日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

Q&A

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騒音計に関する新しいJISでは騒音レベルがサウンドレベルに, 騒音計がサウンドレベルメータに変わったと聞きましたが, 具体的にいつから変わるのでしょうか。また, 何故変わるのでしょうか。(Vol.29 No.2)
                                (計量証明事業所員)

(リオン株式会社 瀧浪 弘章)

騒音計のJIS (C 1502及びC 1505) が改正により廃止され、平成17年3月に、国際規格IEC 61672シリーズに一致したJIS C 1509シリーズが制定され、規格群の名称は”サウンドレベルメータ (騒音計)”となり、騒音レベルに代わり”サウンドレベル”が用語として採用されました。

これらの用語は、JIS C 1509シリーズで初めて採用されたものではなく、2000年に改正されたJIS Z 8106 (音響用語) で、”weighted sound pressure level、sound level” 及び “sound level meter”に対応する最初の見出し語として既に採用されています。このJISの解説では、その理由を次のように説明しています。

  • (1)周波数と時間に関して重みつけを用いた音圧レベルを騒音レベルとしていたが、この評価量は騒音測定に限定されるものではなく、”騒音レベル”の用い方は、独自のものである。今回の改正では、普遍的な意味を表し、国際的にも用いられている”サウンドレベル”及び”重みつけ音圧レベル”を採用し、従来の慣例による”騒音レベル”を併記した。
  • (2)”騒音計”についても上述(1)同様に取り扱われている。そこで、より普遍的な”サウンドレベルメータ”を採用し、従来の慣例による”騒音計”を併記した。

JIS C 1509シリーズの場合には、C特性やFLATでの性能や試験方法を規定しています。”騒音レベル”を使っていると”C特性騒音レベル”では矛盾が生じますし、C特性では音圧レベル、A特性では騒音レベルと使い分けるのも統一性に欠けるという理由も加わります。また、規格の中でsound pressure levelとsound levelを使い分けているので”音圧レベル”も採用し難いという事情があります。

規格を引用したり、規格に基づいて話をしたりする場合には”サウンドレベル”や”サウンドレベルメータ”の用語を使った方が適切かと思いますが、それ以外の場合には”騒音レベル”や”騒音計”を使っていただいて何ら問題はありません。

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技術講習会などのテキストを見ると,”dBA”という表記が使われていません。一般的にも使われないのでしょうか?(Vol.29 No.3)
                                 (コンサルタント)

“dBA”、A特性で測定したことを示す、確かに便利な表記方法だと思います。騒音レベル (A特性サウンドレベル) と言うかわりに “デシベルエー”と呼んでいることもあります。しかしながら”メデシベルエー”も”dBA”も、正式な単位や単位記号としては認められていません。

量や単位の国際的な統一は、国際標準化の重要な役割を果たします。国際的に使用する単位 (SI: 国際単位系) は、1960年に国際度量衡総会 (CGPM) で採択されています。これに整合した規格 (ISO 37シリーズ、JIS Z 8202シリーズ) も制定されています。

音圧レベルや音響パワーレベルの単位として使っているデシベルという単位は、実は、SI単位としては採択されていませんが “SIには属さないがSIと併用して用いてよい単位”として認められている”ベル”(単位記号は”B”) に10-1倍を表すSI接頭語”デシ”(記号は”d”) が付いたものです。

A特性で重み付けられていることを表すには”騒音レベル”、”A特性サウンドレベル”などと明記するか量記号に添え字を付けて表す (LpALAeq) のが規格などでは正式とされています。

学会の中には、SI単位系に準拠していない学術論文の受理を拒否しているところもあると聞いたことがあります。とはいえ、これだけ広く普及している”dBA”ですから、即座に”dB”に統一することは困難ですし、一般的に用いることを否定するものではありません。講習会のテキストなどでは、気がついた部分から”dB”に変更している段階です。

(リオン株式会社 瀧浪 弘章)

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騒音測定の際に、気温・湿度・風向・風速も同時に測定しますがこの結果を活用したことがありません。どのような場合にこの結果を活かすのでしょうか。(Vol.29 No.6)
                               (計量証明事業所社員)

(株式会社ニューズ環境設計 後藤賢光)

JIS Z 8731「環境騒音の表示・測定方法」では、騒音測定時の大気の状態(風向・風速、雨、地上及びその他の高さにおける気温、大気圧、相対湿度)を必要に応じて、記録しておくことが望ましいとされています。

騒音測定の際に同時に測定した気象条件の活用方法は、大きく分けて2つ考えられます。

1つ目は、測定値の精度を保証するための活用です。騒音計の規格は、普通騒音計についてはJIS C 1502、精密騒音計についてはJIS C 1505で定められており、その使用範囲は、温度については-10~+50℃、湿度については相対湿度90%以下です。通常、強風時や雨天時には測定自体を避けますが、測定中一時的に強風や降雨があった場合は測定値に影響が出る可能性があるため、気象条件を記録しておく必要があります。また、騒音対策の効果を把握するために対策実施前後の測定等を行う場合、騒音対策以外の条件が変わらない状態で測定し、測定値を比較する必要があります(等価性の確保)。ISO 10847における遮音壁挿入損失測定方法では、音響特性の等価性を確保するために、気象条件については風向・風速や温湿度、雲量について等価性の条件が規定されています。

2つ目は、屋外での音の伝搬に対する影響を説明するための活用です。通常、昼間が晴天の場合は、地表面近くよりも上空ほど気温が低くなり、夜間または曇天の場合は、この逆に上空ほど気温が高くなります。後者のように上空ほど気温が高い場合は離れた地点まで音が到達します。また、有風時には風上に向かって音が伝搬しない影の領域ができますが、風下に向かっては遠方まで音が到達します。例えば、24時間の測定をしていて、ある時間から急に遠方の工場音や道路交通騒音によってレベルが上昇するような場合は、原因の一つとして気象の影響が考えられます。このような場合に騒音測定と同時に測定した気象条件によって測定値の傾向を説明できる場合があります。

気温・湿度・風向・風速を自動測定し、測定値をデータロガーに保存できる機器もありますので、このような機器を利用することによって、騒音の測定とあわせて長時間の気象条件を手軽に連続測定することも可能です。

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騒音測定を行う際に、騒音計はどちらに向けると良いのでしょうか。(Vol.29 No.10)
                                    (大学院生)

(リオン株式会社  瀧浪 弘章)

騒音計は,どの方向から入射する音に対しても等しい感度を持つことを理想とします。(全指向性)。音の波長がマイクロホンや騒音計の筐体(ケース)の寸法に対して十分に長い,低い周波数範囲では, 騒音計の指向特性は全指向性となります。しかしながら, 音の波長が騒音計の寸法と同程度より短くなってくる, 高い周波数範囲では, 音の反射や回折のために, 指向性を持ち, 一般に, マイクロホンの後方から入射する音に対する感度は低くなっていきます。

騒音計の規格 (近々改正される予定のJIS) では, 騒音計の指向特性の許容限度値を表のように規定しています。表の数値 (dB) は, 精密級に相当するクラス1の限度値で, 普通級クラス2の限度値はこれより大きくなります。なお, この許容限度値には測定の不確かさの最大許容値が含まれています。

周波数
(Hz)
入射角(θ)
30° 90° 150°
250~1,000 1.3 1.8 2.3
1,000~2,000 1.5 2.5 4.5
2,000~4,000 2.0 4.5 6.5
4,000~8,000 3.5 8.0 11.0
8,000~12,500 5.5 11.5 15.5

想像以上に大きい値だと思われるかもしれませんが, これは, 正弦波を特定の方向から入射したときの値です。一般の騒音は広帯域であり, 数kHz以上の成分が突出していることは殆どありません。また, 一般の環境騒音の測定では音の到来方向が特定できないことも多く, 交通騒音の場合には, 音源が移動しています。

純音性で音源位置が固定して明確な場合を除き, 実際の測定では, 騒音計の向きにあまり神経質になる必要はないと考えられます。

音源の向きが特定できる場合には音源の方向にマイクロホンを向け, 特定できない場合には上を向けるというのが自然な方法かと思います。

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騒音計のDC出力は, どのような測定のときに利用するのでしょうか。(Vol.29 No.11)
                              (計量証明事業所所員)

(リオン株式会社 瀧浪 弘章)

多くの騒音計 (振動レベル計も同じ) には, 交流 (AC) 出力の他に直流 (DC) 出力を備えています。これは, 現行のJISや計量法 (検定検査規則) で, ディジタル表示の騒音計 (又は振動レベル計) には (原則として) 直流出力を備えることを規定しているからです。騒音レベルや振動レベルの時間重み付け特性の性能は, 通常, 立ち上がり特性と立ち下がり特性で規定されます。立ち上がり特性は, バースト信号を入力させたときの最大値を測定して試験します。立ち下がり特性は, 定常信号を入力し, それを突然停止してからの指示値が10 dB低下するまでの時間を測定して試験します。ディジタル表示の機器では, 10 dB低下する時間を測定できないので, 直流出力端子を利用して測定しています。

試験以外の用途としては, 例えば, ペンレコーダのように時間重み付け特性をもたないレコーダを利用して騒音レベルや振動レベルの記録をする場合が挙げられます。交流出力を利用してレベルレコーダに記録する場合のレベル合わせは増幅度の調整だけですが, 直流出力を利用する場合のレベル合わせは, 増幅度の調整に加えてゼロ点の調整も必要となることに注意が必要です。

他にも, 電圧計を使って簡単な騒音表示器を自作する場合などに直流出力を利用する例もありましたが, ディジタル出力を利用してコンピュータに表示できる今となっては, この目的で利用されることはめったにありません。

なお, 改正予定の騒音計のJISでは, 立ち下がり特性を1秒間に低下する指示値 (dB) で規定しているので, 試験のために直流出力を使う必要はなくなります。

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野外で騒音調査を行うときに、周辺に建物などの目標値がないので、測定位置の確認に困っています。何か効率的な方法があれば教えて下さい。(Vol.28 No.2)
                              (環境調査会社 技術者)

((株)大林組 池上雅之)

昨今、測量用のGPS受信機が手軽に利用できるようになり、位置出しに便利なアプリケーションも充実してきていますので、これらを野外騒音調査の測定位置確認に利用すると非常に有効です。

測量用のGPSはDGPS(ディファレンシャルGPS)とも呼ばれており、位置精度を補正するために、海上保安庁等運営の基準局が発信する長波信号(ビーコン)を、背負った専用アンテナで受信しながら利用します。

肝心の精度は、騒音調査における測定点の位置出しとしては十分な30cm程度(公称精度は±1m以下、一般的なカーナビのGPSは精度±10m程度で、現在位置はソフト的に補正する場合が多い)が得られます。またインターフェースとしてPDA を用いており、配置図との重ね合わせ、指定座標への誘導、任意座標のストア等が可能です。またGIS(地理情報システム)のソフトウェアがあれば、GPSのストアデータを直接読み込んで利用することも可能です。

欠点は、現場配置図を経緯度の座標系にマップする手間がある点と、ビルが林立する場所など衛星の捕捉状況が悪いと精度が落ちる点、室内での位置出しには利用できない点などです。

最近はジャイロ式の加速度センサーを内蔵して、DGPSの位置精度をさらに補正するタイプの測量機器も出回り始めており、衛星の補足状況の制約は解決されつつあります。これらの機器の発展が、室内の騒音測定も含めて位置出しの手間を効率化する日も近いかも知れません。

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低周波音の測定では風の影響を受けるとのことですが、具体的に風速何m/s以下での測定が望ましいのでしょうか。(Vol.28 No.5)
                               (計量証明事業所所員)

(財団法人小林理学研究所 落合博明)

低周波音測定では風の影響を受けますが、具体的に風速何m/s以下での測定が望ましいということは単純には言えません。

低周波音レベル計のマイクロホンに風が当たると雑音が発生します。低周波音の測定にあたっては、防風スクリーンを使用しますが、大きな効果は期待できません。防風スクリ?ンの効果は、周波数範囲 1~80Hz平坦特性で測定した場合、通常使用される連続気泡ポリウレタンの直径 9cmの防風スクリ?ンでは約10dB、同じ材質の直径20cmの防風スクリ?ンでは約20dBほどです。図?11)は直径20cmの防風スクリーンの有無による風雑音の大きさを比較したもので、図に示すように風が強くなると風雑音も増加しています。対象とする低周波音の音圧レベルが小さいほど, 風が強いほど風による影響は大きくなります。経験的には、低周波音の音圧レベルが80dB程度の場合、周囲の草が風で揺れていると(概ね風速1m/s以上),正確な値を得ることは難しいでしょう。

音圧レベル変動の小さい低周波音の測定で、時折風が吹く場合には、低周波音レベル計の出力をレベルレコーダに接続して音圧レベル変動をモニターし、変動の少ない区間を測定します。

図22)は風速による風雑音の周波数特性の違いを示したものです。風速の増加に伴い、低周波数域ほど音圧レベルの上昇が認められることがわかります。すなわち、測定対象とする低周波音の周波数特性によっても、風による影響の度合が異なることがわかります。対象とする発生源の卓越周波数が高い周波数域にあれば、風による影響は受けにくくなります。

低周波音の測定では、屋外の測定だけでなく、屋内でも風による影響を受けます。風により窓が振動することにより, 室内でも見かけの音圧レベル変動が観測されることがあります。風の強い日に室内で低周波音を測定する場合には, 風雑音の発生に注意を払う必要があります。

なお、低周波音測定時における風雑音の影響については、環境省より公表されている「低周波音の測定方法に関するマニュアル」(下記URL)にも記載されています。

(http://www.env.go.jp/air/teishuha/manual/index.html)

参考文献

  • 1)大熊恒靖, 福原博篤, 低周波音測定に及ぼす風の影響について,日本騒音制御工学会技術発表会講演論文集,1980.9, 173-176.
  • 2)R.N.Hosier and P.R.Donavan, Microphone Windscreen Performance, National Bureau of Standards Report NBSIR 79, 1599, Jan.1979.

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発破等の瞬間的な騒音、低周波音、振動をレベル表示させる場合、 騒音計、低周波音レベル計、 振動レベル計及びレベルレコーダの動特性はどれを選定すべきですか。
                              (環境衛生研究所 所員)

(資源環境技術総合研究所 国松 直)

各測定器により表示されるレベルは入力信号に対してある周波数補正(例えば、 騒音計ではA特性など)を行った後に、動特性(指示特性)としてFAST、 SLOW、VIBRATION等の時間的な補正を加え、 それを実効値のdB値で示しています。

JIS C 1502(普通騒音計)では速い動特性(FAST) と遅い動特性(SLOW)を規定しており、 応答の相対レスポンスを表す時定数τはそれぞれ0.125sと1sです。 JIS C 1510(振動レベル計)ではVIBRATIONとしてτを 0.63sと規定しています。 定常振幅の正弦信号が騒音計に突然入力されたときの応答の相対レスポンスは 次式で示されます。(式中、tは時間(s))

JIS C 1512(騒音レベル、振動レベル記録用レベルレコーダ) においてもFAST、SLOW、VIBRATIONに同一の規定がされています。 FASTとVIBRATIONは被験者試験の結果を反映した値ですので 表示レベルとしては意味のある値と考えられます。一方、 SLOWは適当な平均を得るための特性と位置づけられます。

現行では、環境騒音・振動はJIS規格に基づき測定しますから、 衝撃的な騒音であってもFAST、 振動ではVIBRATIONで計測しておくべきだと思います。しかし、 低周波音については周波数補正及び動特性についてもまだ規定がなく、 当工学会技術レポートNo.11「低周波音及び超低周波音測定方法」 (1991)はSLOWを用いることを提案しています。

衝撃的な音・振動の評価についてはまだまだ多くの議論がなされており、 対象騒音毎に種々の評価量が用いられています (ピーク音圧レベルや等価騒音レベルなど)。IEC規格では IMPULSEとして0.035sを規定しており、 ISO規格などではこの最大レベルを評価量として推奨しているものがありますが、 使用については留意する必要があります。

また、各測定器で衝撃的な信号を測定する時は、 信号波形の実効値に対するピーク値の比で定義される波高率 (crest factor)に対する測定器の実効値の指示精度についても、 各測定器が許容できる波高率(削岩機の音で約7) を知っておく必要もあると思います。

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