マンションの居住者を対象に行った音トラブルに関する意識調査の結果が朝日新聞(2007 年 2 月 27 日)に紹介されていました。「生活の音(子供が走り回る音,大人が歩く音等)にいらだちを感じる」という回答が 52% あり,音のトラブルについて「入居者間のコミュニケーションで減ると思うか」との問いに「はい」との回答が 71% でした。しかし,「問題解消へお付き合い」する努力をしている人は 13% と非常に少ない結果となっていました。これらのことからもわかりますようにスラブの厚さを厚くするだけでは問題の解決になりません。共同住宅においては住まい方の工夫も重要と考えます。

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最近アクティブノイズコントロール(ANC)という言葉をよく聞きますが、どのような仕組みで音が小さくなっているのでしょうか? また、これを使って道路や鉄道などの騒音は制御できないのでしょうか。(Vol.36 No.1)
                                     (会社員)

(東海大学 森下達哉)

騒音の能動制御あるいは Active Noise Control(ANC)については,1930 年代にアメリカ合衆国で特許申請された記録が残っています。特許申請時の図には,元々存在している騒音に対して,同振幅・逆位相の波形をもつ音波を重ね合わせることによって,騒音を消去するという基本的考え方が示されています。その後,1980 年代以降のディジタル信号処理技術の発展に伴って,数多くの ANC システムが考案されてきました。最近では,ノイズキャンセリングヘッドホンや自動車キャビンの静穏化などで,ANC の実用システムに接することができます。

ANC は,騒音源(Primary Noise Source)が作る音場と同一の音場を騒音源周囲に配置した二次的な音源(Secondary Noise Source)で作ることができるという原理に基づいています。したがって,空間全体を静かにしなければならいような場合には,静かにしようとしている音の周波数にもよりますが,比較的多くの音源が必要になるとされています。

一方,細長い管状の空間を伝わる音波については,管の断面寸法よりも波長が十分に長ければ,管の長さ方向への波の伝わり方だけを考えれば良いので,制御方法も簡単になります。そのため,ANCの研究が盛んになり始めた 1980 年代には,ダクト内を伝わる騒音を対象とした研究が盛んに行われていました。詳しくは文献 1)をご参照下さい。

ANC の制御方法としては,フィードフォワード(FF)制御とフィードバック(FB)制御に大別できます。説明を簡単にするため,ダクト内 ANC を例にとります。図−1(a)に示す FF 制御では,まず参照用センサで事前に騒音の情報を検出します。その騒音が音の重ね合わせ点に到達するまでに制御器で処理を行い二次音源から制御用音波を生成させ重ね合わせ点に到達させます。図−1(b)はブロック図と呼ばれますが,制御器を通る信号が信号 x と同様前向きに送られているため,FF 制御と呼ばれます。

一方図−2(a)に示す FB 制御では,参照用信号を使わずに,制御結果(誤差信号)を制御器で処理し,二次音源によって制御用音波を生成させます。図−2(b)のブロック図において,制御器を通る信号が信号 x と反対の後ろ向きに送られているため,FB 制御と呼ばれます。前述のノイズキャンセリングヘッドホンでは,基本的に FB 制御が用いられますが,FF と FB の両者を組み合わせた制御システムも存在します。

ANC の道路騒音や鉄道騒音への適用については,受動的デバイスとの協調動作という意味では,遮音壁と ANC の組み合わせがあります。このシステムは,遮音壁エッジ部の音場を適切に制御することで遮音壁の騒音抑制効果を向上させることを目的としたシステムです。国道 43 号線での試験運用の報告があります2)。

移動する音源に対する ANC の検討としては,広い空間における制御システムの構成法の検討3)や適応アルゴリズムの動作特性の検討4)などが行われています。当然海外でも研究例があります。原理から考えると,移動する音源に対して広い空間に渡って減音領域を生成することは大変難しい問題であることは間違いないでしょう。しかし,騒音制御のために大きな構造物を付加できない場合には,上記のような ANC システムが唯一の騒音対策手段になると考えられるため,移動音源に対する ANC のさらなる検討が望まれます。

  • 1 )西村他,アクティブノイズコントロール(コロナ社,東京都,2006).
  • 2 )ASE 試験導入に関わる騒音調査結果,兵庫県国道事務所,http://www.kkr.mlit.go.jp/hyogo/oshirase/2006/2006-10-30-01.html
  • 3 )大西他,日本音響学会誌,vol. 64, no. 3, pp. 131-141(2008).
  • 4 )A. Omoto et al, Acoust. Sci.&Tech., vol. 23, no. 2, pp.84-89 (2002).

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室間音圧レベル差の測定に63Hzが含まれていないのは、どのような理由なのでしょうか。(Vol.36 No.4)
                                (音響測定会社 社員)

(日本騒音制御工学会認定技士 安岡博人)

日本工業規格 JIS A 1417 における周波数範囲について,“63 Hz が入ってないのはなぜか?”という質問は良く聞きます。“床衝撃音の方には含まれているのに”ということだと思われます。私の聞き伝えの回答でよろしければ,以下のように考えられます。

集合住宅,ホテルなどは一般に居室が小さく,相対的に波長の長い周波数に関しては定在波が大きく寄与して,音圧レベルの偏差が各測定点間で大きくなり,平均音圧レベルで扱うのには問題が多いということだと思います。つまり,室のどの点が受音点になるか分からない状況で平均値を当てはめると,受音点の取り方によっては平均音圧レベル差の測定結果に 1 ランク以上の違いが生じる場合もあるということではないでしょうか。

このため,特定場所間音圧レベル差が規定されていますので,それで 63 Hz を測定して,当てはめるのは,その点の固有の値ですので,一つの考え方としては妥当と思われます。また,参考として 63 Hzの室間音圧レベル差を測定する場合もありますが,当然データの妥当性はその旨明記して自己責任で行うことになります。

そして,床衝撃音の重量衝撃音の場合は,低音を測定するために行いますから偏差を承知で決めてあり,打点も多くなっていますし,測定値の空間的ばらつきは今まで多く検証されながら運用されています。

関連 JIS

  • ・JIS A 1416 実験室における建築部材の空気音遮断性能の測定方法.
  • ・JIS A 1417 建築物の空気音遮断性能の測定方法.
  • ・JIS A 1418-1 建築物の床衝撃音遮断性能の測定方法─第一部 : 標準軽量衝撃源による方法.
  • ・JIS A 1418-2 建築物の床衝撃音遮断性能の測定方法─第二部 : 標準重量衝撃源による方法.
  • ・JIS A 1419-1 建築物及び建築部材の遮音性能の評価方法─第一部 : 空気音遮断性能.
  • ・JIS A 1419-2 建築物及び建築部材の遮音性能の評価方法─第二部 : 床衝撃音遮断性能.

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超音波が医療に役立っているとテレビで見ました。超低周波音も何か私達の生活に有効利用されていますか。(Vol.35 No.1)
                                      (主婦)
Vol.35 No.1

(小林理学研究所 田矢晃一)

確かに、超音波は直進性が強く、波長が短いため分解能が高く、放射能と比べて安全であるという特徴を生かして多くの超音波診断機器が開発され、私たちの生活に役立っています。

それでは、超低周波音を生活に役立てるための特徴を考えてみましょう。

第1の特徴として、位相速度が遅いことがあげられます。ある閉空間内で音を発生させると、周波数の高い音は進行波になりますが、周波数が低いと空間内の全ての場所で位相が一致する、つまり圧力場となります。このような場ではボイルの法則により圧力と容積が反比例するという関係が成立します。

この現象を利用して開発された機器が音響式体積計です。容器内に体積を測定したい被計測物を入れると、どんなに複雑な形状をしていても音圧レベルを計るだけで正確な体積を求めることができます。

従来は、複雑な形状の物体の体積を測るには、水槽の中に沈めて溢れる水の体積を測る方法が一般的でしたが、音響式体積計は正確さだけでなく、乾いたままで測れる特徴があるため色々なものの測定に応用することが期待されます。図-1奥にはボールが容器に入っていますが、スイカや桃などに置き換えて重さも計ると、糖度すなわち甘さを計る測定器に応用できるそうです。手前はエンジンヘッド内の複雑な形状の燃料室の容積を乾いたままで瞬時に正確に計る容積計を表しています。

第2の特徴として、波長が長いことがあげられます。波長が長いと、地表面の建物などによる凹凸や、空気中の水滴などの粒子が音波伝搬の障害にならないため、音波が長距離伝搬します。一方、地球内部のマントルやマグマの動き、プレートの活動などはゆっくりとした動きですが、これらの動きを観測し続けることにより、火山の噴火や地震の発生を予測する研究が行われています。これも超低周波音を(観測することにより)私達の生活に有効利用することの一環ではないでしょうか。

第3の特徴として、エネルギーが高いことがあげられます。無論、一般環境ではなく、超低周波音の代表的な発生源での話です。あるダムの放流を観測したとき、ダムサイトにある観光レストランの大きなガラス窓に触れると大きな振幅で揺れていて、強大なパワーを感じました。このパワーを利用して新エネルギー発電などできないかと期待しています。

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騒音規制法の特定工場で,特定施設を増設する場合に,届出において騒音の予測計算を行い,規制基準の遵守状況を確認します。そのときに,予測評価するのは新たに増設する施設だけか,それとも全ての施設について行うのでしょうか。(Vol.31 No.1)
                               (騒音担当 行政職員)

(千葉市 松島 貢)

騒音規制法の工場事業場の仕組み

騒音規制法の工場・事業場に対する規制は,指定地域内において,工場・事業場が騒音規制法に定められた騒音発生施設(以下,特定施設)を設置すると都道府県知事が定めた規制基準の遵守義務が生じます。その工場・事業場を特定工場等といいます。

特定工場等は敷地境界において,規制基準を遵守しなければなりません。この際に,規制基準は特定施設から発生する騒音だけでなく,特定工場等から発生する全ての騒音が対象となります。

さて,ご質問の主旨を,特定工場等が新たに特定施設を増設する場合,新たに増設する施設だけを対象にして評価するのか,それとも増設施設を含めた特定工場等から発生する全ての騒音を対象にして評価するのか,と理解しまして回答いたします。

騒音規制法による特定工場等の規制の仕組みを踏まえますと,特定工場等に新たに特定施設を増設する場合には,工場から発生している現状の騒音に,増設する施設の騒音を加えて評価しなければなりません。

ちなみに,現状の騒音とは,実測値,若しくは直近の届出以降騒音の発生状況に変化がなければ,その届出時の評価値のどちらを用いてもかまいません。

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直下に居室があるような厨房の床は、浮き床が必要であると聞きましたが、耐水性を考慮してスタイロフォームを緩衝材として用いたいのですが性能はどうでしょうか?(Vol.27 No.5)
                                  (工務店 社員)

((株)大林組技術研究所)

厨房の床は水仕舞の関係から硬い仕上げとなりますので、固体音対策が不十分な場合には、厨房での作業音は直下の室で50dBA以上となります。特に、グリストラップや側溝のグレーチング上を作業者が歩行する時に発生する衝撃音は60dBAに達し、発生頻度も高いので、厨房の直下に居室がある場合は浮き床などの固体音対策は不可欠です。

浮き床の緩衝材としてスタイロフォームを用いられるとのことですが、スタイロフォームでは十分な対策であるとは言えません。スタイロフォームは、厚さ50mmで動ばね定数は4×107N/m3、損失係数は0.5程度です。一方、グラスウール96kg/m3の厚さ50mmの動ばね定数は4×106N/m3、損失係数は0.25程度ですので、スタイロフォームの動ばね定数はグラスウールの10倍、損失係数は2倍に相当します。そのため、スタイロフォームを緩衝材として用いた浮き床は、グラスウールを用いた浮き床よりも固体音遮断性能が約10dB劣ります。厨房の床衝撃音対策としては、スタイロフォームよりもグラスウールを用いた浮き床を推奨致します。

なお、浮き床はわずかでも躯体と接触した部分(サウンドブリッジ)があると固体音の遮断性能は低下します。浮き床を施工する際には、サウンドブリッジができないように、特に立ち上がり部分などは十分な施工管理が必要だと思います。その他の留意点としては、以下の事項が挙げられます。緩衝材は、JIS A 6321、 JIS A 6322に規定するロックウール(100~150kg/m3)またはグラスウール(96kg/m3)で厚さ25mm以上のものを用います。これらの材料は濡れると性能が発揮できませんので、JIS K 6781に規定するポリエチレンフィルム1種厚さ0.1mm以上で防水処理します。フィルムの継ぎ目は10cm以上重ねて、テープなどで目貼りをします。コンクリート打設の際には、ポリエチレンフィルムを踏み破らないようにし、また局部的な荷重をかけてグラスウールに損傷を与えないように注意して打設します。

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戸建て住宅で床衝撃音を測定する場合、1階と2階が全て面していない場合、測定点や衝撃点などどのように測定するのでしょうか。
                                     (製造業)

(日本建築総合試験所 和木孝男)

床衝撃音はJIS A 1418-2000「建築物の床衝撃音遮断性能の測定方法」に測定方法が規定されています。

JISにはご質問のような条件は想定していません。が、軽量衝撃源、重量衝撃源どちらも受音点を4点以上、打撃点は3~5点とすることになっていますので、JISに沿った測定をするために経験的に次のようにして測定しています。

戸建て住宅の居室面積はさほど広くない場合が多いので1階と2階の間取りが異なる戸建て住宅で床衝撃音レベルを測定する場合は、1階と2階の面する部分によって2パターンに分けます。

1階の大部分(1/2以上)が2階の床の投影面内にある場合は、受音室を1階全体とし図1のように打撃点および受音点を設定します。

また、1階における2階の投影面が小さい(1階の1/2以下)場合は1階の半分を受音面として図2のように打撃点および受音点を設定します。

なお、このことは戸建て住宅について言えるのであり、マンション等では梁の条件等によって異なりますので要注意です。

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在来の鉄道騒音を評価する場合,特急,普通,貨物列車またディーゼル車で騒音の性質が変化するはずですが,車種別のLAeq評価をしなくてよいのですか。また,アセスメントではどのように取り扱うのでしょうか。
                                      (匿名)

((財)小林理学研究所 加来治郎)

ご指摘のとおり,電車とディーゼル車,特急電車と通勤電車のように列車の種類によって発生する騒音の特性は異なります。又,同じJRの通勤電車でも,例えば旧型の103系と新型の209系では騒音レベルに差のあることは周知の事実です。その原因は主にギヤ比を含めた駆動方式の違いによるものです。従って、複数の種類の列車が走る路線で騒音評価を行う場合は,原則として列車の種類毎に騒音レベルを算出する必要があります。

在来鉄道騒音の予測評価は,最近では平成8年に発表された森藤らの方法1)によって行われることが多くなってきました。そこには電車騒音の主要な音源のパワーレベルの値が示されていますが,値に幅があり,しかもディーゼル車や貨物列車のデータは載っていません。騒音データが公表されていない列車については,自分で測定を行って所要のデータを入手しなければなりません。

ところで,アセスメントにおける騒音予測の方法としては,予測式等を用いて計算する方法と,評価対象と類似の箇所での実測結果から推定する方法とがあります。予測に必要なデータが与えられている場合は計算による方法が有効ですが,データがない場合は前述のように実測によってデータを入手するか,あるいは類似箇所での測定結果に基づいて予測を行うことになります。鉄道騒音に関しては公表されたデータが少ないこともあって,我が国では類似事例での結果に基づくアセスメントが大半を占める傾向にあります。

類似箇所でのデータを参照する場合に注意していただきたいのは,列車騒音の大きさは列車の種類だけでなく,列車速度,軌道構造,高欄高さ,構造物の種類などによって変わるということです。例えば,バラスト軌道とスラブ軌道では転動音に関して5~10dBのレベル差を生じます。予測の精度を高めるためには,騒音の大きさに関わる種々の要因が計画路線と一致する箇所をどう選定するかが極めて重要です。

参考文献

  • 1)森藤良夫他:在来鉄道騒音の予測評価手法について, 騒音制御, Vol.19, No.3, 32-37,1996.6.

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